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2018年12月25日
ベーシック 米国生保業界の概要(2)米国生保の収入構造2017-米国生命保険協会のファクトブック掲載データから-
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3―― 投資収益と投資収益率
2|投資収益率
図表8は投資パフォーマンスを示す3つの指標の推移である。最近の低金利状況等を受けて各投資収益率は低下し続けてきた。
正味収益率は、投資費用控除後、連邦所得税控除前の正味投資収益を純投資資産の2年間平均残高で割り算することによって算出される。
2017年、総資産(一般勘定+分離勘定)の正味収益率は4.28%で、2016年の4.50%から低下した。また、分離勘定を含まない一般勘定資産のみで計算した一般勘定正味収益率も、2017年は4.80%と、2016年の4.86%からわずかながら低下した。
確定利付き資産(一般勘定+分離勘定)の総投資収益率は、債券、優先株式、モーゲージという確定利付き資産に分類される資産の投資収益の測定に使用される指標である。確定利付き資産の総投資収益を確定利付き資産の平均純投資額で割ることによって計算される。減価償却費、投資費用は考慮しない。値上がり益のある株式投資を除くのは、計算の分母と分子における不公平な処理を避けるためである。
2017年の確定利付資産総収益率は4.43%、2016年の4.56%から低下した。
図表8は投資パフォーマンスを示す3つの指標の推移である。最近の低金利状況等を受けて各投資収益率は低下し続けてきた。
正味収益率は、投資費用控除後、連邦所得税控除前の正味投資収益を純投資資産の2年間平均残高で割り算することによって算出される。
2017年、総資産(一般勘定+分離勘定)の正味収益率は4.28%で、2016年の4.50%から低下した。また、分離勘定を含まない一般勘定資産のみで計算した一般勘定正味収益率も、2017年は4.80%と、2016年の4.86%からわずかながら低下した。
確定利付き資産(一般勘定+分離勘定)の総投資収益率は、債券、優先株式、モーゲージという確定利付き資産に分類される資産の投資収益の測定に使用される指標である。確定利付き資産の総投資収益を確定利付き資産の平均純投資額で割ることによって計算される。減価償却費、投資費用は考慮しない。値上がり益のある株式投資を除くのは、計算の分母と分子における不公平な処理を避けるためである。
2017年の確定利付資産総収益率は4.43%、2016年の4.56%から低下した。
4――営業利益NET GAIN FROM OPERATIONS
ファクトブックの第4章は、『収入』という表題ながら、営業利益に話を進めている。米国の生保法定会計規則の下では、保険事業からの営業利益は純利益よりも先に計算される。
営業利益は、総収入から営業経費、保険契約者配当金、および連邦所得税(ただしキャピタルゲインは営業利益に含まれていないため、キャピタルゲインに対する税金を除く)を差し引いたものである。なお、営業利益に税引後のキャピタルゲインを加算して税引後の純利益が計算される。
連邦所得税引き後の営業利益は、2017年には対2016年で5.3%減少して584億ドルになった。
図表9の事業ライン別の営業利益状況を見ると、個人年金と団体年金の年金ラインが325億ドルと全体の55.6% を計上する稼ぎ頭である。個人、団体あわせた生命保険ラインが70億ドル、12%であった。個人、団体あわせた医療保険が69億ドルと、生命保険とほぼ同額を稼いでいる。
また「その他」の事業ラインが121億ドルと、生命保険や医療保険を凌ぐ利益を挙げていることが目を引く。ファクトブックは「その他」について、「労働者災害補償保険、航空保険等のビジネスライン」を表の脚注で例に挙げているのみであるが、企業年金の管理業務や一般企業の余裕資金運用に対応する商品の提供等も含まれるのではないかと思われる。
営業利益は、総収入から営業経費、保険契約者配当金、および連邦所得税(ただしキャピタルゲインは営業利益に含まれていないため、キャピタルゲインに対する税金を除く)を差し引いたものである。なお、営業利益に税引後のキャピタルゲインを加算して税引後の純利益が計算される。
連邦所得税引き後の営業利益は、2017年には対2016年で5.3%減少して584億ドルになった。
図表9の事業ライン別の営業利益状況を見ると、個人年金と団体年金の年金ラインが325億ドルと全体の55.6% を計上する稼ぎ頭である。個人、団体あわせた生命保険ラインが70億ドル、12%であった。個人、団体あわせた医療保険が69億ドルと、生命保険とほぼ同額を稼いでいる。
また「その他」の事業ラインが121億ドルと、生命保険や医療保険を凌ぐ利益を挙げていることが目を引く。ファクトブックは「その他」について、「労働者災害補償保険、航空保険等のビジネスライン」を表の脚注で例に挙げているのみであるが、企業年金の管理業務や一般企業の余裕資金運用に対応する商品の提供等も含まれるのではないかと思われる。
さいごに
以上、今回は収入構造の面から米国生保の概況を見たが、米国生保協会の「ファクトブック」にはさらに様々な情報が盛り込まれている。
今後も継続的に「ファクトブック」を材料とした米国生保の概況紹介を行って行くこととしたい。
今後も継続的に「ファクトブック」を材料とした米国生保の概況紹介を行って行くこととしたい。
(2018年12月25日「保険・年金フォーカス」)
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