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- 改正債権法の解説(2)-損害賠償額が増加する?
2019年09月24日
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■要旨
改正債権法シリーズの二回目は法定利率の変更について説明を行いたい。法定利率は、たとえば金銭の貸し借りをしたが、当事者間で具体的な金利を定めなかった場合に適用される利率のことである。現在5%であるが、2020年4月より3%に引き下げられる。
法定利率は固定制ではなく、3年を一期として期ごとに見直しが行われることとされた。それぞれの期初で算定される過去5年間の平均短期金利と、前回法定利率改定時の過去5年間の平均短期金利とを比較し、その変動幅に基づいて改定の有無、幅が自動的に決定するような仕組みが導入された。
法定利率はたとえば死亡事故が発生した場合における、死亡者が得るはずであった将来の利益(逸失利益)を現在の価値に割り戻す際に用いられる。割戻しに使われる利率が5%から3%に引き下げられることにより、逸失利益の現在価値が増加することとなる。したがって死亡事故等を起こした加害者が被害者遺族に賠償すべき金額が増加することとなる。
損害賠償額の増加に対しては、損害保険によるリスク分散が有効である。ただ、自転車事故など加害者が必ずしも損害保険に加入していない場合もあるため注意が必要である。
■目次
1――はじめに
2――法定利率の改定内容
1|改定法定利率制度の概要
2|法定利率の改定方法
3|いつの時点の法定利率が適用されるか
3――中間利息控除
1|中間利息控除とは
2|死亡時における逸失利益
4――おわりに
改正債権法シリーズの二回目は法定利率の変更について説明を行いたい。法定利率は、たとえば金銭の貸し借りをしたが、当事者間で具体的な金利を定めなかった場合に適用される利率のことである。現在5%であるが、2020年4月より3%に引き下げられる。
法定利率は固定制ではなく、3年を一期として期ごとに見直しが行われることとされた。それぞれの期初で算定される過去5年間の平均短期金利と、前回法定利率改定時の過去5年間の平均短期金利とを比較し、その変動幅に基づいて改定の有無、幅が自動的に決定するような仕組みが導入された。
法定利率はたとえば死亡事故が発生した場合における、死亡者が得るはずであった将来の利益(逸失利益)を現在の価値に割り戻す際に用いられる。割戻しに使われる利率が5%から3%に引き下げられることにより、逸失利益の現在価値が増加することとなる。したがって死亡事故等を起こした加害者が被害者遺族に賠償すべき金額が増加することとなる。
損害賠償額の増加に対しては、損害保険によるリスク分散が有効である。ただ、自転車事故など加害者が必ずしも損害保険に加入していない場合もあるため注意が必要である。
■目次
1――はじめに
2――法定利率の改定内容
1|改定法定利率制度の概要
2|法定利率の改定方法
3|いつの時点の法定利率が適用されるか
3――中間利息控除
1|中間利息控除とは
2|死亡時における逸失利益
4――おわりに
(2019年09月24日「基礎研レター」)

03-3512-1866
経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
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