2020年06月01日

ブラジルGDP(2020年1-3月期)-個人消費中心に急減速

経済研究部 准主任研究員   高山 武士

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1.結果の概要:1-3月期は急減速

5月29日、ブラジル地理統計院(IBGE)は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(2020年1-3月期)】
前年同期比伸び率(未季節調整値)は▲0.3%、市場予想1(同▲0.3%)と同じで、前期(同+1.7%)から低下した(図表1・2)
前期比伸び率(季節調整値)は▲1.5%、予想(同▲1.5%)と同じで、前期(同+0.4%)から急減速した。

(図表1)ブラジルの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:個人消費が大きく減速

1-3月期の実質GDP伸び率(季節調整値、前期比)を需要項目別に見ると、個人消費が▲2.0%(前期:+0.4%)、政府消費が+0.2%(前期:+0.4%)、投資+3.1%(前期:▲2.7%)、輸出が▲0.9%(前期:+2.3%)、輸入が+2.8%(前期:▲3.3%)となった。個人消費の急減速と輸出減が前期比伸び率の主因だったと言える。前年同期比の寄与度2で見ると、個人消費が▲0.5%ポイント、純輸出が▲1.0%ポイントと大きい。一方、投資が同+0.7%ポイント、在庫変動が同+0.5%ポイントで成長率の下支えとなった。

次に産業分類別に実質GDPの伸び率を見る(図表3)。1-3月期は前期比では、「第一次産業」を除き、すべてのセクターでマイナス成長となった。大分類では第三次産業の落ち込みが大きく、特に、「その他サービス」(専門サービス、生活関連サービス、娯楽等)が最も大きく、前期比▲4.6%となった。その他、運輸(▲2.4%)や情報・通信(▲1.9%)の落ち込みが大きかった。GDPの水準を時系列で見ると、2016年をボトムに回復傾向にあったが、2019年1-3月期は2018年の水準まで落ち込むこととなった(図表4・5)。
(図表3)業種別のGDP伸び率
(図表4)ブラジルの実質GDPの動向(需要項目別)/(図表5)ブラジルの実質GDPの動向(供給項目別)
ブラジルは、コロナ禍の影響を大きく受け、足もとでは新規感染者数が世界最多、死亡者数も世界4番目の多さとなっている。このような状況下において、経済成長に軸足を置くボルソナロ大統領と封じ込め政策を重視する州政府の対立が激化しており、デモなどで両派の対立姿勢が強まっている。

ブラジルは、経済対策でも封じ込め政策でも上手くいっていると言い難い状況にあり、政治の混乱がコロナ禍の被害を助長させ、経済停滞を長期化させかねない状況に陥っている。4-6月期の経済環境はより厳しい状況になることは必至で、政策運営によっては経済低迷の長期化も懸念される状況と言える(図表6)。
 
2 簡易的な推計値。在庫変動はGDPから各需要項目の寄与度を除いた残差として計算。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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経済研究部   准主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、国際経済

(2020年06月01日「経済・金融フラッシュ」)

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