2018年01月29日

【10-12月期米GDP】前期比年率+2.6%、在庫、外需が成長を押下げ

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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(図表6)米国の実質政府支出(寄与度) (政府支出)連邦、州・地方政府ともに前期から伸びが加速
政府支出の内訳をみると、連邦政府支出が前期比年率+3.5%(前期:+1.3%)と前期から伸びが加速したほか、州・地方政府も+2.6%(前期:+0.2%)と前期から伸びが加速した(図表6)。

連邦政府支出では、国防関連支出が+6.0%(前期:+2.4%)と前期から伸びが加速したほか、非国防支出が+0.1%(前期:▲0.2%)と4期ぶりにプラスに転じた。
(貿易)輸入の大幅な増加が純輸出減少の要因
10-12月期の輸出入の内訳をみると、輸出が前期比年率+6.9%(前期:+2.1%)と前期から伸びが加速した一方、輸入が+13.9%(前期:▲0.7%)と前期から大幅なプラスに転じており、当期は主に輸入の増加が純輸出の減少に寄与したことが分かる(図表7、8)。
(図表7)米国の実質輸出(寄与度)/(図表8)米国の実質輸入(寄与度)
輸出を仔細にみると、財輸出が前期比年率+12.6%(前期:+1.8%)と前期から大幅に伸びが加速した一方、サービス輸出は▲3.3%(前期:+2.5%)とこちらは16年10-12月期以来のマイナスに転じた。財輸出では、飲食料が▲35.2%(前期:+7.4%)と前期からマイナスに転じたほか、自動車関連を除く資本財も+6.4%(前期:+15.2%)と前期から伸びが鈍化した。一方、自動車関連が+9.5%(前期:▲4.9%)、消費財が+14.6%(前期:▲2.6%)、工業用原料も+34.2%(前期:▲7.4%)と前期からプラスに転じた。

輸入では、財輸入が+16.8%(前期:▲0.2%)、サービス輸入が+1.7%(前期:▲2.6%)といずれも前期からプラスに転じた。財輸入では石油製品が+13.8%(前期:▲13.4%)、自動車関連が+8.1%(前期:▲0.6%)、消費財が+35.6%(前期:▲6.5%)といずれも3期ぶりにプラスに転じたほか、自動車を除く資本財が+13.1%(前期:+13.2%)と前期に続き高い伸びを維持した。
(物価・名目値)PCE価格指数、コア指数ともに前年同期比で3期ぶりに伸びが加速
10-12月期のGDP価格指数は、前期比年率+2.4%(前期:+2.1%)と前期から伸びが加速、市場予想(同+2.3%)も上回った。この結果、名目GDP成長率は前期比年率+5.0%(前期:同+5.3%)と14年7-9月期(同+7.1%)以来となった前期から小幅ながら伸びが鈍化した(図表9)。

一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+2.8%、前年同期比+1.7%(前期:+1.5%、+1.5%)と前期比、および前年同期比ともに前期から伸びが加速した(図表10)。さらに、食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数も前期比年率+1.9%、前年同期比+1.5%(前期:+1.3%、+1.4%)と、総合指数同様、いずれも前期から伸びが加速した。

この結果、PCE価格指数、コア指数(前年同期比)ともにFRBの物価目標(2%)を下回っているものの、3期ぶりにインフレ率が上昇に転じた。足元で原油価格が上昇しているほか、労働市場の回復も持続していることから、当面は物価の緩やかな上昇が見込まれる。
(図表9)米国の名目と実質の成長率/(図表10)米国のPCE価格指数伸び率
 
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
 
 

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2018年01月29日「経済・金融フラッシュ」)

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