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2017年01月12日
米国では、人々はどのように生命保険に加入しているのか(3)~リムラ&ライフハプンズの保険バロメータースタディより-米国の生命保険非加入者が生命保険に加入しない理由-
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2|日本の人々が生命保険に加入しない理由(生命保険加入に対する障害)
一方、日本の調査結果を見ると、こちらでも、「経済的余裕がないから(48.2%)」「保険料が高いから」(17.0%)という経済的、懐事情に関する理由が、他を圧倒的に上回る第1位非加入理由となっており、米国の第1位理由「保険料が高すぎる(64%)」と対応した形になっている。
そこから20%超の開きをおいて、「生命保険の必要性をあまり感じていないので(25.6%)」、「生命保険についてよくわからないから(13.8%)」が続く。これらは、米国の第3位の「私は必要なだけ加入している(加入者の場合)(57%)、必要を感じない(非加入者の場合)(43%)」、第4位の「いくらの保障が必要なのか/どのようなタイプの商品を買うべきなのか、確信が持てない(40%)」にそれぞれ対応しているように思われる。日本の調査結果の「公的年金や公的医療保険、公的介護保険など国の社会保障があるので(5.9%)」「退職金や企業年金など会社の保障(福利厚生)があるので(2.9%)」も「生命保険の必要性を感じない」という項目に含まれると考えてもよさそうである。
米国における第2位の未加入理由「他に金融優先度が高いものがある(59%)」に対応する日本の非加入理由は「貯蓄などの他の金融商品のほうが有利だと思うので(6.5%)」ぐらいだろうか。「経済的余裕がないから(48.2%)」の中にも該当する事情が含まれるかも知れない。日本の調査では、米国の問題意識にぴたっとあうような質問項目は設けられていない。
米国の調査結果、「保険エージェントを信頼していない(38%)」、「保険会社を信頼していない(38%)」に近い日本の非加入理由は「生命保険が嫌いなので(4.7%)」ぐらいかと思うが、これについても日本のこの調査では、米国の問題意識に対応する質問項目は設けられていない。
ただし、紙幅の関係で、ここでは使用しなかったが、別途ニッセイ基礎研究所が行った消費者調査の結果の中には、非加入理由として「過去に会社や担当者とトラブルがあり解約した」、「保険金が支払われるかどうか不安だから」、「外交員にしつこく加入を迫られるのが嫌だ」という項目を設けて聞いたものがある。その結果は、それぞれ1.1%、2.7%、5.3%である。「信頼の問題」は、米国における方が、より深刻なようだ。
ここから先は、米国における調査結果を読み進めることとする。
一方、日本の調査結果を見ると、こちらでも、「経済的余裕がないから(48.2%)」「保険料が高いから」(17.0%)という経済的、懐事情に関する理由が、他を圧倒的に上回る第1位非加入理由となっており、米国の第1位理由「保険料が高すぎる(64%)」と対応した形になっている。
そこから20%超の開きをおいて、「生命保険の必要性をあまり感じていないので(25.6%)」、「生命保険についてよくわからないから(13.8%)」が続く。これらは、米国の第3位の「私は必要なだけ加入している(加入者の場合)(57%)、必要を感じない(非加入者の場合)(43%)」、第4位の「いくらの保障が必要なのか/どのようなタイプの商品を買うべきなのか、確信が持てない(40%)」にそれぞれ対応しているように思われる。日本の調査結果の「公的年金や公的医療保険、公的介護保険など国の社会保障があるので(5.9%)」「退職金や企業年金など会社の保障(福利厚生)があるので(2.9%)」も「生命保険の必要性を感じない」という項目に含まれると考えてもよさそうである。
米国における第2位の未加入理由「他に金融優先度が高いものがある(59%)」に対応する日本の非加入理由は「貯蓄などの他の金融商品のほうが有利だと思うので(6.5%)」ぐらいだろうか。「経済的余裕がないから(48.2%)」の中にも該当する事情が含まれるかも知れない。日本の調査では、米国の問題意識にぴたっとあうような質問項目は設けられていない。
米国の調査結果、「保険エージェントを信頼していない(38%)」、「保険会社を信頼していない(38%)」に近い日本の非加入理由は「生命保険が嫌いなので(4.7%)」ぐらいかと思うが、これについても日本のこの調査では、米国の問題意識に対応する質問項目は設けられていない。
ただし、紙幅の関係で、ここでは使用しなかったが、別途ニッセイ基礎研究所が行った消費者調査の結果の中には、非加入理由として「過去に会社や担当者とトラブルがあり解約した」、「保険金が支払われるかどうか不安だから」、「外交員にしつこく加入を迫られるのが嫌だ」という項目を設けて聞いたものがある。その結果は、それぞれ1.1%、2.7%、5.3%である。「信頼の問題」は、米国における方が、より深刻なようだ。
ここから先は、米国における調査結果を読み進めることとする。
2――米国において、生命保険よりも優先順位が高いと見なされているお金の使い道
では、具体的に、どのような使い道が生命保険よりも優先されているのか。
次の表1は「生命保険よりも金融上・財務上の優先順位が高い金融上の事柄」とは何かに対する回答の概要である。
生命保険料を支払うよりも優先的にお金を振り向けるべき重要なことがらとしてまず挙げられたのは、日々の生活に必要な経費であった。
18~35歳層(ミレニアル層)では、住宅ローン、食費、電気料金のような特に緊急性の高い基本的生活経費(54%)とインターネット料金、ケーブルテレビ料金、携帯電話料金のようなやや緊急性の薄い追加的生活経費(46%)の間には8%のギャップしかなく、ともに必要性の高い重要な支払先と考えられているようである。
また生命保険を購入するよりも、緊急資金を作り、カードローン等の支払いをし、退職に備えて貯蓄に励む人たちも3分の1以上いる。
いずれもやむを得ない支出と見え、限られたお金がこれらのために使われるので生命保険には加入できないとされることも仕方ないようにも思えるが、米国生保業界は、こうした状況を自らの怠慢の結果と考えているようである。
リムラ&ライフハプンズは、消費者が、「生命保険の税制上の有利さ」、「キャッシュバリューが蓄積され、これを解約して引き出したり借り出したりできることによって人生の予期せざる(あるいは予期された)出来事を乗り切ることができる」という「生命保険の潜在的な資金形成機能」について学ぶことができれば、得るものは大きいのではないかとしている。また、「早く生命保険に加入すればするほど長期的にはお金を節約することができることになる」という事実を知ることは、若い消費者に役立つことになるのではないかともしている。
次の表1は「生命保険よりも金融上・財務上の優先順位が高い金融上の事柄」とは何かに対する回答の概要である。
生命保険料を支払うよりも優先的にお金を振り向けるべき重要なことがらとしてまず挙げられたのは、日々の生活に必要な経費であった。
18~35歳層(ミレニアル層)では、住宅ローン、食費、電気料金のような特に緊急性の高い基本的生活経費(54%)とインターネット料金、ケーブルテレビ料金、携帯電話料金のようなやや緊急性の薄い追加的生活経費(46%)の間には8%のギャップしかなく、ともに必要性の高い重要な支払先と考えられているようである。
また生命保険を購入するよりも、緊急資金を作り、カードローン等の支払いをし、退職に備えて貯蓄に励む人たちも3分の1以上いる。
いずれもやむを得ない支出と見え、限られたお金がこれらのために使われるので生命保険には加入できないとされることも仕方ないようにも思えるが、米国生保業界は、こうした状況を自らの怠慢の結果と考えているようである。
リムラ&ライフハプンズは、消費者が、「生命保険の税制上の有利さ」、「キャッシュバリューが蓄積され、これを解約して引き出したり借り出したりできることによって人生の予期せざる(あるいは予期された)出来事を乗り切ることができる」という「生命保険の潜在的な資金形成機能」について学ぶことができれば、得るものは大きいのではないかとしている。また、「早く生命保険に加入すればするほど長期的にはお金を節約することができることになる」という事実を知ることは、若い消費者に役立つことになるのではないかともしている。
(2017年01月12日「保険・年金フォーカス」)
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