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バレンタインジャンボの狙い目-一攫千金と超高額当せん、どちらを狙う?
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
そもそもバレンタインデーとはどういう日なのか。少し歴史を見てみると、いまから1700年以上前のローマ帝国時代にさかのぼる。当時、ローマでは、皇帝クラウディウス2世が「若者が戦争へ行きたがらないのは、故郷に残る恋人と離れたくないため」と、兵士の士気の低下を恐れて、結婚を禁じていた。キリスト教司祭ウァレンティヌスは、それを不憫に思い、内密に兵士の結婚式を行っていた。
そのことを知った皇帝はウァレンティヌスを問いただして罪を認めさせ、二度とそのようなことがないように命じた。しかし、ウァレンティヌスはその命に背き、処刑されてしまった。その処刑された日が、西暦269年2月14日だった。ウァレンティヌスは「聖バレンタイン」という聖人として、広く知られるようになったという。
14世紀頃から、ローマでは「聖バレンタイン」の命日である2月14日をバレンタインデーとして、恋愛に関係するイベントが行われるようになった。それが、徐々に世界に広がっていった。
日本では、女性から男性にチョコレートを贈る風習が続いてきた。これは、1935年2月に、洋菓子メーカーのモロゾフ(神戸市)が英字新聞に「バレンタインにモロゾフのチョコレートを贈りましょう」との広告を出したことが始まりとされる。主に、日本に住む外国人向けの宣伝だったと考えられる。
日本人向けには、戦後の1950年代から、お菓子のメーカーや、デパートなどを巻き込んで、バレンタイン商戦がスタートする。それ以来、約70年に渡り、毎年2月に、女性から男性へチョコレートを贈るという風習が、日本独自の文化として続いている。
近年は、ジェンダーレスの観点から、女性から男性へチョコを贈るという行為はやめたほうがよい、という意見も多くなっているようだ。職場などで配られてきた「“義理チョコ”の見直し」、男性から女性にチョコを贈る「逆バレンタイン」、仕事や勉強などに頑張った自分への「ご褒美チョコ」など、バレンタインデーをめぐる多様な動きが出てきている。
そんななかの1つになるかもしれないのが、「バレンタインジャンボ宝くじ」だ。今年は、2月14日に発売開始となる。例年、2月初め頃に発売を開始していたが、今年はバレンタインデーに合わせた形となっている。ジャンボ宝くじも、バレンタイン商戦の1つに加わろうということかもしれない。それでは、今年のバレンタインジャンボ宝くじの内容を見ていこう。
◇ バレンタインジャンボは、当せん金100万円以上の高額当せんに重点を移した
バレンタインジャンボ宝くじには、年末ジャンボ宝くじと同様「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。「1等前後賞合わせて3億円」のうたい文句で販売されるのは、バレンタインジャンボだ。バレンタインジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞合わせて3000万円となっている。
それでは、まず、バレンタインジャンボについて詳しく見てみよう。当せん金、当せん確率、平均受取額の主な変更点をまとめると、次のとおりとなる。
この、当せん金1000万円の2等と当せん金100万円の3等の当せん本数が大幅に増やされる一方、当せん金1万円の5等の本数が減らされるという組み換えは、昨年の年末ジャンボと同様の動きだ。今回のバレンタインジャンボは、当せん金100万円以上の高額当せんに重点を移したといえるだろう。
それでは、100万円以上の当せん金を当てるには、どれだけくじを買ったらよいか? 計算してみると、100万円以上の賞金が当たる確率は0.00313%なので、この数字の逆数をとることにより、平均的には、3万1949枚のくじを買うと100万円以上の賞が1本当せんするという結果になる。
これだけの枚数のくじを買うと、100万円未満の複数の当せんも期待できる。平均的には、4等3本、5等31本、6等319本、7等3194本の当せんが期待できる。こうした4等から7等の当せんにより、平均的に、当せん金237万5200円が受け取れる。100万円以上の賞の当せんと合わせて、337万5200円以上の当せん金の受け取りが期待できることになる。
ただし、1枚300円のくじを3万1949枚買うためには、958万4700円が必要となる。たとえ3等100万円が1本当せんして337万5200円の当せん金を受け取ったとしても、600万円以上もの持出しとなってしまう。大量購入を考える場合には、購入額と当せん金の受取額の関係に十分注意しておく必要があるといえるだろう。
このように、いろいろみていくと、バレンタインジャンボは、「3億円の一攫千金の狙いを中心に据えつつ、当せん金100万円以上の高額当せんも狙いたい」という一攫千金狙いのくじと位置づけられそうだ。
◇ ミニは、ジャンボよりも1等の当せん確率が10倍大きい
ジャンボと違って、ジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞合わせて3000万円にとどまる。
バレンタインジャンボミニに対しても、昨年のものからいくつかの変更が行われている。主な変更点をまとめると、次のとおりとなる。
(バレンタンイジャンボミニの主な変更点)
(1) 当せん金2000万円の1等の当せん本数が、昨年の1ユニット(1000万枚)あたり5本から、今年は10本へと倍増
(2) それとともに、当せん金500万円の1等の前後賞の当せん本数も、昨年の1ユニットあたり10本から、今年は20本へと倍増
(3) 当せん金100万円の2等の当せん本数が、昨年の1ユニットあたり100本から、今年は300本へと3倍に増加
(4) 当せん金5万円の3等の当せん本数が、昨年の1ユニットあたり2000本から、今年は1000本へと半減
(5) 当せん金1万円の4等の当せん本数が、昨年の1ユニットあたり4万本から、今年は1万本へと4分の1に減少
(くじ1枚300円に対する当せん金の平均受取額は、135円のまま変わらず)
バレンタインジャンボミニの表を、バレンタインジャンボの表と比較してみると、当せん金100万円以下の当せん確率は、当せん金ごとに同じであることがわかる。
それでは、違いはどこにあるのか? バレンタインジャンボミニは、バレンタインジャンボと比べて、1等の当せん確率が10倍大きい点が挙げられる。つまり、バレンタインジャンボミニは、「3000万円の超高額当せんを中心に据えつつ、当せん金100万円以上の高額当せんも狙いたい」という高額当せん狙いのくじと位置づけられるだろう。
◇ 3億円の一攫千金か、3000万円の高額当せんか
とにかく、「3億円の一攫千金を狙いたい」ということならば、バレンタインジャンボがおすすめとなる。1等が当たる確率は1000万枚に1本で、年末ジャンボの場合(2000万枚に1本)に比べて2倍に設定されている。
一方、「3000万円の超高額当せんを目指す」ということならば、バレンタインジャンボミニを買うのがよいだろう。
宝くじの醍醐味である一攫千金を狙って、バレンタインジャンボを買うか。それとも、超高額当せんを目指して、バレンタインジャンボミニを買うか。どちらも買うとしたら、それぞれの枚数は何枚ずつにするか──。
今年のバレンタインジャンボ宝くじは、2月14日から3月15日まで発売され、抽せん日は3月22日とされている。発売期間は、1ヵ月以上もある。
今回の宝くじは、バレンタインデーに発売開始だ。誰かへのプレゼントにするか、自分への「ご褒美宝くじ」にするか、用途も含めて考えながら、くじを買うのもよいと思われるが、いかがだろうか。
(参考資料)
「宝くじ公式サイト」(全国自治宝くじ事務協議会のウェブサイト)
「バレンタインデーの起源とは? 海外と異なる日本のバレンタイン事情」(ダンデライオン・チョコレート ブログ, 2021年1月18日)
「日本のバレンタインデーはモロゾフから始まりました」(モロゾフ株式会社ホームページ)
「さらば義理チョコ ジェンダーレスが変えるバレンタインの愛情表現」藤田太郎 記者著(日経ビジネス, 2023年2月14日)
(2024年02月13日「研究員の眼」)
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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