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- 米GDP(24年10-12月期)-前期比年率+2.3%と前期から低下、市場予想の+2.6%も小幅に下回る
2025年01月31日
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1.結果の概要:成長率は前期から低下、市場予想も小幅に下回る
10-12月期の成長率を需要項目別にみると、個人消費が前期比年率+4.2%(前期:+3.7%)と堅調であった前期からさらに伸びが加速したほか、住宅投資が+5.3%(前期:▲4.3%)と3期ぶりにプラスに転じた(図表2)。外需の成長率寄与度も+0.04%ポイント(前期:▲0.43%ポイント)と小幅ながら4期ぶりにプラスに転じた。
一方、政府支出が前期比年率+2.5%(前期:+5.1%)と前期から伸びが鈍化したほか、設備投資が▲2.2%(前期:+4.0%)と前期からマイナスに転じた。さらに、在庫の成長率寄与度が▲0.93%ポイント(前期:▲0.22%ポイント)と前期からマイナス幅が拡大して成長率を大幅に押し下げた。
これらの結果、GDPから在庫投資と外需を除いた国内最終需要は前期比年率+3.1%(前期:+3.7%)となり、前期から伸びが鈍化した。
このように、当期は前期から伸びは鈍化したものの、在庫投資の成長押下げの影響が大きく、個人消費が堅調であった前期からさらに伸びが加速したことなどを考慮すると、表面的な成長率が示すよりも米国経済の状況は良好と言えよう。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
一方、政府支出が前期比年率+2.5%(前期:+5.1%)と前期から伸びが鈍化したほか、設備投資が▲2.2%(前期:+4.0%)と前期からマイナスに転じた。さらに、在庫の成長率寄与度が▲0.93%ポイント(前期:▲0.22%ポイント)と前期からマイナス幅が拡大して成長率を大幅に押し下げた。
これらの結果、GDPから在庫投資と外需を除いた国内最終需要は前期比年率+3.1%(前期:+3.7%)となり、前期から伸びが鈍化した。
このように、当期は前期から伸びは鈍化したものの、在庫投資の成長押下げの影響が大きく、個人消費が堅調であった前期からさらに伸びが加速したことなどを考慮すると、表面的な成長率が示すよりも米国経済の状況は良好と言えよう。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
2.結果の詳細:
(個人消費・個人所得)財消費が大幅に増加、サービス消費も堅調を維持
10-12月期の個人消費は、財消費が前期比年率+6.6%(前期:+5.6%)と高い伸びとなった前期からさらに伸びが加速した(図表3)。サービス消費も+3.1%(前期:+2.8%)と前期から伸びが加速するなど堅調を維持した。
財消費では、耐久財が+12.1%(前期:+7.6%)と2桁の伸びとなった一方、非耐久財が+3.8%(前期:+4.6%)とこちらは前期から伸びが鈍化した。
耐久財では、家具・家電が+6.4%(前期:+9.5%)と堅調ながら前期からは伸びが鈍化した一方、自動車・自動車部品が+13.9%(前期:+9.1%)、娯楽・スポーツカーが+16.2%(前期:+7.0%)といずれも2桁の伸びとなって耐久財消費を押し上げた。
非耐久財は衣料・靴が+7.5%(前期:+2.0%)と前期から伸びが加速した一方、食料・飲料が+2.5%(前期:+2.8%)と前期から小幅ながら伸びが鈍化したほか、ガソリン・エネルギーが▲1.7%(前期:+3.5%)と前期からマイナスに転じた。
サービス消費は、医療サービスが+4.1%(前期:+7.1%)、金融サービスが+3.5%(前期:+4.0%)と前期から伸びが鈍化した一方、住宅・公共料金が+1.4%(前期:+0.8%)、娯楽サービスが+2.0%(前期:+0.2%)、飲食・宿泊サービスが+2.5%(前期:+1.5%)と前期から伸びが加速した。さらに、輸送サービスが+3.4%(前期:▲4.0%)と前期からプラスに転じてサービス消費を押し上げた。
一方、実質可処分所得は前期比年率+2.8%(前期:+1.1%)と前期から大幅に伸びが加速した(図表4)。貯蓄率は4.1%(前期:4.3%)と小幅ながら前期から低下した。
10-12月期の個人消費は、財消費が前期比年率+6.6%(前期:+5.6%)と高い伸びとなった前期からさらに伸びが加速した(図表3)。サービス消費も+3.1%(前期:+2.8%)と前期から伸びが加速するなど堅調を維持した。
財消費では、耐久財が+12.1%(前期:+7.6%)と2桁の伸びとなった一方、非耐久財が+3.8%(前期:+4.6%)とこちらは前期から伸びが鈍化した。
耐久財では、家具・家電が+6.4%(前期:+9.5%)と堅調ながら前期からは伸びが鈍化した一方、自動車・自動車部品が+13.9%(前期:+9.1%)、娯楽・スポーツカーが+16.2%(前期:+7.0%)といずれも2桁の伸びとなって耐久財消費を押し上げた。
非耐久財は衣料・靴が+7.5%(前期:+2.0%)と前期から伸びが加速した一方、食料・飲料が+2.5%(前期:+2.8%)と前期から小幅ながら伸びが鈍化したほか、ガソリン・エネルギーが▲1.7%(前期:+3.5%)と前期からマイナスに転じた。
サービス消費は、医療サービスが+4.1%(前期:+7.1%)、金融サービスが+3.5%(前期:+4.0%)と前期から伸びが鈍化した一方、住宅・公共料金が+1.4%(前期:+0.8%)、娯楽サービスが+2.0%(前期:+0.2%)、飲食・宿泊サービスが+2.5%(前期:+1.5%)と前期から伸びが加速した。さらに、輸送サービスが+3.4%(前期:▲4.0%)と前期からプラスに転じてサービス消費を押し上げた。
一方、実質可処分所得は前期比年率+2.8%(前期:+1.1%)と前期から大幅に伸びが加速した(図表4)。貯蓄率は4.1%(前期:4.3%)と小幅ながら前期から低下した。
(民間投資)設備機器投資が大幅に減少
10-12月期の民間設備投資は設備機器投資が前期比年率▲7.8%(前期:+10.8%)と前期から大幅なマイナスに転じた(図表5)。また、建設投資が▲1.1%(前期:▲5.0%)とマイナス幅は縮小したものの、2期連続のマイナスとなったほか、知的財産投資が+2.6%(前期:+3.1%)と前期から伸びが鈍化するなど設備投資は全般的に軟調となった。
10-12月期の民間設備投資は設備機器投資が前期比年率▲7.8%(前期:+10.8%)と前期から大幅なマイナスに転じた(図表5)。また、建設投資が▲1.1%(前期:▲5.0%)とマイナス幅は縮小したものの、2期連続のマイナスとなったほか、知的財産投資が+2.6%(前期:+3.1%)と前期から伸びが鈍化するなど設備投資は全般的に軟調となった。

設備機器投資は、産業機器が+1.1%(前期:+5.7%)と前期から伸びが鈍化した。また、輸送機器が▲14.0%(前期:+22.1%)と前期から2桁のマイナスに転じたほか、情報処理関連が▲9.5%(前期:+18.0%)とこちらも前期からマイナスに転じて設備機器投資全体を押し下げた。
知的財産投資では、ソフトウエアが+4.3%(前期:+2.5%)と前期から伸びが加速した一方、研究・開発が+1.7%(前期:+4.2%)と前期から伸びが鈍化したほか、娯楽・文学等が▲0.7%(前期:▲0.5%)と小幅ながら前期からマイナス幅が拡大した。
最後に住宅投資は、集合住宅が▲7.2%(前期:▲13.5%)と前期に続きマイナスとなったものの、マイナス幅が縮小したほか、戸建てが+3.1%(前期:▲12.0%)と前期の大幅なマイナスからプラスに転じて住宅投資全体を押し上げた。
(貿易)財の輸出入が減少
10-12月期の輸出入は輸出が前期比年率▲0.8%(前期:+9.6%)、輸入が▲0.8%(前期:+10.7%)といずれも高い伸びとなった前期からマイナスに転じた。
輸出を仔細にみると、財輸出が▲5.0%(前期:+10.3%)と前期からマイナスに転じたほか、サービス輸出も+7.2%(前期:+8.4%)と堅調を維持したものの、前期から伸びが鈍化した(図表7)。
財輸出では、石油・石油製品が+31.2%(前期:+9.1%)と前期から大幅に伸びが加速したこともあって工業用原料が+8.8%(前期:+8.8%)と前期並みの伸びを維持したほか、食料・飲料が+12.9%(前期:+28.5%)と前期から鈍化したものの、2ケタの伸びを維持した。一方、自動車関連が▲4.3%(前期:▲17.4%)とマイナス幅は縮小したものの、前期に続いてマイナスとなったほか、資本財(自動車関連除く)が▲19.9%(前期:+28.7%)と高い伸びとなった前期から2桁のマイナスに転じたほか、消費財(食料、自動車関連除く)が▲19.5%(前期:▲9.2%)と前期からマイナス幅が拡大した。
サービス輸出では、輸送が+5.6%(前期:+2.8%)、旅行が+6.2%(前期:+5.5%)といずれも前期から伸びが加速した。一方、当期は政府による物品およびサービス輸出が+19.4%(前期:+1,287.3%)と異常な伸びとなった前期から伸びが鈍化してサービス輸出全体の伸びを鈍化させた。
一方、輸入は財輸入が▲4.0%(前期:+10.7%)と前期からマイナスに転じた一方、サービス輸入が+12.8%(前期:+11.0%)と前期から伸びが加速した(図表8)。
財輸入では、食料・飲料が+16.3%(前期:+3.6%)と前期から大幅に伸びが加速したほか、消費財(食料、自動車関連除く)が+13.3%(前期:+20.4%)と前期から鈍化したものの、前期に続き2桁の伸びを維持した。一方、自動車関連が▲11.6%(前期:▲14.7%)と前期に続いて2桁のマイナスとなったほか、資本財(自動車関連除く)が▲13.6%(前期:+30.1%)、工業用原料が▲5.9%(前期:+2.0%)と前期からマイナスに転じた。
サービス輸入は、輸送が▲2.2%(前期:+17.1%)と前期からマイナスに転じた一方、旅行が+46.2%(前期:+0.2%)と前期から大幅に伸びが加速してサービス輸入全体を押し上げた。
10-12月期の輸出入は輸出が前期比年率▲0.8%(前期:+9.6%)、輸入が▲0.8%(前期:+10.7%)といずれも高い伸びとなった前期からマイナスに転じた。
輸出を仔細にみると、財輸出が▲5.0%(前期:+10.3%)と前期からマイナスに転じたほか、サービス輸出も+7.2%(前期:+8.4%)と堅調を維持したものの、前期から伸びが鈍化した(図表7)。
財輸出では、石油・石油製品が+31.2%(前期:+9.1%)と前期から大幅に伸びが加速したこともあって工業用原料が+8.8%(前期:+8.8%)と前期並みの伸びを維持したほか、食料・飲料が+12.9%(前期:+28.5%)と前期から鈍化したものの、2ケタの伸びを維持した。一方、自動車関連が▲4.3%(前期:▲17.4%)とマイナス幅は縮小したものの、前期に続いてマイナスとなったほか、資本財(自動車関連除く)が▲19.9%(前期:+28.7%)と高い伸びとなった前期から2桁のマイナスに転じたほか、消費財(食料、自動車関連除く)が▲19.5%(前期:▲9.2%)と前期からマイナス幅が拡大した。
サービス輸出では、輸送が+5.6%(前期:+2.8%)、旅行が+6.2%(前期:+5.5%)といずれも前期から伸びが加速した。一方、当期は政府による物品およびサービス輸出が+19.4%(前期:+1,287.3%)と異常な伸びとなった前期から伸びが鈍化してサービス輸出全体の伸びを鈍化させた。
一方、輸入は財輸入が▲4.0%(前期:+10.7%)と前期からマイナスに転じた一方、サービス輸入が+12.8%(前期:+11.0%)と前期から伸びが加速した(図表8)。
財輸入では、食料・飲料が+16.3%(前期:+3.6%)と前期から大幅に伸びが加速したほか、消費財(食料、自動車関連除く)が+13.3%(前期:+20.4%)と前期から鈍化したものの、前期に続き2桁の伸びを維持した。一方、自動車関連が▲11.6%(前期:▲14.7%)と前期に続いて2桁のマイナスとなったほか、資本財(自動車関連除く)が▲13.6%(前期:+30.1%)、工業用原料が▲5.9%(前期:+2.0%)と前期からマイナスに転じた。
サービス輸入は、輸送が▲2.2%(前期:+17.1%)と前期からマイナスに転じた一方、旅行が+46.2%(前期:+0.2%)と前期から大幅に伸びが加速してサービス輸入全体を押し上げた。
(物価・名目値)PCE価格指数は前期比、前年同期比ともに前期から上昇
10-12月期のGDP価格指数は前期比年率+2.2%(前期:+1.9%)と前期から上昇したものの、市場予想(同+2.5%)は下回った。この結果、名目GDP成長率は前期比年率+4.5%(前期:+5.0%)と実質成長率に比べて前期からの低下幅が縮小した(図表9)。
一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+2.3%、前年同期比+2.4%(前期:+1.5%、+2.3%)と前期に比べて前期比、前年同期比ともに上昇した(図表10)。また、物価の基調を示す食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は、前期比年率+2.5%、前年同期比+2.8%(前期:+2.2%、+2.7%)となり、こちらも前期に比べて前期比、前年同期比ともに小幅ながら上昇した。この結果、コア指数は前年同期比でFRBが物価目標とする2%を依然上回っているほか、低下が足踏みとなった。
10-12月期のGDP価格指数は前期比年率+2.2%(前期:+1.9%)と前期から上昇したものの、市場予想(同+2.5%)は下回った。この結果、名目GDP成長率は前期比年率+4.5%(前期:+5.0%)と実質成長率に比べて前期からの低下幅が縮小した(図表9)。
一方、FRBが物価の指標として注目するPCE価格指数2は、前期比年率+2.3%、前年同期比+2.4%(前期:+1.5%、+2.3%)と前期に比べて前期比、前年同期比ともに上昇した(図表10)。また、物価の基調を示す食料品とエネルギーを除いたコアPCE価格指数は、前期比年率+2.5%、前年同期比+2.8%(前期:+2.2%、+2.7%)となり、こちらも前期に比べて前期比、前年同期比ともに小幅ながら上昇した。この結果、コア指数は前年同期比でFRBが物価目標とする2%を依然上回っているほか、低下が足踏みとなった。
2 現在、FOMCのメンバーは四半期に一度物価見通しを公表しており、そこで物価の指標として採用されている指数がPCE価格指数とコアPCE価格指数である。見通しは年単位で、各年の10-12月期における前年同期比が公表されている。
(2025年01月31日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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