2019年10月23日

改正債権法の解説(4)-フリマアプリトラブル、どうなる?

保険研究部 専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長 松澤 登

このレポートの関連カテゴリ

文字サイズ

■要旨

昨今はフリマアプリで個人から物を買うことが行われることが、普通に行われるようになった。個人間の取引では「特定」の物を売買することが多いと思われるが、その「特定」の物に不具合があった場合の対処について改正債権法に沿って解説を行う。
 
まず、物品に契約を解除するほどの重大な不具合があるわけではなく、一応は「契約の目的が達成できる」ものの、品質が満足できるものではなく「契約の目的に適合しない」物の場合は、追完(交換・修繕)請求ができ、追完してもらえない場合は、代金減額請求ができる。
 
他方、物品の不具合が重大で「契約の目的が達成できない」場合は、契約解除をして代金の返還請求ができる。この場合、同時に損害賠償請求が可能であるが、どのようなものが損害かについては個別の事例によって異なる。
 
ネット取引は販売店で物を買うのとは異なり、売り手側、買い手側ともにトラブルに慣れているわけではなく、少額の物から取引を始めるなど「慣れ」を養っていく必要があるのかも知れない。

■目次

1――はじめに
2――売主の契約内容不適合責任
  1|現行民法の規律-瑕疵担保責任
  2|改正債権法の規律―売主の契約内容不適合責任
3――債務不履行の規律
  1|契約の解除
  2|損害賠償請求
4――おわりに

(2019年10月23日「基礎研レター」)

このレポートの関連カテゴリ

Xでシェアする Facebookでシェアする

保険研究部   専務取締役 研究理事 兼 ヘルスケアリサーチセンター長

松澤 登 (まつざわ のぼる)

研究・専門分野
保険業法・保険法|企業法務

経歴
  • 【職歴】
     1985年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
     2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
     2018年4月 取締役保険研究部研究理事
     2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
     2024年4月より現職

    【加入団体等】
     東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
     東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
     大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
     金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
     日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等

    【著書】
     『はじめて学ぶ少額短期保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2024年02月

     『Q&Aで読み解く保険業法』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2022年07月

     『はじめて学ぶ生命保険』
      出版社:保険毎日新聞社
      発行年月:2021年05月

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【改正債権法の解説(4)-フリマアプリトラブル、どうなる?】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

改正債権法の解説(4)-フリマアプリトラブル、どうなる?のレポート Topへ