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地域医療構想を3つのキーワードで読み解く(4)-日常的な医療ニーズをカバーするプライマリ・ケアの重要性

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
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地域医療構想を読み解く全4回のレポートでは、第1回で都道府県が切れ目のない提供体制構築を重視している点、第2回と第3回は「脱中央集権化」(decentralization)と医療軍備拡張競争(Medical Arms Race)という概念でそれぞれ都道府県が取るべき方向性を考察したが、最終回となる今回はプライマリ・ケアを取り上げる。
通常、医療提供体制を論じる際、日常的な疾病やケガに対応するプライマリ・ケアと呼ばれる1次医療に始まり、一般的な入院である2次医療、専門性の高い救急医療などを提供する3次医療に分類される。
しかし、2025年の医療提供体制を構築することを掲げた地域医療構想では「病床数ありき」の議論が先行しがちであり、日常的な医療ニーズに対応しようとする視点を欠く。言い換えると、病床という部分最適を議論することを通じて、提供体制という全体を変えようとする欠点を持っている。そもそも人々の暮らしの場である地域は「病床削減後の受け皿」ではないはずである。
本レポートは前半で、プライマリ・ケアの重要性を指摘するとともに、プライマリ・ケアが進んだ事例としてイギリスの医療制度に着目することで、日本の医療制度に欠けている点を考察する。その上で、後半では地域医療構想の文言から都道府県の対応を考察するほか、日常的な医療ニーズへの対応を重視した高知県の地域医療構想を取り上げることを通じて、高知県の考え方が他の地域でも通用する普遍性を持っている可能性を論じる。
■目次
1――はじめに
2――地域医療構想の構造的な欠陥
3――医療提供体制の基本構造
1|英国の実例から考えるプライマリ・ケア
2|プライマリ・ケアと提供体制改革の関係
3|日本の現状
4――都道府県に期待される対応
1|地域医療構想におけるプライマリ・ケアの言及
2|高知県の事例
5――おわりに
(2017年12月08日「基礎研レポート」)
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03-3512-1798
- プロフィール
【職歴】
1995年4月~ 時事通信社
2011年4月~ 東京財団研究員
2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
2023年7月から現職
【加入団体等】
・社会政策学会
・日本財政学会
・日本地方財政学会
・自治体学会
・日本ケアマネジメント学会
【講演等】
・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)
【主な著書・寄稿など】
・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数
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