- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 暮らし >
- 消費者行動 >
- Z世代の情報処理と消費行動(1)-Z世代が歩んできた時代
Z世代の情報処理と消費行動(1)-Z世代が歩んできた時代

生活研究部 研究員 廣瀬 涼
1――若者とは誰のことか
2――Y世代(ミレニアルズ)とZ世代
Z世代は、1996~2012年の間に生まれた人々を指す。2018年の春に大卒で入社した若者がZ世代の1期生と言ったらイメージしやすいかもしれない。SNSに焦点を当てるとブロードバンド接続が整い始めた2005年頃のWeb 2.0と呼ばれる変革の中で動画共有サービスが次々と登場し、Z世代が中学生になる前にはTwitterやInstagramが存在しており、彼らは思春期を動画投稿中心にSNSを利用して過ごしている。そのため動画投稿やライブストリーミングによりSNS上に他人の経験(疑似体験)が溢れており、多くの点で、その消費や経験を自分でする必要があるか否かを考えて行動をとる傾向があるのである。
3――Z世代を飲み込んだ3つの波
また、電通若者研究部の「若者まるわかり調査2015」によると高校生の51.9%が受験や進学を、大学生の60.3%が就職について「不安」と感じている。このような短期的な不安と日本の社会そのものに対する長期的な不安をZ世代は抱えているといえる。
2つ目として教育制度の波が挙げられる。「詰め込み教育」と言われる知識量偏重型の教育方針を是正し、思考力を鍛える学習に重きを置いた経験重視型の教育方針を目指した“いわゆる”「ゆとり教育」が本格的に施行されたのが2002年から2010年であり、小中学校の学習内容が3割半減したり、完全週休2日制が導入されたりした時期でもある。円周率が3.14ではなく一時期「3」が用いられていたという話は教育関係者でなくとも聞いたことがあるかもしれない。この「ゆとり教育」の影響を最も受けたのはY世代である。しかし、Z世代もその名残である「絶対評価」の影響を大きく受けている。脱ゆとり教育に向け学習指導要領が改訂され、授業時間、授業内容ともに増加はしているが、「絶対評価」による成績判定を継続して導入されている学校も多いのである。そのためZ世代は小さいころから競うことではなく協調や助け合うことを身に着けてきた世代であるといえる。
3つ目として情報変化の波が挙げられる。2020年、世界のデジタルデータの年間生成量は40ZB(ゼダバイト)を越え、2025年には175ZBに到達すると予想されている。我々の馴染み深いGB(ギガバイト)で換算すると1ZB=1兆GBとなり175ZBが途方もない数字であることは言うまでもないだろう3,4,5。
次に(2)常時接続されていると言う点に関してだが、mixiやFacebookは主にブログと呼ばれるネット上の日記や近況報告に対してコメントをすることでコミュニケーションがとられていたため、誰かが近況について更新しない限り新しい情報が入ってくることはなかった。しかしTwitterやInstagramなどは、実社会における人間関係と繋がるというよりかは、面識がなくとも興味がある情報を発信する人と繋がり、情報収集としての位置づけで使われることが一般的である。そのため常に新しい情報がタイムライン上に溢れ、情報の波が途切れることはないのである。
1 電通若者研究部(2016)『若者離れ』エムディエヌコーポレーション
2 https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2019/zenbun/pdf/1s1s_01.pdf
3 http://cool-father.com/increase/
4 https://www.otsuka-shokai.co.jp/media/byline/numbers/20160926.html
5 https://www.seagate.com/files/www-content/our-story/trends/files/idc-seagate-dataage-whitepaper.pdf Source:%20Data%20Age%202025,%20sponsored%20by%20Seagate%20with%20data%20from%20IDC%20Global%20DataSphere,%20Nov%202018 Source: Data Age 2025, sponsored by Seagate with data from IDC Global DataSphere, Nov 2018
6 総務省平成29年度情報通信白書 https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc111130.html
(2020年01月29日「基礎研レター」)

03-3512-1776
- 【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
ニッセイ基礎研究所入社
・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員
【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会
廣瀬 涼のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/12/18 | α世代がやってくる-α世代論をはじめる前に書いたゆるい読み物 | 廣瀬 涼 | 研究員の眼 |
2024/11/08 | あの“同期”はなぜ飲み会に参加しないのか-Z世代のアルコールに対するスタンスについて考える | 廣瀬 涼 | 基礎研マンスリー |
2024/10/31 | なぜ「今」BeRealを撮影する必要があるのだろうか-BeRealに関する私論的考察 | 廣瀬 涼 | 基礎研レター |
2024/10/07 | 商品とネーミングの恣意性について考える-“ホームステイ先で食べた〇〇〇〇〇” | 廣瀬 涼 | 研究員の眼 |
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2025年02月12日
今週のレポート・コラムまとめ【2/4-2/10発行分】 -
2025年02月10日
欧州の自然災害リスクへの取り組み-気候変動による自然災害への対策は段階的アプローチで -
2025年02月10日
推し活時代の転売対策として、マイナンバーカードに集まる期待 -
2025年02月10日
新設された5歳児健診とは?-法定健診から就学までの期間における発達障がいや虐待リスクに対応、その後のフォローアップ体制には課題も- -
2025年02月10日
米雇用統計(25年1月)-非農業部門雇用者数は前月比+14.3万人と市場予想(+17.5万人)を下回る一方、失業率は低下
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【Z世代の情報処理と消費行動(1)-Z世代が歩んできた時代】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
Z世代の情報処理と消費行動(1)-Z世代が歩んできた時代のレポート Topへ