2024年09月17日

ロシアGDP(2024年4-6月期)-減速したものの前年比4%台の高成長

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:前年比伸び率は4.1%

9月13日、ロシア連邦統計局は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(未季節調整系列)】
2024年4-6月期の前年同期比伸び率は4.1%、予想1(同4.0%)より上振れ、前期(同5.4%)から低下した(図表1・2)

(図表1)ロシアの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ロシアの実質GDP成長率(供給項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:月次成長率は前年比3%台まで低下

ロシアの24年4-6月期の実質GDP伸び率は前年比4.1%となり、8月9日に公表されていた予備推計値(4.0%)からやや上方修正された。また、季節調整系列の前期比は0.5%(年率換算2.1%)となり、1-3月期(前期比1.0%、年率換算4.1%)から減速したものの、8四半期連続でのプラス成長となった。また、戦争前(21年10-12月期)と比較した水準は4.4%だった。

執筆時点では需要別のデータは未公表であるが、戦争後では投資の成長が顕著(図表1)で1-3月期の戦争前比で21.5%の水準にある。以下では産業別のデータ等を確認していく。

産業別の伸び率は、前年比で第一次産業が0.6%、第二次産業が4.0%、第三次産業(金融・不動産)が6.5%、第三次産業(その他)が4.4%だった。前期比では第一次産業が1.5%、第二次産業が▲0.0%、第三次産業(金融・不動産)が1.0%、第三次産業(その他)が0.6%となり、傾向的には第三次産業の成長が全体の伸びをけん引している(図表4)。第一次産業は持ち直し、第二次産業は伸び悩みという状況にある。より細かい産業の伸び率は、鉱業(▲1.7%)、水道(▲1.0%)でマイナス幅が大きい一方、芸術・娯楽サービス(8.5%)、飲食・居住サービス(3.8%)、情報サービス(3.8%)などが高い伸びを記録し、成長をけん引してした(図表3)。
(図表3)ロシアの実質GDP成長率(24年4-6月期)
ウクライナ侵攻前との比較では、これまでロシア経済のけん引役だった鉱業(▲5.3%)がマイナス圏の一方、金融サービス(23.1%)、情報サービス(22.9%)、住居・飲食(19.8%)、建設業(16.4%)、政府サービス(13.2%)、技術サービス(10.7%)、製造業(10.2%)、事務サービス(10.1%)と多くの産業が2桁増の水準にある。一部の産業は冴えないものの、総じて活況と言えるだろう。

4-6月期の名目成長率は前年同期比15.5%(前期19.5%)、GDPデフレータ伸び率は前年同期比10.9%(同13.4%)となり、いずれも高い伸び率が続いている(図表5)。物価については、国内の消費者物価は9%台だが上昇傾向にある一方で、GDPデフレータの伸びは2桁の伸び率だが、低下傾向が続いており、やや方向感が異なる。
(図表4)ロシアの実質GDPの動向(供給項目別)/(図表5)ロシアの名目および実質成長率
(図表6)ロシアの実質GDP成長率 なお、24年以降の動向を経済発展省が公表する月次のGDP成長率(前年比)から確認すると、4月4.4%、5月4.5%、6月3.0%、7月3.4%となっており、6月以降は3%台まで低下している(図表6)。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年09月17日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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