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2025年05月19日

米住宅着工・許可件数(25年4月)-着工件数(前月比)は前月を上回った一方、市場予想は小幅に下回った

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を下回る。

5月16日、米国センサス局は4月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は136.1万件(前月改定値:133.9万件)と132.4万件から上方修正された前月を上回った一方、市場予想の136.3万件(Bloomberg集計の中央値)を小幅に下回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は141.2万件(前月改定値:148.1万件)と146.7万件から小幅上方修正された前月、市場予想の145.0万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:戸建てが着工、許可件数ともに前月比で減少

住宅着工件数の伸びは前月比+1.6%(前月:▲10.1%)と前月の2桁のマイナスからプラスに転じた(図表3)。戸建て住宅が▲2.1%(前月:▲13.8%)と2ヵ月連続のマイナスとなったものの、集合住宅が+10.7%(前月:横這い)と2桁のプラスに転じて全体を押し上げた(図表4)。

前年同月比は▲1.7%(前月:+2.1%)と前月からマイナスに転じた。集合住宅が+30.7%(前月:+46.8%)と2ヵ月連続で2桁のプラスを維持した一方、戸建てが▲12.0%(前月:▲9.4%)と2桁のマイナスとなって全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、西部が▲3.5%ポイント(前月:▲7.8%ポイント)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、中西部が▲1.8%ポイント(前月:+6.4%ポイント)と前月からマイナスに転じた。一方、南部が+5.6%ポイント(前月:▲9.1%ポイント)とプラスに転じたほか、北東部が+1.3%ポイント(前月:+0.3%ポイント)と3ヵ月連続プラスとなるなどマチマチの結果となった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲4.7%(前月:+1.9%)と前月からマイナスに転じた(図表5)。戸建てが▲5.1%(前月:▲2.0%)と2ヵ月連続でマイナスとなったほか、集合住宅も▲3.7%(前月:+10.2%)と前月からマイナスに転じた(図表6)。

前年同月比は▲3.2%(前月:+0.3%)と前月からマイナスに転じた。集合住宅が+2.9%(前月:+3.9%)とプラスを維持した一方、戸建てが▲6.2%(前月:▲1.4%)と11ヵ月連続のマイナスとなって許可件数全体を押し下げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、25年5月が34(前月:40)と横這いを見込んだ市場予想(40)を下回り、23年11月以来の水準に低下した(図表7)。

内訳は販売現況が37(前月:45)と22年12月以来、販売見込みが42(前月:43)、客足が23(前月:25)とそれぞれ23年11月以来の水準に低下した。

5月の結果について、NAHBのバディ・ヒューズ会長は「春の住宅購入シーズンは、持続的な高金利、政策の不確実性、建築資材のコスト要因が5月に建設業者のセンチメントを傷つけたため、ゆっくりとしたスタートを切った」と足元の住宅市場指数悪化の要因について言及した。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年05月19日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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