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パワーカップル世帯の動向-2024年で45万世帯に増加、うち7割は子のいるパワーファミリー

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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- 夫婦ともに年収700万円以上のパワーカップル世帯は、過去10年で2倍に増加し、2024年には45万世帯(総世帯の0.83%、共働き世帯の2.9%)に達している。年収700万円以上の妻の約7割は、夫も同水準の年収を得ており、世帯間の経済格差の存在がうかがえる。一方、妻の年収300万円未満の場合、夫の収入が一定水準にあることで家庭を重視した働き方を選ぶ傾向や、扶養控除枠を意識して働く妻が増える様子もある。
- パワーカップルの内訳を見ると、最も多いのは「夫婦と子」世帯(64.3%)である。「夫婦と子と親」を含めた子のいる世帯はパワーカップル世帯の66.7%を占め、近年では「パワーファミリー」として不動産や教育、旅行、家具・家電などの高額商品がラインナップされている市場の牽引役として知られている。
- パワーカップル増加の背景には、仕事と家庭の両立環境の整備が進み、出産・子育期を含めたキャリア形成の機会が拡大していることが挙げられる。女性のキャリア意識が高まるとともに、夫も妻のキャリア継続や成長を支援しようとする意識が強まってる。
- よって、パワーカップルは短・中期的には増加傾向が続くと見られる。長期的には少子化の影響を無視できないものの、正規雇用者率における男女差を踏まえれば、大半が正規雇用者夫婦と見られるパワーカップル・ファミリーの裾野を広げる余地は十分にある。また、足元では若手社員を中心に賃上げが進んでおり、近い将来、本稿における「夫婦ともに年収700万円以上」という定義の見直し(引き上げ)を見直す必要もあるだろう。
- さらに、近年、若者のライフコース希望では共働きが最も多いことを踏まえると、パワーカップル・ファミリーが増えやすい(共働きをしやすい)環境の整備は重要だ。将来を担う世代の経済基盤が安定することは、個人消費の拡大につながるだけでなく、高齢化が進行や単身世帯の増加を背景に、仕事と生活の両立環境の改善や経済基盤の安定が社会の安定化にも寄与すると考えられる。
■目次
1――はじめに
~増加傾向のパワーカップル・パワーファミリー、数は少ないが消費のけん引役として注目
2――世帯の所得分布
~年間平均所得は524万円、1,200万円以上は6.8%、南関東や都市部で多い
3――パワーカップル世帯の動向
~10年で2倍、2024年で45万世帯、うち7割は子のいるパワーファミリー
1|共働き夫婦の年収分布
~妻が高収入であるほど夫も高収入、ただし扶養控除枠を意識して働く妻も
2|パワーカップル世帯数の推移
~10年で2倍、2024年で45万世帯、66.7%は子のいるパワーファミリー
3|夫の収入別に見た妻の就労状況
~年収1500万円以上の夫でも62.30%の妻は就業
4――おわりに
~パワーカップルはしばらく増加傾向、女性の正規雇用者率に伸長の余地あり
(2025年03月24日「基礎研レポート」)

03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
久我 尚子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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