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Well-being時代の飲酒行動-20代の6割が「ほぼノンアル」、飲み方にも多様性

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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1――はじめに~広がる「ソバ―キュリアス」、ノンアル生活を後押しする動きも?
コロナ禍は消費生活に大きな変化をもたらしたが、中でも飲酒行動への影響は際立っていた。コロナの5類移行後、多くの消費行動は平常化した。一方で飲酒に関しては、回復傾向を示しながらも1、同時にノンアルコールという選択を後押しするような動きも活発化しているように見える。
現在では飲食店のドリンクメニューにノンアルコール飲料が当たり前のように並び、専用コーナーが設けられているスーパーも多い。

こうした動きを踏まえ、本稿では厚生労働省「国民健康・栄養調査」などの最新データをもとに、消費者の飲酒行動の変化についてあらためて分析する。
1 久我尚子「家計消費の動向(二人以上世帯:~2025年2月)-物価高の中で模索される生活防衛と暮らしの充足」、ニッセイ基礎研究所、基礎研レポート(2025/4/22)
2 アサヒビール株式会社「お酒の飲み方に多様性を アサヒビール「スマートドリンキング」宣言」(2020/12/20)、スマドリとは飲む人も飲まない人も、自分の体質や気分、シーンに合わせて、適切なドリンクをスマートに楽しめる、飲み方の多様性のこと。
3 アサヒビール株式会社「「責任ある飲酒」を推進するResponsible Drinking部新設 産学医の分野で不適切飲酒の撲滅に注力し、企業に対する健康経営推進サポートなどを強化」(2024/8/2)
4 サントリー株式会社「2025年ノンアルコール飲料活動方針」(2025/2/5)
2――酒類消費量の変化~「とりあえずビール!」の衰退と多様化する飲酒スタイル
3――飲酒習慣率の変化~全世代で減少する男性、20歳代男性を超えた40~60歳代女性
この背景には、以前から指摘しているように5、バブル崩壊後の景気低迷によって会食の機会が減少したことや、2008年に導入された40~74歳対象のいわゆるメタボ健診(特定健康診査・特定保健指導)による健康志向の高まりなどがあると考えられる。
ただし、2019年と2023年を比較すると、男性ではやや低下しているものの、1999年からの大幅な減少と比べて変化は限定的である。したがって、飲酒習慣の低下は、コロナ禍による一時的な影響よりも、長期的な社会環境や価値観の変化によるところが大きいといえる。
なお、飲酒習慣率はおおむね2022年に最も低く、2023年にはやや上昇に転じている。これは、コロナの5類以降により消費行動が平常化し、外食機会が回復したことが一因と考えられる。
一方、女性の40~60歳代では、1999年と比べて飲酒習慣率がやや上昇している。その結果、最近ではこの年代の女性の飲酒習慣率が、20歳代の男性を上回るようになっている。この背景には、当該世代では働く女性が増え、男性と同様に会食の機会が多くなったことがあげられる。また、以前と比べて女性がアルコールを楽しむことに対する社会的な許容度が高まったことも影響しているだろう。加えて、甘口のカクテルや発泡酒など女性向けの商品が充実してきたことや、女性が入りやすい飲食店の増加も要因として挙げられる。
5 久我尚子「さらに進行するアルコール離れ-若者で増える、あえて飲まない「ソバ―キュリアス」」、ニッセイ基礎研究所、基礎研REPORT(冊子版)12月号[vol.309]など。
(2025年05月27日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
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