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2017年01月25日
EIOPAによる2016年度保険ストレステストの結果について(2)-EIOPAの報告書の概要報告-
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1―はじめに
EIOPA(欧州保険年金監督局)は、2016年12月15日に「2016 EIOPA保険ストレステスト報告書(2016 EIOPA Insurance Stress Test Report)」1(以下、「今回の報告書」という)を公表した。
このEIOPAによって2016年に実施された欧州保険会社に対するストレステストの結果に基づいて、欧州保険会社の脆弱性と耐性力に関する状況について、4回のレポートで報告している。
前回のレポートでは、今回の報告書の概要とストレス前の貸借対照表に基づくベースラインの状況について報告した。今回のレポートでは、今回の報告書の第3章のストレステストの結果のうち、EU(欧州連合)全体の結果の概要と、(1)貸借対照表ベースの指標、(2)負債超過資産への影響、について報告する2。
1 EIOPAのプレス・リリース資料 https://eiopa.europa.eu/Publications/Press%20Releases/2016-12-15%20Insurance%20Stress%20Test%20ResultsFinalFinal.pdf
2 今回のレポートにおける図表等については、特に断りが無い限り、EIOPAの「2016 EIOPA保険ストレステスト報告書」からの引用によるものであり、必要に応じて、説明のための数値の強調や翻訳等を行っている。
このEIOPAによって2016年に実施された欧州保険会社に対するストレステストの結果に基づいて、欧州保険会社の脆弱性と耐性力に関する状況について、4回のレポートで報告している。
前回のレポートでは、今回の報告書の概要とストレス前の貸借対照表に基づくベースラインの状況について報告した。今回のレポートでは、今回の報告書の第3章のストレステストの結果のうち、EU(欧州連合)全体の結果の概要と、(1)貸借対照表ベースの指標、(2)負債超過資産への影響、について報告する2。
1 EIOPAのプレス・リリース資料 https://eiopa.europa.eu/Publications/Press%20Releases/2016-12-15%20Insurance%20Stress%20Test%20ResultsFinalFinal.pdf
2 今回のレポートにおける図表等については、特に断りが無い限り、EIOPAの「2016 EIOPA保険ストレステスト報告書」からの引用によるものであり、必要に応じて、説明のための数値の強調や翻訳等を行っている。
2―ストレステストの結果-EU全体の結果の概要-
前回のレポートで述べたとおり、ストレステストの結果については、EU全体の結果の概要について触れた後、(1)貸借対照表ベースの指標、(2)負債超過資産への影響、(3)デュレーション及びキャッシュフローパターン分析、(4)重要な影響変数、(5)デリバティブ分析、(6)2次的影響の分析、についての説明が行われている。
この章では、EU全体の結果の概要について報告する。
1|今回のストレステストの結果分析の考え方
今回のストレステストの結果分析においては、2つのストレスシナリオの影響について、報告された貸借対照表の数値ならびに資産及び負債のキャッシュフローから作成される様々な指標に基づいて、検討が行われている。ストレスシナリオに対する保険会社の脆弱性を評価するために、ストレスシナリオ適用後の財務状況とベースラインの財務状況を比較している。
ストレスシナリオが参加会社の貸借対照表に及ぼす影響を強調するために、資産と負債の差異が使用されている。この指標は、資産及び負債の市場価値を考慮に入れているが、これらの価値の変動に起因するリスクの変動は反映されていない。さらに、負債超過資産(excess of assets over liabilities )から直接的に得られる自己資本以外の自己資本要素を考慮していない。
このストレステストの目的は、規制上の資本要件の遵守ではなく、脆弱性を評価することにあるため、分析の焦点はSCR比率やMCR比率ではなく、負債超過資産の変化に向けられている。
2|EU全体の資産、負債、負債超過資産及び資産負債比率(AOL比率)への影響
2つのストレスシナリオは、EU/EEA(欧州経済地域)における参加会社全体の平均の資産負債比率(Assets over Liabilities ratio:AOL比率(=資産/負債))を約2%ポイント減少させる。
ダブルヒットシナリオ(duble-hit:DH)では、資産は 約6,100億ユーロ、9.7%減少し、負債は約4,500億ユーロ、7.8%減少する。その結果、負債超過資産は 約1,600億ユーロ、28.9%減少する。
長期低利回りシナリオ(low-for-long yield:LY)では、資産は 約2.800億ユーロ、4.5%増加し、負債は 約3,800億ユーロ、6.7%増加する。その結果、負債超過資産は 約1,000億ユーロ、18.0%減少する。
この章では、EU全体の結果の概要について報告する。
1|今回のストレステストの結果分析の考え方
今回のストレステストの結果分析においては、2つのストレスシナリオの影響について、報告された貸借対照表の数値ならびに資産及び負債のキャッシュフローから作成される様々な指標に基づいて、検討が行われている。ストレスシナリオに対する保険会社の脆弱性を評価するために、ストレスシナリオ適用後の財務状況とベースラインの財務状況を比較している。
ストレスシナリオが参加会社の貸借対照表に及ぼす影響を強調するために、資産と負債の差異が使用されている。この指標は、資産及び負債の市場価値を考慮に入れているが、これらの価値の変動に起因するリスクの変動は反映されていない。さらに、負債超過資産(excess of assets over liabilities )から直接的に得られる自己資本以外の自己資本要素を考慮していない。
このストレステストの目的は、規制上の資本要件の遵守ではなく、脆弱性を評価することにあるため、分析の焦点はSCR比率やMCR比率ではなく、負債超過資産の変化に向けられている。
2|EU全体の資産、負債、負債超過資産及び資産負債比率(AOL比率)への影響
2つのストレスシナリオは、EU/EEA(欧州経済地域)における参加会社全体の平均の資産負債比率(Assets over Liabilities ratio:AOL比率(=資産/負債))を約2%ポイント減少させる。
ダブルヒットシナリオ(duble-hit:DH)では、資産は 約6,100億ユーロ、9.7%減少し、負債は約4,500億ユーロ、7.8%減少する。その結果、負債超過資産は 約1,600億ユーロ、28.9%減少する。
長期低利回りシナリオ(low-for-long yield:LY)では、資産は 約2.800億ユーロ、4.5%増加し、負債は 約3,800億ユーロ、6.7%増加する。その結果、負債超過資産は 約1,000億ユーロ、18.0%減少する。
3|国別の資産、負債及び負債超過資産への影響
国別の結果は、以下の図表の通りとなる。
各国の市場特性を反映して、影響の現われ方は、国別・シナリオ毎に異なっている。
例えば、主要国だけ見ても、ドイツはいずれのシナリオでも同程度の大きな影響を受けるが、フランスや英国は一方のシナリオでは大きな影響を受けるが、他方のシナリオでの影響は相対的に小さくなっている。
イタリアでは、長期低利回りシナリオでの影響が小さくなっており、オランダは、ダブルヒットシナリオでの影響が小さなものとなっている。
ただし、この数値はあくまでもLTG及び移行措置を適用したベースの数値であり、各国間でLTG及び移行措置の適用状況3に差異があることから、これによってストレスシナリオの適用による影響の状況が変化してくることには注意が必要となる。
国別の結果は、以下の図表の通りとなる。
各国の市場特性を反映して、影響の現われ方は、国別・シナリオ毎に異なっている。
例えば、主要国だけ見ても、ドイツはいずれのシナリオでも同程度の大きな影響を受けるが、フランスや英国は一方のシナリオでは大きな影響を受けるが、他方のシナリオでの影響は相対的に小さくなっている。
イタリアでは、長期低利回りシナリオでの影響が小さくなっており、オランダは、ダブルヒットシナリオでの影響が小さなものとなっている。
ただし、この数値はあくまでもLTG及び移行措置を適用したベースの数値であり、各国間でLTG及び移行措置の適用状況3に差異があることから、これによってストレスシナリオの適用による影響の状況が変化してくることには注意が必要となる。
3 LTG及び移行措置の内容及び各国毎の適用状況については、保険年金フォーカス「EUソルベンシーIIにおけるLTG措置等の適用状況とその影響(1)~(4)-EIOPAの報告書の概要報告-」(2017.1.10~2017.1.16)を参照していただきたい。
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