2015年12月17日

【12月米FOMC】予想通り0.25%の政策金利引き上げを実施。

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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4.会見の主なポイント

記者会見の主な内容は以下の通り。
 
  • 政策金利引上げ理由
    • 労働市場の更なる改善とインフレ率が中期的に2%目標に向かうとの合理的な確信が得られたことによる
    • インフレ率は2%の目標を下回っているものの、一時的な要因によるものでいずれ解消される。また、労働市場の緩みの解消により今後物価には上昇圧力がかかる
    • 現在の状況から判断すると小幅な利上げが正当化される
    • 金融政策を変更してから効果がでるまでに時間がかかる。政策金利の正常化が遅れた場合には将来急激に金利を引き上げる必要が生じる
    • 今回の利上げの後でも依然として金融政策は緩和的である
       
  • 政策金利引上げペース・正常化プロセス
    • 将来の金融政策は雇用最大化と2%の物価目標という政策目標に比べて経済状況がどの程度改善するかによるが、現状では正常化のプロセスは漸進的となるとみられる
    • (追加利上げの条件は物価が現在より上昇することかとの問いに対して)インフレと追加利上げに関する単純な公式はない。
    • 現状では最適なバランスシートの規模について具体的に特定できない。再投資縮小のタイミングは経済と金融の情勢次第である 
       
  • インフレ
    • 物価目標未達の大きな要因は昨年後半からの急激なエネルギー価格の下落による
    • この影響は今後解消されてくる。原油価格は大幅な上昇を見込んでいないが、価格の安定が重要。
    • ドル高に伴う輸入物価の下落も物価に影響した
    • 市場が織込む期待インフレ率の低下は、明白な期待インフレの低下というより、リスクプレミアムや流動性の変化が影響した可能性
       
  • 新興国への影響
    • 新興国の政策当局とできる限り明確なコミュニケーションを実施
    • 多くの新興国は90年代に比べて強さを増しているものの、非常に注意深く見守っていく

5.FOMC参加者の見通し

FOMC参加者(FRBメンバーと地区連銀総裁の17名 )の経済見通しは(図表1)の通りである。前回(15年9月17日)公表されたものと比較すると、成長率見通しは16年が上方修正されたほか、失業率も16年から18年が上方修正(失業率は低下)された。一方、物価見通しについては16年の予想が下方修正された。
 
(図表1)FOMC参加者の経済見通し
(図表2)政策金利見通し(年末時点) 最後に政策金利の見通し(中央値)は、17年(2.625%→2.375%)と、18年(3.250→3.500%)が引き下げられた。一方、16年と長期見通しに変更はなかった。
 
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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

(2015年12月17日「経済・金融フラッシュ」)

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