2025年03月04日

雇用関連統計25年1月-女性を中心に労働市場への参入が進む

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.女性の就業者数が6ヵ月連続で過去最高を更新

完全失業率と就業者の推移 総務省が3月4日に公表した労働力調査によると、25年1月の完全失業率は前月から横ばいの2.5%(QUICK集計・事前予想:2.4%、当社予想も2.4%)となった。

労働力人口が前月から13万人の増加となる中、就業者が前月から13万人増加し、失業者は前月から2万人増加の172万人(いずれも季節調整値)となった。10月からの4ヵ月で労働力人口は47万人、就業者は42万人増加した。失業率は横ばい圏で推移しているが、女性を中心に労働市場への参入が進むもとで就業者の増加が続いており、前向きな評価ができる。

25年1月分の公表と同時に過去に遡って季節調整値が改定された。失業率は24年7月が2.7%から2.6%へ下方修正される一方、1月、12月が2.4%から2.5%へ上方修正された。この結果、24年中の失業率は2.4%~2.6%の狭い範囲で推移する形となった。
就業者数は前年差65万人増(12月:同57万人増)と30ヵ月連続で増加した。男女別には、男性が前年差5万人増と3ヵ月連続で増加、女性は前年差60万人増と35ヵ月連続で増加した。女性の就業者数(季節調整値)は前月から15万人増の3125万人となり、6ヵ月連続で過去最高を更新した。

産業別には、製造業が前年差14万人減(12月:同21万人減)と4ヵ月連続で減少したが、卸売・小売業が前年差10万人増(12月:同9万人減)と3ヵ月ぶりに増加したほか、宿泊・飲食サービス業(12月:前年差9万人増→1月:同22万人増)、生活関連サービス・娯楽業(12月:前年差8万人増→1月:同11万人増)の増加幅が拡大した。

雇用者数(役員を除く)は前年に比べ73万人増(12月:同63万人増)と35ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差27万人増(12月:66万人増)と15ヵ連続で増加、非正規の職員・従業員数が前年差46万人増(12月:同4万人減)と3ヵ月ぶりに増加した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数

2.有効求人倍率は横ばい圏の推移が続く

有効求人倍率の推移 厚生労働省が3月4日に公表した一般職業紹介状況によると、25年1月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント上昇の1.26倍(QUICK集計・事前予想:1.25倍、当社予想も1.25倍)となった。有効求人数が前月比0.2%の増加となる一方、有効求職者数が同▲0.3%の減少となった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.05ポイント上昇の2.32倍となった。新規求人数が前月比1.9%の増加となる一方、新規求職申込件数が同▲0.2%の減少となった。
産業別新規求人数 新規求人数(原数値)は前年比▲0.4%(12月:同▲3.7%)と3ヵ月連続で減少した。産業別には、情報通信業(12月:前年比9.3%→1月:同1.6%)、卸売・小売業(12月:前年比▲3.8%→1月:同1.3%)は増加したが、宿泊・飲食サービス業(12月:前年比5.2%→1月:同▲0.4%)が減少に転じたほか、建設業(12月:前年比▲4.9%→1月:同▲0.9%)、製造業(12月:前年比▲7.6%→1月:同▲2.1%)の減少が続いた。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
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(2025年03月04日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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