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ドリームジャンボの期待2024-能登半島地震の被災地支援に向けて

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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そんな五月病の症状を和らげるかもしれない宝くじが発売開始となる。5月8日発売開始の「ドリームジャンボ宝くじ」だ。最高当せん金は、1等前後賞合わせて5億円と高額に設定されている。
今回のドリームジャンボ宝くじは、「能登半島地震被災地支援」と銘打って行われる。実は、4月に発売されたインターネット専用くじ「クイックワン」でも、同様の支援が行われた。クイックワンでは数億円と見込まれる収益金の全額、ドリームジャンボ宝くじでは収益金のうち40億円が被災自治体に優先的に配分されることになっている。
同様の被災地支援の宝くじは、1995年の阪神・淡路大震災や2011年の東日本大震災をはじめ、最近では16年の熊本地震、18年の西日本豪雨で行われてきた。宝くじの復興財源としての機能が生かされてきたわけだ。今回も、被災した地域の復興に宝くじが役割を果たすことが期待されている。
くじを買うことで、被災地の復旧・復興に貢献することができる。被災地への応援という思いが加わることで、くじを買う意欲もさらに高まるだろう。
◆ ドリームジャンボは、当せん金1000万円や100万円の当せん本数が大幅に増加
これに対して、ドリームジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞合わせて5000万円に設定されている。
それでは、まず、ドリームジャンボから詳しく見ていこう。昨年の宝くじと比べて、当せん金、当せん確率、当せん金の期待値の主な変更点をまとめると、次のとおりとなる。
(ドリームジャンボの主な変更点)
(1) 当せん金1000万円の2等の当せん本数が、昨年の1ユニット(1000万枚)あたり2本から、今年は4本へと倍増
(2) 当せん金100万円の3等の当せん本数が、昨年の1ユニットあたり70本から、今年は200本へと2.86倍に増加
(3) 当せん金5万円の4等が新設され、当せん本数は1ユニットあたり1000本とされた
(4) 当せん金1万円の5等(昨年は4等)の当せん本数が、昨年の3万本から、今年は1万本へと3分の1に減少
(くじ1枚300円に対する当せん金の期待値は、149.99円のまま変わらず)
この、「当せん金1000万円の2等と当せん金100万円の3等の当せん本数が大幅に増やされる一方、当せん金1万円の5等の本数が減らされる」という組み換えは、昨年の年末ジャンボや、今年のバレンタインジャンボと同様の動きだ。「○○ジャンボ」のトレンドと見ることができる。すなわち、最近のジャンボ宝くじは、当せん金100万円以上の高額当せんに重点を移しているといえるだろう。
それでは、100万円以上の当せん金を当てるには、どれだけくじを買ったらよいか? 計算してみると、100万円以上の賞金が当たる確率は0.00207%なので、この数字の逆数をとることにより、平均的には、4万8310枚のくじを買うと100万円以上の賞が1本当せんするという結果になる。
これだけの枚数のくじを買うと、100万円未満の複数の当せんも期待できる。平均的には、4等4本、5等48本、6等483本、7等4831本の当せんが期待できる。こうした4等から7等の当せんにより、平均的に、当せん金357万8300円が受け取れる。100万円以上の賞の当せんと合わせて、457万8300円以上の当せん金の受け取りが期待できることになる。
ただし、1枚300円のくじを4万8310枚買うためには、1449万3000円が必要となる。たとえ3等100万円が1本当せんして457万8300円の当せん金を受け取ったとしても、991万円以上もの持出しとなってしまう。大量購入を考える場合には、購入額と当せん金の受取額の関係に十分注意しておく必要があるといえるだろう。
ドリームジャンボは、「『1等前後賞合わせて5億円』の一攫千金を中心に、100万円以上の高額当せんを狙うための宝くじ」と位置づけられる。
◆ ミニは、1等の当せん本数が2.5倍に増加
ドリームジャンボミニについて、当せん金、当せん確率、当せん金の期待値の主な変更点をまとめると、次のとおりとなる。
(ドリームジャンボミニの主な変更点)
(1) 当せん金3000万円の1等の当せん本数が、昨年の1ユニット(1000万枚)あたり4本から、今年は10本へと2.5倍に増加
(2) それとともに、当せん金1000万円の1等の前後賞の当せん本数も、昨年の1ユニットあたり8本から、今年は20本へと2.5倍に増加
(3) 当せん金100万円の2等の当せん本数が、昨年の1ユニットあたり100本から、今年は300本へと3倍に増加
(4) 当せん金1万円の3等の当せん本数が、昨年の6万本から、今年は1万本へと6分の1に減少
(くじ1枚300円に対する当せん金の期待値は、150円のまま変わらず)
ドリームジャンボとドリームジャンボミニの高額当せんの内容を比較すると、両者の違いが見えてくる。ドリームジャンボミニをドリームジャンボと比べると、1等の当せん確率が10倍大きく、また当せん金100万円の当せん確率が1.5倍大きくなっている。
ドリームジャンボミニは、「5000万円の超高額当せんを中心に据えつつ、当せん金100万円以上の高額当せんも狙いたいという超高額当せん狙いのくじ」と位置づけられるだろう。
(2024年05月07日「研究員の眼」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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