2025年02月20日

米住宅着工・許可件数(25年1月)-着工件数(前月比)は前月から減少、市場予想も下回る。悪天候が影響した可能性

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工は市場予想を下回った一方、許可件数は市場予想を上回る。

2月19日、米国センサス局は1月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は136.6万件(前月改定値:151.5万件)と149.9万件から小幅上方修正された前月、市場予想の139.0万件(Bloomberg集計の中央値)を下回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は148.3万件(前月:148.2万件)と前月からほぼ横ばいとなり、減少を見込んだ市場予想の146.0万件を上回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工件数の減少は悪天候が影響した可能性

住宅着工件数の伸びは前月比▲9.8%(前月:+16.1%)と前月の2ケタの伸びからマイナスに転じた(図表3)。戸建て住宅が▲8.4%(前月:+6.2%)、集合住宅が▲13.5%(前月:+51.8%)といずれもマイナスに転じて全体を押し下げた(図表4)。住宅着工件数の落ち込みは好天に伴い件数が大幅に増加した前月の反動に加え、1月に南部と中西部を襲った暴風雪の影響を受けた可能性が高いと考えられる。

前年同月比は▲0.7%(前月:▲3.4%)とマイナス幅は縮小したものの、5ヵ月連続のマイナスとなった。集合住宅が+2.2%(前月:▲12.0%)と前月からプラスに転じたものの、戸建てが▲1.8%(前月:+0.6%)とマイナスに転じて、着工件数全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、西部が+7.9%ポイント(前月:▲0.6%ポイント)と前月からプラスに転じた一方、北東部が▲2.6%ポイント(前月:+1.5%ポイント)、中西部が▲1.4%ポイント(前月:+2.4%ポイント)、南部が▲13.7%ポイント(前月:+12.8%ポイント)と前月からマイナスに転じた。とくに、南部の落ち込みが大きくなったが悪天候の影響がみられる。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が+0.1%(前月:▲0.7%)と概ね前月並みの伸びとなった(図表5)。戸建てが横這い(前月:+2.0%)、集合住宅が+0.2%(前月:▲6.0%)といずれも前月並みの伸びとなった(図表6)。

前年同月比は▲1.7%(前月:▲3.1%)とマイナス幅は縮小したものの、12ヵ月連続のマイナスとなった。集合住宅が+2.1%(前月:▲5.3%)と前月からプラスに転じた一方、戸建てが▲3.4%(前月:▲2.1%)と8ヵ月連続のマイナスとなって許可件数全体を押し下げた。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、25年2月が42(前月:47)と6ヵ月ぶりに低下したほか、市場予想(46)も大幅に下回った(図表7)。

内訳は販売現況が46(前月:50)、販売見込みが46(前月:59)、客足が29(前月:32)といずれも前月から低下した。とくに、販売見込みの低下幅が大きくなった。

2月の結果について、NAHBのカール・ハリス会長は「住宅建設業者は開発促進政策、とくに規制改革に期待を寄せているが、政策の不確実性とコスト要因により、最新の住宅建設市場予測では25年の見通しがリセットされた」とし、「関税面での不確実性により、住宅建設業者の将来の販売量に対する見通しは23年12月以来の最低水準にまで下がった。金利上昇により住宅購入資格のある顧客層が減少するため、インセンティブの利用も販売戦略として弱まっている可能性がある」と述べ、関税、住宅ローン金利の上昇、住宅費の高騰に対する懸念が住宅建設業者の心理を大幅に悪化させた可能性を示した。
 
 

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(2025年02月20日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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