- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 医療・介護・健康・ヘルスケア >
- 健康・ヘルスケア >
- 「早食いは太る」は本当か~食べる速さは、肥満リスクをどの程度予測できるか
「早食いは太る」は本当か~食べる速さは、肥満リスクをどの程度予測できるか

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
では、どういう人が「食べるのが速い」と回答しているのか、2つ目のデータセットを使って、性、年齢群別に回答をみた。男性は、ほとんどが「本人」だったため、本人と家族の合計を示すが、女性は、本人と家族を分けて示す(図表5)。「本人」は、就労していて自分が本人として健康保険に加入している人で、「家族」は家族の被扶養家族として加入していることから、社会保険の対象となるような働き方はしていない人である。なお、「本人」は、職場でほぼ全員が健康診断を受けるのに対し、「家族」は健康診断を受けていない人も多い。さらに、結果を家族の職場に届け出ている人は一部であると考えられることから、ここでは傾向だけをみる。
男性では「速い」の割合が全体と比べて高いのは30~44歳、「遅い」の割合が高いのは29歳以下と60~74歳だった。職場でも家庭でも忙しい頃に速い傾向がありそうだ。この年代は、生活習慣病のリスクが高い年代でもある。
女性は本人では45~59歳、家族では30~44歳で「速い」の割合が高かったが、男性ほど年齢による差はなかった。女性の本人と家族に共通する特徴としては、「遅い」が高年齢になるにしたがって徐々に低下することだった。また、本人と家族を比べると、どの年代においても「本人」で「速い」の割合が高い。「家族」として加入している人では「速い」が低く、「ふつう」が高かった。
図表5の女性における本人と家族のちがいから、「人と比較して食べる速度が速いか」という質問は、場合によっては曖昧さを含む可能性が考えられる。「家族」として加入している人では食べる速さを意識する機会が少なく「ふつう」と回答しがちであることや、「本人」として加入している人では同僚と食事をとる機会が多いと考えられ、同僚と比べて「速い」「遅い」といった速さを意識しやすい等の背景が推測できる。
4――「食べる速さ」は、肥満リスクを予測する可能性
食べる速さが「速い」人は、男性では30代以上で多く、60代以上では少なくなっており、働き盛りの年代に多いことが示唆された。女性も働いている人の方が、働いている人の家族として加入している人よりも速い人が多いことから、職場で、決められた時間に同僚と食事をとることで、自分のペースで食事がしにくいのかもしれない。家族として加入している女性では、結婚や出産等のライフイベントが重なると考えられる30~44歳で「速い」が高く、やはり自分のペースで食事がしにくい可能性が考えられた。
現在は、40歳以上を生活習慣病リスクが高まる年代として特定健診の対象としており、研究事例が多いが、今回の結果からは30歳代でも「速い」人は、生活習慣病になるリスクが高い可能性があった。したがって、生活習慣の見直しは、40歳以上に限らず、若い年代でも見直すきっかけを作ることが重要だろう。
(2025年03月27日「基礎研レポート」)

03-3512-1783
- 【職歴】
2003年 ニッセイ基礎研究所入社
村松 容子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/22 | 生命保険の基礎知識はなぜ定着しないのか | 村松 容子 | 保険・年金フォーカス |
2025/03/28 | 就労世代の熱中症リスクと生活習慣~レセプトデータと健診データを使った分析 | 村松 容子 | 基礎研レポート |
2025/03/27 | 「早食いは太る」は本当か~食べる速さは、肥満リスクをどの程度予測できるか | 村松 容子 | 基礎研レポート |
2025/03/25 | ヘルスケアサービスのエビデンスに基づく「指針」公表 | 村松 容子 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~ -
2025年04月30日
「スター・ウォーズ」ファン同士をつなぐ“SWAG”とは-今日もまたエンタメの話でも。(第5話)
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【「早食いは太る」は本当か~食べる速さは、肥満リスクをどの程度予測できるか】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
「早食いは太る」は本当か~食べる速さは、肥満リスクをどの程度予測できるかのレポート Topへ