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- 苦戦する国内中小型株ファンド~2018年7月の投信動向~
コラム
2018年08月08日
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資金流入が全体的に鈍化
2018年7月の国内公募追加型投信(ETFを除く)の推計資金流出入をみると、国内株式、外国株式、バランス型への資金流入自体は続いたが、6月より鈍化した【図表1】。国内株式が6月1,200億円から7月1,000億円に、外国株式が2,500億円から1,600億円に、バランス型が1,400億円から1,000億円弱に資金流入が縮小した。特に、外国株式の資金流入鈍化が顕著であった。
外国債券、国内REIT、外国REITでは、資金流出が続いた。特に、外国債券からの資金流出は1,500億円弱と4カ月連続で1,000億円を超えた。外国債券の中では、引き続き新興国債券からの資金流出が顕著であり、流出金額は3カ月連続で400億円を超えた。
外国債券、国内REIT、外国REITでは、資金流出が続いた。特に、外国債券からの資金流出は1,500億円弱と4カ月連続で1,000億円を超えた。外国債券の中では、引き続き新興国債券からの資金流出が顕著であり、流出金額は3カ月連続で400億円を超えた。
テーマ株ファンドからの資金流出も
国内株式では、大型株のアクティブ・ファンドの資金流入は大規模な新規設定【図表2:赤太字】があったこともあり6月から増加した。その一方で、パッシブ・ファンドへの資金流入は止まった。日経平均株価が22,000円割れした上旬は資金流入していたものの、日経平均株価が22,500円を越えた中旬に大規模な資金流出があったためである。パッシブ・ファンドに加えて、中小型株ファンドへの資金流入も減速し、国内株式全体では資金流入が鈍化した。
中小型株ファンドへの資金流入が減速
このように中小型株ファンドの人気に陰りが見えている背景には、4月以降の中小型株ファンドのパフォーマンスが考えられる。中小型株ファンドの収益率の分布をみると、2017年度はほとんどの中小型株ファンドが市場平均を上回り、総じて好調であった【図表4:右分布図の横軸】。それが4月以降は一転して市場平均はおろか、多くの中小型株ファンドの収益率がマイナスになっている【縦軸】。この足元の低調なパフォーマンスが中小型株ファンドへの投資意欲を衰退させているのかもしれない。
中小型株ファンドは2017年度好調だっただけに、足元の調整はその反動とも考えられる。ただ、中小型株ファンドを保有している投資家のほとんどが含み益を抱えていると推察される。つまり、利益確定やポジション整理のための売却が出やすい状況であると考えられる。実際に4月以降、中小型株ファンドには資金流入が止まっただけでなく、断続的に資金流出しているファンドもある。中小型株は流動性が低いだけに、中小型株ファンドから資金流出は中小型株市場の需給悪化を招きやすい。ファンドからの流出金額自体が小額でも株価下落を誘発し、その資金流出自体がパフォーマンスの悪化要因になる可能性がある。ゆえに今後の中小型株ファンドには注意が必要であると思われる。
中小型株ファンドは2017年度好調だっただけに、足元の調整はその反動とも考えられる。ただ、中小型株ファンドを保有している投資家のほとんどが含み益を抱えていると推察される。つまり、利益確定やポジション整理のための売却が出やすい状況であると考えられる。実際に4月以降、中小型株ファンドには資金流入が止まっただけでなく、断続的に資金流出しているファンドもある。中小型株は流動性が低いだけに、中小型株ファンドから資金流出は中小型株市場の需給悪化を招きやすい。ファンドからの流出金額自体が小額でも株価下落を誘発し、その資金流出自体がパフォーマンスの悪化要因になる可能性がある。ゆえに今後の中小型株ファンドには注意が必要であると思われる。
ブラジル株ファンドが好調
(ご注意)当資料のデータは信頼ある情報源から入手、加工したものですが、その正確性と完全性を保証するものではありません。当資料の内容について、将来見解を変更することもあります。当資料は情報提供が目的であり、投資信託の勧誘するものではありません。
(2018年08月08日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
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