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- 相続における死亡保険金-遺留分侵害請求
2025年08月26日
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■要旨
相続においては、被相続人の財産の一切が相続財産として相続人に継承される。しかし被相続人が加入し、相続人が保険金受取人となっていた生命保険契約の死亡保険金は、相続人が直接取得した財産となるため、相続財産に含まれないとするのが確定した判例である。
他方、遺留分侵害額請求の基礎となる相続財産の計算にあたっては「特別利益の持戻し」という取扱いを考慮する必要がある。被相続人は遺言によってその相続財産の分配を決めることができる。しかし、相続人の遺留分を侵害するような分配をした場合においては、侵害された相続人は他の相続人に対して侵害された額を請求することができる。
ここで遺留分とは、一般には相続人の法定相続分の2分の1とされている。たとえば法定相続分が2分の1の相続人については相続財産の4分の1が遺留分となる。
死亡保険金がこの特別受益に準ずるものとして持戻しの対象となるかどうかは、個別事情を勘案して、死亡保険金を受け取った相続人と他の相続人との不公平が是認できないほど著しい特段の事情がある場合であるかどうかで判断される。
下級審では相続財産全体と比較して2割程度の死亡保険金は特別受益に準ずるものとは判断されなかった判決がある一方で、相続財産全体と比較して4割を超える死亡保険金は特別受益に準ずるものとして持戻しを認めた判決がある。
■目次
1――はじめに
2――相続の仕組み
1|相続の基本
2|相続財産
3|遺言と遺留分
3――死亡保険金と相続財産
1|死亡保険金は相続財産に含まれるか
2|死亡保険金と遺留分
4――死亡保険金の特別受益該当性を判断した判決例
1|特別受益に準ずるとは認めなかった事例
2|特別受益に準ずると認めた事例
5――まとめにかえて
相続においては、被相続人の財産の一切が相続財産として相続人に継承される。しかし被相続人が加入し、相続人が保険金受取人となっていた生命保険契約の死亡保険金は、相続人が直接取得した財産となるため、相続財産に含まれないとするのが確定した判例である。
他方、遺留分侵害額請求の基礎となる相続財産の計算にあたっては「特別利益の持戻し」という取扱いを考慮する必要がある。被相続人は遺言によってその相続財産の分配を決めることができる。しかし、相続人の遺留分を侵害するような分配をした場合においては、侵害された相続人は他の相続人に対して侵害された額を請求することができる。
ここで遺留分とは、一般には相続人の法定相続分の2分の1とされている。たとえば法定相続分が2分の1の相続人については相続財産の4分の1が遺留分となる。
死亡保険金がこの特別受益に準ずるものとして持戻しの対象となるかどうかは、個別事情を勘案して、死亡保険金を受け取った相続人と他の相続人との不公平が是認できないほど著しい特段の事情がある場合であるかどうかで判断される。
下級審では相続財産全体と比較して2割程度の死亡保険金は特別受益に準ずるものとは判断されなかった判決がある一方で、相続財産全体と比較して4割を超える死亡保険金は特別受益に準ずるものとして持戻しを認めた判決がある。
■目次
1――はじめに
2――相続の仕組み
1|相続の基本
2|相続財産
3|遺言と遺留分
3――死亡保険金と相続財産
1|死亡保険金は相続財産に含まれるか
2|死亡保険金と遺留分
4――死亡保険金の特別受益該当性を判断した判決例
1|特別受益に準ずるとは認めなかった事例
2|特別受益に準ずると認めた事例
5――まとめにかえて
(2025年08月26日「保険・年金フォーカス」)
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経歴
- 【職歴】
1985年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所 内部監査室長兼システム部長
2015年4月 生活研究部部長兼システム部長
2018年4月 取締役保険研究部研究理事
2021年4月 常務取締役保険研究部研究理事
2024年4月 専務取締役保険研究部研究理事
2025年4月 取締役保険研究部研究理事
2025年7月より現職
【加入団体等】
東京大学法学部(学士)、ハーバードロースクール(LLM:修士)
東京大学経済学部非常勤講師(2022年度・2023年度)
大阪経済大学非常勤講師(2018年度~2022年度)
金融審議会専門委員(2004年7月~2008年7月)
日本保険学会理事、生命保険経営学会常務理事 等
【著書】
『はじめて学ぶ少額短期保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2024年02月
『Q&Aで読み解く保険業法』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2022年07月
『はじめて学ぶ生命保険』
出版社:保険毎日新聞社
発行年月:2021年05月
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