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- FOMC(20年4月)-政策金利も含め、現在の金融政策の維持を決定
2020年04月30日
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1.金融政策の概要:金融政策の維持を決定
連邦公開市場委員会(FOMC)会合が4月28-29日(現地時間)に開催され、全会一致で政策金利や量的緩和政策、流動性を供給するための資金供給ファシリティ―など、一連の金融政策維持を決定した。
今回発表された声明文では、「新型コロナの流行が米国全土と世界各地に甚大な人的、経済的困難を引き起こしている」との認識を示し、経済の現状認識で新型コロナに対する感染対策が「経済活動を急激に低下させ、失業を急増させている」との判断を示した。また、金融政策ガイダンス部分では、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道と委員会が判断するようになるまで、この目標レンジを維持する」とし、現在の実質ゼロ金利政策を長期間維持する方針が示された。
今回発表された声明文では、「新型コロナの流行が米国全土と世界各地に甚大な人的、経済的困難を引き起こしている」との認識を示し、経済の現状認識で新型コロナに対する感染対策が「経済活動を急激に低下させ、失業を急増させている」との判断を示した。また、金融政策ガイダンス部分では、「経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道と委員会が判断するようになるまで、この目標レンジを維持する」とし、現在の実質ゼロ金利政策を長期間維持する方針が示された。
2.金融政策の評価:金融市場次第で臨機応変に追加政策の決定を示唆
一時期緊張がみられた金融市場が概ね安定していることもあって、今回のFOMC会合で現状の金融政策維持が決定されたのは予想通りだった。現状では、3月以降に矢継早に実施された金融緩和策や流動性対策が成果を上げていると言えよう。
パウエル議長の記者会見では、これまで発表された経済指標では足元の状況を反映しきれていないとした上で、失業率の2桁台への悪化や、第2四半期(4-6月期)の経済活動が、これまでにない勢いで減少するとの見通しを示した。また、経済を支援するためにあらゆる手段を用いることにコミットしているとし、必要に応じて様々な追加対策を実施する方針を示した。
さらに、パウエル議長は景気後退の深さと期間は非常に不確実であり、ウイルスがどの程度の速さで制御されるかによって大きく左右されるとし、経済予測の難しさを示した。このため、今後の金融政策動向は新型コロナの感染や感染対策、金融市場の動向によって大きく影響を受けるとみられれる。
当研究所は、実質ゼロ金利政策や量的緩和策には限界があるものの、今後の追加政策は、資金供給ファシリティ―の対象資産の拡大や金額上限の引き上げとなる可能性が高いと考えている。3月以降に実施されたこれら資金供給ファシリティ―の拡充等はFOMC会合時期に関係なく実施されていることから、FRBは会合時期に拘らず状況に応じて柔軟な対応を行うと予想する。
パウエル議長の記者会見では、これまで発表された経済指標では足元の状況を反映しきれていないとした上で、失業率の2桁台への悪化や、第2四半期(4-6月期)の経済活動が、これまでにない勢いで減少するとの見通しを示した。また、経済を支援するためにあらゆる手段を用いることにコミットしているとし、必要に応じて様々な追加対策を実施する方針を示した。
さらに、パウエル議長は景気後退の深さと期間は非常に不確実であり、ウイルスがどの程度の速さで制御されるかによって大きく左右されるとし、経済予測の難しさを示した。このため、今後の金融政策動向は新型コロナの感染や感染対策、金融市場の動向によって大きく影響を受けるとみられれる。
当研究所は、実質ゼロ金利政策や量的緩和策には限界があるものの、今後の追加政策は、資金供給ファシリティ―の対象資産の拡大や金額上限の引き上げとなる可能性が高いと考えている。3月以降に実施されたこれら資金供給ファシリティ―の拡充等はFOMC会合時期に関係なく実施されていることから、FRBは会合時期に拘らず状況に応じて柔軟な対応を行うと予想する。
3.声明の概要
(金融政策の方針)
(フォワードガイダンス)
(景気判断)
(景気見通し)
- 委員会はFF金利の目標レンジを0-0.25%に維持することを決定。
- 市場の円滑な機能を支援するために、米国債やエージェンシーの住宅ローンおよび商業不動産担保証券を必要規模購入。
- 翌日物とターム物のレポ取引を大規模に提供。
(フォワードガイダンス)
- 経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると委員会が確信するようになるまで、この目標レンジを維持する。
- 金融政策のスタンスに対する将来的な調整のタイミングと規模を決める上で、委員会は最大限の雇用確保の目標と対照的な2%のインフレ目標に関連付けながら、経済情勢の現状と予測の面から精査する。
(景気判断)
- 新型コロナの流行は米国全土と世界各地に甚大な人的、経済的困難を引き起こしている。
- このウイルスと公衆衛生を守るための対策は、経済活動を急激に低下さえ、失業を急増させている。
- 需要の弱まりと大幅に下落した原油価格は、消費者物価の上昇を抑制している。
- 米国内外の経済活動の混乱は金融情勢に著しく影響を及ぼしており、米国の家計と企業への信用は損なわれた。
(景気見通し)
- 現在進行中の公衆衛生の危機は、経済活動に大きな影響を与えるだろう。
- 短期的には雇用やインフレなど、中期的には経済見通しに大きなリスクをもたらす。
4.会見の主なポイント(冒頭発言)
冒頭発言の主な内容は以下の通り。
- ウイルスの拡散を抑えるために、我々が国として実施している強力な対策は、経済の大部分を突然停止させた。多くの事業が閉鎖され、人々は家に留まるよう求められ、基本的な社会的交流は大幅に削減されている。
- 多くの標準的な経済統計は、我々が経験している現実に追いついていないが、経済への影響が深刻であることは明らかである。何百万人もの労働者が職を失っている。来週発表される雇用統計は、2桁台に急上昇すると予測されている。家計支出は激減し、消費者心理の指標も急落した。3月の製造業生産高は大幅に減少したが、多くの工場が一時的に閉鎖されたため、今月はさらに急速に減少する可能性が高い。第2四半期(4-6月期)の経済活動は、これまでにない勢いで減少する見通しだ。また、エネルギー価格の大幅な下落と需要の減退を反映して、インフレも抑制されている。
- 景気後退の深さと期間は非常に不確実であり、ウイルスがどの程度の速さで制御されるかに大きく左右される。
- FRBの対応は、金融システムの安定を促進する我々の責任とともに、米国民のための最大限の雇用と安定した物価を促進するという我々の責務によって導かれる。我々はまた、この困難な時期に経済を支援するために我々のあらゆる手段を用いることにコミットしている。
- 経済が最近の出来事を乗り切り、最大限の雇用と物価安定の目標を達成する軌道にあると委員会が確信するようになるまで、この目標レンジを維持するということを何度も繰り返し述べた。
- 家計や企業への信用の流れを変え、市場の円滑な機能を促進し、金融政策のより広範な金融環境への効果的な波及を促進するため、財務省証券やエージェンシーMBSを大量に購入している。
- 金融システムを安定させ、家計、あらゆる規模の企業、州及び地方政府の経済における信用の流れをより直接的に支援するプログラムを実施している。これらのプログラムの多くは現在のように非常に特殊でしか利用できない緊急融資権限に依存している。その大部分は議会と財務省からの財政支援によって可能となっている。
- 直接的な財政支援が必要だろう。直接的な支援は、必要なときに家族や企業を支援するだけでなく、経済への長期的なダメージを制限するという点でも、決定的な違いをもたらす可能性がある。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2020年04月30日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1824
経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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