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2019年度の社会保障予算を分析する-費用抑制は「薬価頼み」「帳尻合わせ」が継続
保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳
平成最後となる2019年度政府予算案が昨年12月21日に閣議決定された。社会保障関係費の増加や消費税引き上げの影響を緩和する経済対策などで歳出が膨らんだ結果、実質的な一般会計の規模(消費増税対策の「臨時・特別の措置」を含む)は対前年度当初比3.8%増の101兆4,564億円となり、史上初めて100兆円を突破した。さらに赤字国債(特例公債)の発行額は同6.8%減の25兆7,078億円となったが、赤字国債に多くを依存する予算編成は2019年度も続いた。
一方、歳出の約3分の1を占める社会保障関係費は同3.2%増の34兆587億円となり、6,000億円前後と想定されていた自然増を約4,800億円に抑制できたものの、ここ数年で見られる薬価頼みと帳尻合わせの傾向が続いた。本レポートでは、2019年度予算案の概要を把握するとともに、筆者の関心事である医療・介護分野を中心に、社会保障関係予算の内容を分析する。その上で、費用抑制における薬価頼みや帳尻合わせの実態を考察する。
■目次
1――はじめに~2019年度の社会保障関係予算~
2――2019年度予算案の状況
3――社会保障関係予算の概要(1)~消費税増収分を活用した充実~
1|社会保障の充実は計8,000億円規模に
2|幼児教育・保育の無償化
3|介護人材の処遇改善
4|低所得高齢者の介護保険料負担軽減の強化
5|地域医療介護総合確保基金の拡充
6|医療ICT化促進基金の創設
4――社会保障関係費の概要(2)~消費税引き上げに対応する各種報酬の改定~
5――社会保障関係費の概要(3)~薬価削減など抑制策の内容~
1|自然増の抑制を巡る議論
2|薬価などの削減
3|介護保険料の総報酬割の拡大
4|生活保護の見直し
5|歳出抑制策の評価
6――社会保障関係費の概要(4)~その他に論点となった制度改正~
1|後期高齢者医療制度の保険料軽減特例と「年金生活者支援給付金」の創設
2|未婚のひとり親世帯に対する支援
7――おわりに~PB黒字化と2025年に向けて~
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