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- 【米医療政策】オバマケアの米国経済への影響-ディスインフレ傾向が続く可能性も
2014年05月23日
- 2014年1月からオバマケアが本格的に開始され、実質的な皆保険制度が導入された。これは、医療へのアクセス向上を通じた社会保障の充実が主な目的で、民主・共和両党が真っ向から対立する政策でもある。そのため、政治的な話題が焦点になりやすいが、経済動向を考える上でも重要である。財政負担の増加や医療価格の抑制を通じて成長率や物価に影響を及ぼす可能性がある。
- オバマケアの導入は、政府支出を増加させる。そのため、財政赤字を一定に保つのであれば、オバマケアの導入は、その他の景気刺激を狙った裁量的支出を実施する余地を縮小させる。しかし、オバマケア導入による裁量的支出の圧迫規模は比較的小さく、成長率への影響も限定的と言える。
- 個人消費の動向を見ると、足もとで医療サービス支出の拡大が顕著である。オバマケアで医療保険加入者が増え、医療にアクセスしやすくなったなどの理由が背景にあると見られる。一方、財への支出は伸び悩んでおり、医療支出が増加したことで、財への支出が抑制されている可能性が考えられる。ただし、寒波等の影響による一時的な減速の可能性もあり、消費行動が変化したのかを判断するには、今後の動向を見る必要がある。
- 最近は医療価格の伸び率が減速傾向にある。背景には、景気が悪化したという循環的要因だけでなく、オバマケアによる医療支出抑制などの構造的要因が存在していると考えられる。そのため、今後はこれまでよりも医療価格の上昇が抑制される可能性がある。
- PCE価格指数で見た医療のウェイトは大きく、かつては医療価格の上昇がインフレ率の上昇に寄与した面が少なくなかった。医療価格を除いたコアインフレ率は、ここ20年でFRBの長期目標である2%を超えたことが1度しかなく、今後、医療価格の上昇率が伸び悩めば、ディスインフレ傾向が続く可能性もある。この場合、FRBは緩和的な金融政策を過度に続けてバブル的な状況を発生させることなどに注意する必要がある。
(2014年05月23日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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