2016年07月29日

2016年4-6月期の実質GDP~前期比0.1%(年率0.6%)を予測

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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公共工事請負金額、出来高の推移 ・公的固定資本形成~2015年度補正予算、2016年度当初予算の前倒し執行が押し上げ

公的固定資本形成は前期比1.0%と4四半期ぶりの増加を予測する。

公共工事の進捗を反映する公共工事出来高は2013年7-9月期の前年比25.7%をピークに鈍化傾向が続き、2015年9月以降は前年比で減少が続いている。一方、公共工事の先行指標である公共工事請負金額は2014年7-9月期から減少を続けてきたが、2016年1-3月期は前年比1.2%と7四半期ぶりの増加となった後、4-6月期は同4.0%と伸びを高めた。2015年度補正予算、2016年度当初予算の前倒し執行が押し上げ要因となっている。

なお、現在検討されている大型経済対策は9月に召集予定の臨時国会で成立することが見込まれるため、その効果が顕在化するのは年末以降となるだろう。
地域別輸出数量指数(季節調整値)の推移 ・外需寄与度~輸出入ともに減少し、前期比ほぼ横ばい
 
外需寄与度は前期比▲0.0%と小幅ながら4四半期ぶりのマイナスとなるだろう。財貨・サービスの輸出が前期比▲0.6%、財貨・サービスの輸入が前期比▲0.3%といずれも小幅な減少を予想する。

4-6月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比▲2.1%(1-3月期:同2.6%)、EU向けが前期比▲3.1%(1-3月期:同5.7%)、アジア向けが前期比▲1.1%(1-3月期:同0.5%)、全体では前期比▲0.1%(1-3月期:同▲0.3%)と小幅ながら2四半期連続の低下となった。1-3月期とは逆に4-6月期は主要3地域向けが弱め、中東、中南米、ロシアなどその他地域が強めとなったが、輸出数量全体では海外経済の減速、円高の進展を背景に横ばい圏の動きが続いている。

4-6月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前期比▲0.9%(1-3月期:同1.2%)と2四半期ぶりの低下となった。国内需要の低迷を反映し輸入は弱めの動きとなっている。
GDP統計の実質輸出(財)と日銀実質輸出の比較 なお、日本銀行が作成している4-6月期の実質輸出は前期比1.1%のプラスとなったが、日銀の実質輸出は財のみとなっているのに対し、GDP統計の輸出には輸送、旅行などサービスの受取が含まれている。また、概念的に近い財のみの輸出を比較しても実質化のデフレーター、季節調整パターンなどが異なることから、両者の動きは必ずしも一致しない。たとえば、日本銀行の実質輸出は2015年10-12月期が前期比プラス、2016年1-3月期がマイナスだが、GDP統計では符号が逆になっている。4-6月期は日銀の実質輸出はプラスだが、GDP統計の財の輸出はマイナスになると予想する。

 
日本・月次GDP 予測結果
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

(2016年07月29日「Weekly エコノミスト・レター」)

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