コラム
2025年02月06日

バレンタインジャンボ2025の検討-狙いは一攫千金? 超高額当せん? それともポートフォリオを作る?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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今年もまもなくバレンタインデーの時期がやってくる。バレンタインデーと言えば、日本では、チョコレートのプレゼントが浸透している。

近年は、ジェンダーレスの観点から、女性から男性へチョコレートを贈るという行為はやめたほうがよい、という意見も多くなっているようだ。職場などで配られてきた「“義理チョコ”の見直し」、男性から女性にチョコを贈る「逆バレンタイン」、仕事や勉強などに頑張った自分への「ご褒美チョコ」など、バレンタインデーをめぐるさまざまな動きが出てきている。

ただ、最近、原料であるカカオ豆の不作により、チョコレートの値段は高騰している。カカオ豆の不作の原因には、コートジボワールやガーナなどの原産地で洪水や干ばつといった異常気象が起きていることがある。加えて、カカオの木を枯らす「カカオ膨梢(ぼうしょう)ウイルス」が蔓延していることもあるようだ。温暖化により、ウイルスを媒介するカイガラムシの発生時期が早くなっていることが原因として考えられている。

消費者物価指数(総務省)によると、チョコレートの2023年の価格は、10年前に比べて48%上昇している。このように、チョコレートが貴重品になるにつれて、プレゼントを贈る側では「むざむざ“義理チョコ”などにお金をかけている場合ではない」といった考え方が広がる可能性がある。“義理チョコ”を期待している人にとっては、厳しい時代になったといえるかもしれない。

そんななか、バレンタインの時期の“希望の星”となりうるのが、「バレンタインジャンボ宝くじ」だ。今年は、2月7日(金)に発売開始となる。それでは、今年のバレンタインジャンボ宝くじの内容を見ていこう。

◇ 「バレンタインジャンボ」と「バレンタインジャンボミニ」とも、昨年のものから変更はない

バレンタインジャンボ宝くじには、年末ジャンボ宝くじなどと同様、「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。「1等前後賞合わせて3億円」のうたい文句で販売されるのは、バレンタインジャンボだ。バレンタインジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞合わせて3000万円となっている。

この後、今年のくじの内容について細かく見ていくが、あらかじめ申し上げておくべきことがある。

実は、「バレンタインジャンボ、バレンタインジャンボミニとも、昨年のものから、当せん金や当せん確率に変更はない」ということだ。これは昨年までの変更により、バレンタインジャンボ宝くじとして“完成形”に達したということを意味しているのかもしれない。

◇ 「バレンタインジャンボ」は3億円の一攫千金狙い

まず、バレンタインジャンボから見ていこう。
バレンタインジャンボ
バレンタインジャンボは、昨年、当せん金1000万円の2等と当せん金100万円の3等の当せん本数が大幅に増やされた。一方、当せん金1万円の5等の本数が減らされた。これらの増減により、組み替えが行われたことになる。ただ、組み換えといっても平均受取額で見ると、くじ1枚に対する当せん金の期待値は1円増加した。その内容が、今年も存置されている。

この、当せん金1000万円の2等と当せん金100万円の3等の当せん本数が大幅に増やされる一方、当せん金1万円の5等の本数が減らされるという組み換えは、最近の年末ジャンボなどと同様の動きだ。今回のバレンタインジャンボは、当せん金100万円以上の高額当せんが狙い目といえるだろう。

それでは、100万円以上の当せん金を当てるには、どれだけくじを買ったらよいか? 計算してみると、100万円以上の賞金が当たる確率は0.00313%なので、この数字の逆数をとることにより、平均的には、3万1949枚のくじを買うと100万円以上の賞が1本当せんするという結果になる。

これだけの枚数のくじを買うと、100万円未満の複数の当せんも期待できる。平均的には、4等3本、5等31本、6等319本、7等3194本の当せんが期待できる。こうした4等から7等の当せんにより、平均的に、当せん金237万5200円が受け取れる。100万円以上の賞の当せんと合わせると、337万5200円以上の当せん金の受け取りが期待できることになる。

ただし、1枚300円のくじを3万1949枚買うためには、958万4700円が必要となる。たとえ3等100万円が1本当せんして337万5200円の当せん金を受け取ったとしても、600万円以上もの持出しとなってしまう。大量購入を考える場合には、購入額と当せん金の受取額の関係に十分注意しておく必要があるといえるだろう。

このようにみていくと、バレンタインジャンボは、「3億円の一攫千金の狙いを中心に据えつつ、当せん金100万円以上の高額当せんも狙いたい」という一攫千金狙いのくじと位置づけられそうだ。

◇ ミニは、ジャンボよりも1等の当せん確率が10倍大きい

つづいて、バレンタインジャンボミニを見てみよう。ジャンボと違って、ジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞合わせて3000万円にとどまる。
バレンタインジャンボミニ
バレンタインジャンボミニについても、昨年、いくつかの変更が行われた。まず、1等前後賞合わせて3000万円の当せん本数が一昨年のものから倍増した。また、当せん金100万円の2等の本数が3倍増となった。一方、当せん金5万円の3等の本数が半減。当せん金1万円の4等の本数が4分の1に減少した。これらの組み替えを通じて、100万円以上の高額当せんにシフトした形となっている。

バレンタインジャンボミニの表を、バレンタインジャンボの表と比較してみると、実は、当せん金100万円以下(ジャンボの3等以下、ジャンボミニの2等以下)の当せん確率は、当せん金ごとに全く同じであることがわかる。

それでは、違いはどこにあるのか? バレンタインジャンボミニは、バレンタインジャンボと比べて、1等の当せん確率が10倍大きい点が挙げられる。つまり、バレンタインジャンボミニは、「3000万円の超高額当せんを中心に据えつつ、当せん金100万円以上の高額当せんも狙いたい」という高額当せん狙いのくじと位置づけられるだろう。

◇ 3億円の一攫千金か、3000万円の高額当せんか、それとも宝くじのポートフォリオを作るか

以上のように、今回のバレンタインジャンボとバレンタインジャンボミニには、1等の当せん確率に違いがある。

とにかく「3億円の一攫千金を狙いたい」ということならば、バレンタインジャンボがおすすめとなる。1等が当たる確率は1000万枚に1本で、昨年の年末ジャンボの場合(2000万枚に1本)に比べて2倍に設定されている。

一方、「3000万円の超高額当せんを目指す」ということならば、バレンタインジャンボミニを買うのがよいだろう。

どちらか一方に絞り切れないという人は、バレンタインジャンボとバレンタインジャンボミニを両方買うことにして、宝くじのポートフォリオを作るという、ぜいたくな買い方も考えられる。

(2025年02月06日「研究員の眼」)

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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

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