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- 世界的な株高で流入鈍化か~2025年6月の投信動向~
コラム
2025年07月08日
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外国株式ファンドへの資金流入が急減
6月も引き続き米関税政策の動向などに不透明感があったものの、世界的に株価が上昇した。株価上昇を受けて、多くの外国株式ファンドの基準価額が上昇した。そのため、以前に人気を集めたものの最近は売却基調が続いていたアクティブ型の外国株式ファンドでは、利益確定の動きが強まり、6月に流出が加速したファンドも多かった。
実際にアクティブ型の外国株式ファンドの中で、1カ月間に100億円以上資金流出があったファンドは、5月には存在しなかったが、6月には5本に達した。6月に5月を上回る流入を記録したファンド(赤太字)もあり、一般販売されているアクティブ型全体でみると400億円の流入超過となったものの、流入額は5月から大幅に減少した【図表2】。
実際にアクティブ型の外国株式ファンドの中で、1カ月間に100億円以上資金流出があったファンドは、5月には存在しなかったが、6月には5本に達した。6月に5月を上回る流入を記録したファンド(赤太字)もあり、一般販売されているアクティブ型全体でみると400億円の流入超過となったものの、流入額は5月から大幅に減少した【図表2】。
インデックス型の外国株式ファンドでも一部売却の動き
さらに、一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドも、全体の流入額は4,600億円とアクティブ型と比較して6月も大きかったが、利益確定の売却が膨らんでいた可能性がある。
元々、インデックス型の外国株式ファンドはNISAの中心商品となっており、NISA口座から買付によって資金流入が底上げされている。特につみたて投資枠は毎月安定した買付があり、さらにNISAの口座数の増加も相まって、買付額は緩やかに増加基調である。
実際につみたて投資枠からの買付は、新NISAが開始された2024年1-3月には四半期で1兆円程度であったが、2025年1-3月には1兆6,000億円を超えている。月次換算すると、2024年初は月3,500億円程度であったのが、2025年に入ってからは5,000億円を超える規模となっている【図表3:線グラフ】。この買付の大半は、インデックス型の外国株式ファンドに流れている。さらに、つみたて投資枠では2024年に年間の買付額が4兆9,700億円だったのに対して売却が1,800億円しか出ておらず、基本的にバイアンドホールドされている。
一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドの流入額は、6月につみたて投資枠からの買付額を下回ったとみられる。これは、2024年以降で最小となったこと以上に、注目すべき変化である。つみたて投資枠以外にも、成長投資枠やNISA口座以外の確定拠出年金などからの買付もあることを踏まえると、6月はインデックス型の外国株式ファンドにおいても売却が増加したことが背景にあるだろう。
なお、一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドの中では、米国株式の指数に連動するファンド(【図表3】赤棒)が2,100億円の流入と、5月から1,000億円減少し流入鈍化が顕著であった。6月の21営業日のうち5営業日は売却超過となるなど、売却の動きが目立った。
元々、インデックス型の外国株式ファンドはNISAの中心商品となっており、NISA口座から買付によって資金流入が底上げされている。特につみたて投資枠は毎月安定した買付があり、さらにNISAの口座数の増加も相まって、買付額は緩やかに増加基調である。
実際につみたて投資枠からの買付は、新NISAが開始された2024年1-3月には四半期で1兆円程度であったが、2025年1-3月には1兆6,000億円を超えている。月次換算すると、2024年初は月3,500億円程度であったのが、2025年に入ってからは5,000億円を超える規模となっている【図表3:線グラフ】。この買付の大半は、インデックス型の外国株式ファンドに流れている。さらに、つみたて投資枠では2024年に年間の買付額が4兆9,700億円だったのに対して売却が1,800億円しか出ておらず、基本的にバイアンドホールドされている。
一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドの流入額は、6月につみたて投資枠からの買付額を下回ったとみられる。これは、2024年以降で最小となったこと以上に、注目すべき変化である。つみたて投資枠以外にも、成長投資枠やNISA口座以外の確定拠出年金などからの買付もあることを踏まえると、6月はインデックス型の外国株式ファンドにおいても売却が増加したことが背景にあるだろう。
なお、一般販売されているインデックス型の外国株式ファンドの中では、米国株式の指数に連動するファンド(【図表3】赤棒)が2,100億円の流入と、5月から1,000億円減少し流入鈍化が顕著であった。6月の21営業日のうち5営業日は売却超過となるなど、売却の動きが目立った。
2024年は、夏のボーナスを原資にした買付が入ったためか、7月には最大となった1月に迫る規模の資金流入がインデックス型の外国株式ファンドにあった。2025年も夏のボーナスを原資にした買付が入るかもしれないが、足元も引き続き利益確定の売却が進みやすい状況である。S&P500種株価指数が史上最高値を連日更新するなど、米国株式を中心に外国株式は堅調に推移している。そのため、インデックス型の外国株式ファンドの資金流入の鈍化が一時的なのか、今後の販売動向が注目される。
国内株式も売却が続く
また、国内株式ファンドは6月も1,900億円の資金流出があり、株価の上昇基調が続く中で2カ月連続の流出、5月の1,700億円からやや拡大した。特に、日経平均株価が3万9,500円台まで上昇した26日や4万円に乗せた27日にインデックス型を中心に売却が進んだ。
一方で、バランス型ファンドには6月も5月とほぼ同規模の1,100億円の資金流入があり、販売は比較的、堅調だったようだ。さらに主要資産クラス以外の「その他」ではあるが、金関連ファンドにも2本(【図表2】青太字)を中心に800億円の資金流入があり、5月の500億円から増加した。
ただ、ファンド全体で見ると外国株式ファンドの流入減少が大きく、5,200億円の資金流入と5月の9,000億円から3,800億円減少し、ファンド全体としても2024年以降で最小となった。
一方で、バランス型ファンドには6月も5月とほぼ同規模の1,100億円の資金流入があり、販売は比較的、堅調だったようだ。さらに主要資産クラス以外の「その他」ではあるが、金関連ファンドにも2本(【図表2】青太字)を中心に800億円の資金流入があり、5月の500億円から増加した。
ただ、ファンド全体で見ると外国株式ファンドの流入減少が大きく、5,200億円の資金流入と5月の9,000億円から3,800億円減少し、ファンド全体としても2024年以降で最小となった。
(2025年07月08日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 大和総研入社
2009年 大和証券キャピタル・マーケッツ(現大和証券)
2012年 イボットソン・アソシエイツ・ジャパン
2014年 ニッセイ基礎研究所 金融研究部
2022年7月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・投資信託協会「すべての人に世界の成長を届ける研究会」 客員研究員(2020・2021年度)
前山 裕亮のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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