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2020年度の社会保障予算を分析する-自然増を5,000億円以下に抑えたが、「帳尻合わせ」の側面も

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
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2020年度政府予算案が2019年12月20日に閣議決定された。社会保障関係費の増加や消費税引き上げの影響を緩和する経済対策で歳出が膨らんだ結果、実質的な一般会計の規模(消費増税対策の「臨時・特別の措置」を含む)は対前年度当初比1.2%増の102兆6,580億円となり、2年連続で100兆円を超えた。さらに、赤字国債(特例公債)の発行額は同1.0%減の25兆4,462億円となったが、赤字国債に多くを依存する予算編成は続いた。
一方、歳出の約3分の1を占める社会保障関係費は同5.1%増の35兆8,608億円となった。高齢化などに伴う自然増は5,300億円前後と想定される中、歳出改革の「目安」とされる5,000億円以下に抑制できたが、消費税引き上げの増収を幼児教育・保育の無償化などに振り向けた上、診療報酬改定もプラス決着となり、予算規模は膨らんだ。さらに、歳出改革についても「帳尻合わせ」の側面は否めなかった。本レポートでは、2020年度予算案の概要を把握するとともに、焦点となった消費増税による充実など、社会保障関係予算の内容を分析する。
■目次
1――はじめに~2020年度の社会保障関係予算案を分析する~
2――2020年度予算案の状況
1|歳出と歳入の状況
2|社会保障関係予算の概況
3――社会保障関係予算の概要(1)~消費税収を活用した充実~
1|社会保障の充実は計1.2兆円規模に
2|目立った交付金の増額
4――社会保障関係費の概要(2)~診療報酬改定による影響~
5――社会保障関係費の概要(3)~再び薬価と帳尻合わせ~
1|自然増の抑制を巡る議論
2|介護保険の総報酬割移行の影響
3|歳出改革の評価
4|帳尻合わせは続く?
6――社会保障関係費の概要(4)~未婚のひとり親世帯の税制優遇措置~
7――社会保障関係費の概要(5)~医療提供体制改革の関連事業~
8――おわりに~プライマリー・バランス黒字化と2025年に向けて~
(2020年01月10日「基礎研レポート」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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