2025年04月14日

ロシアGDP(2024年10-12月期)-前年比伸び率は再び4%台半ばに上昇

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:前年比伸び率は4.5%まで上昇

4月11日、ロシア連邦統計局は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(未季節調整系列)】
2024年10-12月期の前年同期比伸び率は4.5%、予想1(同3.6%)より上振れ、前期(同3.1%)から上昇した(図表1・2)

(図表1)ロシアの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ロシアの実質GDP成長率(供給項目別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:25年入り後の成長率には陰りも

ロシアの24年10-12月期の実質GDP伸び率は前年比4.5%となった。また24年暦年の成長率は4.3%となり、暦年成長率は2月7日に公表されていた一次推計値(4.1%)から上方修正された。季節調整系列の前期比は1.6%(年率換算6.3%)で、7-9月期(前期比0.9%、年率換算3.6%)から加速、10四半期連続でのプラス成長となった。また、戦争前(21年10-12月期)と比較した実質GDPの水準は7.4%だった。

成長率を需要項目別に見ると、前年比伸び率では家計消費が4.3%、政府消費が4.5%、投資が4.5%、前期比伸び率では家計消費が0.9%、政府消費が1.0%、投資▲0.3%となった。今期は投資がやや減少したが、趨勢的に見れば内需の拡大傾向が続いていると評価できる(図表4)。実質輸出入のデータは公表されていないが、純輸出寄与度を逆算すると、前年比寄与度で0.30%ポイントとなっている。

産業別の伸び率は、前年比で第一次産業が▲8.9%、第二次産業が4.5%、第三次産業(金融・不動産)が5.2%、第三次産業(その他)が4.9%、前期比では第一次産業が▲7.0%、第二次産業が1.6%、第三次産業(金融・不動産)が2.3%、第三次産業(その他)が1.8%となった。24年10-12月期は第一次産業が急落したものの、第二次産業、第三次産業は成長トレンドが続いている(図表5)。より細かい産業の伸び率では、芸術・娯楽サービス(17.9%)の高い前期比伸び率が目立った(図表3)。
(図表3)ロシアの実質GDP成長率(24年10-12月期)
(図表4)ロシアの実質GDPの動向(需要項目別)/(図表5)ロシアの実質GDPの動向(供給項目別)
ウクライナ侵攻前との比較では、戦争前までロシア経済のけん引役だった鉱業(▲4.2%)がマイナス圏にとどまる一方、金融サービス(35.6%)、住居・飲食サービス(31.9%)、芸術・娯楽サービス(31.5%)といった産業の活動水準が高い。
(図表6)ロシアの実質GDP成長率 10-12月期の名目成長率は前年同期比12.0%(前期10.1%)、GDPデフレータ伸び率は前年同期比7.2%(同6.6%)となり、10-12月期はデフレータが反発している。

なお、直近までの動向を経済発展省が公表する月次のGDP成長率(前年比)から確認すると、24年10月3.2%、11月3.6%、12月4.5%、25年1月3.0%、2月0.8%であり、25年入り後、足もとの成長率には陰りも見られる(図表6)。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
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(2025年04月14日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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