- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 消費者物価(全国16年6月)~コアCPI上昇率は年末頃までマイナスが継続する公算
2016年07月29日
1.コアCPI上昇率は4ヵ月連続のマイナス
コアCPIの内訳をみると、電気代(5月:前年比▲9.6%→6月:同▲9.5%)、ガス代(5月:前年比▲10.5%→6月:同▲10.0%)、ガソリン(5月:前年比▲16.1%→6月:同▲13.9%)、灯油(5月:前年比▲26.9%→6月:同▲25.6%)の下落幅がいずれも前月から縮小したため、エネルギー価格の下落率は5月の前年比▲12.6%から同▲11.8%へと縮小した。
一方、テレビ(5月:前年比5.2%→6月:同▲7.8%)、ビデオレコーダー(5月:前年比1.0%→6月:同▲4.8%)などの教養娯楽用耐久財が5月の前年比5.3%から同▲2.8%へと下落に転じたことがコアCPIを押し下げた。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.08%(5月:▲1.17%)、食料(生鮮食品を除く)が0.30%(5月:0.30%)、その他が0.28%(5月:0.48%)であった。
一方、テレビ(5月:前年比5.2%→6月:同▲7.8%)、ビデオレコーダー(5月:前年比1.0%→6月:同▲4.8%)などの教養娯楽用耐久財が5月の前年比5.3%から同▲2.8%へと下落に転じたことがコアCPIを押し下げた。
コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.08%(5月:▲1.17%)、食料(生鮮食品を除く)が0.30%(5月:0.30%)、その他が0.28%(5月:0.48%)であった。
2.物価下落品目数の増加が続く
消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、6月の上昇品目数は324品目(5月は326品目)、下落品目数は148品目(5月は144品目)となり、上昇(下落)品目数が前月から減少(増加)した。上昇品目数の割合は61.8%(5月は62.2%)、下落品目数の割合は28.2%(5月は27.5%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は33.6%(5月は34.7%)であった。
上昇品目数の割合は引き続き6割を超えているものの、3ヵ月連続で低下しており、東京都区部では上昇品目数の割合が5割を下回っている(6月:48.8%→7月:49.1%)。サービス価格は比較的底堅いが、円高に伴う輸入物価下落の影響を受けて、食料品、耐久財などの財の値下がりが目立つようになっている。
上昇品目数の割合は引き続き6割を超えているものの、3ヵ月連続で低下しており、東京都区部では上昇品目数の割合が5割を下回っている(6月:48.8%→7月:49.1%)。サービス価格は比較的底堅いが、円高に伴う輸入物価下落の影響を受けて、食料品、耐久財などの財の値下がりが目立つようになっている。
3.コアCPIは年末頃までマイナスが継続する公算
16年7月の東京都区部のコアCPIは前年比▲0.4%(6月:前年比▲0.5%)と7ヵ月連続の下落となり、下落率は前月から0.1ポイント縮小した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.5%、当社予想も▲0.5%)を上回る結果であった。
ガソリン(6月:前年比▲15.6%→7月:同▲15.6%)、灯油(6月:前年比▲19.1%→7月:同▲19.0%)の下落幅は前月とほぼ変わらなかったが、電気代(6月:前年比▲13.3%→7月:同▲11.4%)、ガス代(6月:前年比▲18.6%→7月:同▲16.7%)の下落幅が縮小したため、エネルギー価格の下落率は6月の前年比▲15.3%から同▲13.7%へと縮小した。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲0.86%(6月:▲1.00%)、食料(生鮮食品を除く)が0.23%(6月:0.25%)、その他が0.24%(6月:0.26%)であった。
原油価格(ドバイ)は1月中旬の1バレル=20ドル台半ばから一時50ドル近くまで上昇したが、足もとでは40ドル割れとなっており、円高の進行も加わりガソリン店頭価格は3週連続で値下がりしている(資源エネルギー庁調べ)。円高を主因とした輸入物価下落による物価下押し圧力は当面継続する可能性が高く、コアCPI上昇率は年末頃までマイナス圏の推移が続くことが予想される。
なお、消費者物価指数は来月(全国16年7月分、東京都区部16年8月分)から2015年基準での公表が開始され、2016年1月以降の上昇率が現行の2010年基準から2015年基準へと改定される。前回、前々回の基準改定では上昇率が過去に遡って大きく下方修正されたが、今回の基準改定に伴う修正は小幅にとどまるとみられる。
ガソリン(6月:前年比▲15.6%→7月:同▲15.6%)、灯油(6月:前年比▲19.1%→7月:同▲19.0%)の下落幅は前月とほぼ変わらなかったが、電気代(6月:前年比▲13.3%→7月:同▲11.4%)、ガス代(6月:前年比▲18.6%→7月:同▲16.7%)の下落幅が縮小したため、エネルギー価格の下落率は6月の前年比▲15.3%から同▲13.7%へと縮小した。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲0.86%(6月:▲1.00%)、食料(生鮮食品を除く)が0.23%(6月:0.25%)、その他が0.24%(6月:0.26%)であった。
原油価格(ドバイ)は1月中旬の1バレル=20ドル台半ばから一時50ドル近くまで上昇したが、足もとでは40ドル割れとなっており、円高の進行も加わりガソリン店頭価格は3週連続で値下がりしている(資源エネルギー庁調べ)。円高を主因とした輸入物価下落による物価下押し圧力は当面継続する可能性が高く、コアCPI上昇率は年末頃までマイナス圏の推移が続くことが予想される。
なお、消費者物価指数は来月(全国16年7月分、東京都区部16年8月分)から2015年基準での公表が開始され、2016年1月以降の上昇率が現行の2010年基準から2015年基準へと改定される。前回、前々回の基準改定では上昇率が過去に遡って大きく下方修正されたが、今回の基準改定に伴う修正は小幅にとどまるとみられる。
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
(2016年07月29日「経済・金融フラッシュ」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月25日
欧州大手保険グループの地域別の事業展開状況-2023年決算数値等に基づく現状分析- -
2024年04月24日
中国経済の現状と注目点-24年1~3月期は好調な出だしとなるも、勢いが持続するかは疑問 -
2024年04月24日
人手不足とインフレ・賃上げを考える -
2024年04月24日
米国でのiPhone競争法訴訟-司法省等が違法な独占確保につき訴え -
2024年04月23日
他国との再保険の監督に関する留意事項の検討(欧州)-EIOPAの声明
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【消費者物価(全国16年6月)~コアCPI上昇率は年末頃までマイナスが継続する公算】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
消費者物価(全国16年6月)~コアCPI上昇率は年末頃までマイナスが継続する公算のレポート Topへ