- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 米国経済 >
- 【9月米FOMC】海外経済の不透明感の高まりを理由に政策金利は据え置き
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
【要旨】
1.金融政策の概要:政策金利は据え置き
米国で連邦公開市場委員会(FOMC)が9月16-17日(現地時間)に開催された。政策金利引上げ開始も市場の一部では予想されていたが、今月は見送られた。声明文では、設備投資に関する評価が上方修正されたたものの、最近の海外経済や金融市場の動向が経済活動に影響し、短期的に物価が下振れする可能性が指摘された。それ以外に声明文の目立った変更はなく、政策金利引上げ時期を示唆する文言も盛り込まれなかった。今回の政策決定に際しては、リッチモンド連銀のラッカー総裁が0.25%の利上げを主張して反対した。
FOMC参加者の見通しは、成長率および物価見通しが概ね下方修正される一方、失業率は上方修正(失業率は低下)された。政策金利の見通しは引上げ幅が下方修正された。
2.金融政策の評価:12月の政策金利引上げを予想
今回のFOMC会合では当研究所の予想通り政策金利の変更は見送られた。会合後の記者会見でイエレン議長は、労働市場の改善継続など、国内経済の回復に自信を示す一方、中国や新興国経済への懸念を背景に、前回(7月)会合以降の株価下落、ドル高、信用スプレッドの拡大により金融市場が引き締まっていることを示した。このため、同議長は経済活動が制約され短期的に物価が下振れする可能性を利上げ見送りの理由に挙げた。
元FRB副議長のコーン氏は以前、「金融政策決定はデータ次第」とFRBが説明していることに対して、それでは市場が毎月の経済指標で一喜一憂し、金融市場の変動性が大きくなると懸念していた。今回の記者会見では、それに呼応するかのようにFRBは経済見通しを基に意思決定しており、特定の経済指標や日々の金融市場によって判断が左右される訳ではないことを強調した。
一方、同議長はほとんどのFOMC参加者が年内利上げを予想しているとして、依然として年内利上げに意欲を示した。さらに、政策金利引上げ時期については、臨時の記者会見を開くことで10月の会合でも可能であることを示したが、開始時期に過剰反応せずその後の利上げペース等を総合的に判断すること求めた。
当研究所では、物価面からは政策金利引上げを急ぐ必要はないと判断しているものの、米国経済は底堅く推移しており、小幅な政策金利引上げであれば可能と考えている。もっとも、中国経済を中心とする海外経済への懸念が早期に解消することは難しいほか、資本市場の動向を見極めるのにも時間を要するため、利上げ開始は10月ではなく、12月と予想している。
(2015年09月18日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1824
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【【9月米FOMC】海外経済の不透明感の高まりを理由に政策金利は据え置き】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
【9月米FOMC】海外経済の不透明感の高まりを理由に政策金利は据え置きのレポート Topへ