コラム
2023年09月19日

ハロウィンジャンボの楽しみ2023-一攫千金のドキドキ感か、100万円以上当せんのワクワク感か

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也

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猛暑・酷暑が続いた夏がようやく過ぎ去り、少しずつ過ごしやすい秋の季節が訪れている。味覚の秋、食欲の秋で、ついつい食べ過ぎてしまい、肥満がちになってしまう人もいるかもしれない。一方、芸術の秋、スポーツの秋として、さまざまな充実した活動を進めている人も多いはずだ。

今年5月には5類感染症移行後にコロナ禍の規制も解け、人々の外出や旅行が戻りつつある。10月下旬には、恒例の「ハロウィン」の時期がやってくる。

今年は各地でハロウィンイベントが開催される予定で、大変な盛り上がりが期待される。ただ、渋谷区では、「ハロウィン期間中にハロウィン目的で渋谷駅周辺に来ないでほしい」と区長が呼びかけている。路上飲酒などのモラルの低下を避けることや、多数の来街者による雑踏事故を防ぐことが目的だという。マナーや安全の面を考えると、ハロウィンを楽しむのもほどほどに、というところだろう。

そんななか、今年も9月20日(水)からハロウィンジャンボ宝くじが発売される。ハロウィンを楽しむには、うってつけのイベントといえる。最高当せん金は1等前後賞合わせて5億円と高額だ。当せん金や当せん本数などのなかには、昨年から変更されている部分もある。その変更点をみながら、今年はどんなふうに狙うべきか、少し考えてみよう。

◇ 昨年のハロウィンジャンボと比べて何が変わったのか

ハロウィンジャンボ宝くじには、他のジャンボ宝くじと同様、「ジャンボ」と「ジャンボミニ」の2つがある。「1等前後賞合わせて5億円」のうたい文句で販売されるのは、ハロウィンジャンボだ。ハロウィンジャンボミニの当せん金の最高額は、1等前後賞合わせて5000万円となっている。

それでは、今年のハロウィンジャンボは、昨年と比べて何が変更となったのか、具体的にみていこう。主な変更点として、次の5つがあげられる。
 

(ハロウィンジャンボの主な変更点)
(1) 2等(当せん金1000万円)の当せん本数が、1ユニット(1000万枚)あたり、2本から10本に5倍増
(2) 3等(当せん金100万円)の当せん本数が、1ユニットあたり、100本から200本に倍増
(3) 4等(当せん金1万円・1ユニットあたり当せん本数2万本)はなくなった
(4) これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は112万204本から110万312本に減少
(5) 1枚300円に対する当せん金の平均受取額は、142.99円から140.99円へと2円減少

◇当せん金の平均受取額はくじの発売額の半分以下とすることが法律で定められている

このうち、まず(5)の当せん金の平均受取額について少し確認しておこう。

宝くじは1枚300円だが、当せんすれば、それ以上の金額を受け取ることができる。当せんしなければ、もちろん当せん金は受け取れない。それでは、当せんする場合としない場合をすべて考えたときに、当せん金はどれぐらい受け取れるか ── それが、当せん金の平均受取額だ。

ある等の当せん金と当せん確率を掛け算すると、その等の当せん金の平均受取額となる。例えば、1等の場合、当せん金3億円と当せん確率0.00001%を掛け算して、1等の当せん金の平均受取額は30円といった具合いだ。これをすべての等で合計すると、くじ全体の当せん金の平均受取額が計算できる。

今回のハロウィンジャンボの場合、くじ全体の当せん金の平均受取額を計算してみると140.99円となった。これは、1枚300円のくじの半分以下だ。実は、宝くじでは、この当せん金の金額は発売額の半分以下とすることが、当せん金付証票法という法律で定められている。
 

当せん金付証票法 (昭和二十三年法律第百四十四号)
第五条(当せん金付証票の当せん金品の限度) 第一項
当せん金付証票の当せん金品の金額又は価格の総額は、その発売総額の五割に相当する額(加算型当せん金付証票にあつては、その額に加算金(第二条第二項の加算金をいう。以下同じ。)の額を加えた額)をこえてはならない。


つまり、今回のハロウィンジャンボ宝くじでいえば、平均受取額はくじの発売額 (300円)の半分以下ということになる。宝くじで当せんして儲けようとしても、そう簡単にはできないわけだ。

◇ ジャンボは100万円以上の当せん本数が2倍に増加

続いて、ハロウィンジャンボの変更内容を詳しく見てみよう。(1)の2等の当せん本数5倍増と、(2)の3等の当せん本数倍増を、(3)の4等1.8万本なくすことの間で振り替え。(3)の4等の残り0.2万本をなくすことは平均受取額の2円減少につながっている。これにより、(4)の通り、1ユニットあたりの当せん本数は減少となる。その代わり、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニットあたり、昨年の105本から今年は213本へと2倍に増加する。

実は、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、昨年、1.9倍に増加していた。2年連続で2倍前後の増加することになり、高額当せんに大きく比重を傾けたくじとなっている。

ハロウィンジャンボは、平均して、くじを4万6949枚買うと、当せん金100万円以上の当せんが1本出る形となっている。その際、これらのくじから平均的に、4等が469本(当せん金140万7000円)、5等が4694本(同140万8200円)当たるので、合わせると、当せん金の受け取りは、平均381万5200円に達する。ただし、そのためには、くじの購入代金として1408万4700円が必要となる。平均的には、1000万円以上の持ち出しとなるので注意が必要だ。

ハロウィンジャンボは、本命の「1等前後賞合わせて5億円」の超高額当せんとともに、2等1000万円や、3等100万円の当せんに照準を合わせた、高額当せん金狙いの宝くじと位置づけられそうだ。
ハロウィンジャンボ

◇ ミニは100万円以上の当せん本数が2.9倍増加

一方、ハロウィンジャンボミニはどうか。ハロウィンジャンボと違って、当せん金の最高額は1等前後賞合わせて5000万円にとどまるが、その分、2等以下の当せんの期待は大きい。

ハロウィンジャンボミニについては、昨年と比べた場合の主な変更点は6つにまとめられる。
 

(ハロウィンジャンボミニの主な変更点)
(1) 1等(当せん金3000万円)の当せん本数が、1ユニット(1000万枚)あたり4本から10本に2.5倍増
(2) 併せて、1等の前後賞(当せん金1000万円)の当せん本数も8本から20本に2.5倍増
(3) 2等(当せん金100万円)の当せん本数が、1ユニットあたり100本から300本に3倍増
(4) 3等(当せん金1万円)の当せん本数が、1ユニットあたり5万本から1000本に減少
(5) これらの結果、1ユニットあたりの当せん本数は115万112本から110万1330本に減少
(6) 1枚300円に対する当せん金の平均受取額は、140円から141円へと1円増加


これは、(4)の3等の当せん本数の4.9万本減少を、(1)と(2)の「1等前後賞合わせて5000万円」の本数2.5倍増と、(3)の2等の当せん本数の3倍増で振り替え。そして、振り替え分を上回る当せん金が、(6)の平均受取額1円増の形で、プラスオンされたものと見ることができる。これにより、(5)の通り、1ユニットあたりの当せん本数は減少となる。その代わり、100万円以上の当せん金が当たるくじの本数は、1ユニットあたり、昨年の112本から今年は330本へと2.9倍に増加する。1ユニットあたりの100万円以上の当せん金の当せん本数は、ハロウィンジャンボと比べて1.5倍以上、ということになる。

実は、ハロウィンジャンボミニでは、昨年、当せん金100万円の2等が新設された。100万円という高額当せんを設けることで、宝くじの魅力を高めていた。今年は、その当せん本数が1ユニットあたり3倍増に拡大することとなったわけだ。

ハロウィンジャンボミニは、平均して、くじを3万304枚買うと、当せん金100万円以上の当せんが1本出る形となっている。その際、これらのくじから平均的に、4等が303本(当せん金90万9000円)、5等が3030本(同90万9000円)当たるので、合わせると、当せん金の受け取りは、平均281万8000円に達する。ただし、そのためには、くじの購入代金として909万1200円が必要となる。平均的には、600万円以上の持ち出しとなるので注意が必要だ。

ハロウィンジャンボミニは、1等前後賞合わせて5000万円を狙いつつ、100万円以上の当せんに軸足を置いた宝くじと言えるだろう。
​ハロウィンジャンボミニ

◇ ハロウィン気分を高める宝くじの買い方

まとめると、今回の宝くじは、「1等前後賞合わせて5億円」の超高額当せんとともに、2等1000万円や、3等100万円の当せんに照準を合わせた、高額当せん金狙いのハロウィンジャンボ。1等前後賞合わせて5000万円を狙いつつ、100万円以上の当せんに軸足を置いたハロウィンジャンボミニ。この2つの宝くじが、選択肢として、与えられていることになる。

5億円もの一攫千金のドキドキ感が味わえるハロウィンジャンボ。100万円以上の当せんのワクワク感が楽しめるハロウィンジャンボミニ。この2つを満喫できるように、2つの宝くじを買い揃える― それが、今回の買い方のコツといえるかもしれない。

今回の宝くじの発売期間は10月20日(金)までと、まだ時間はたっぷりある。抽せん日は10月27日(金)。当せん金の支払開始日は、ハロウィンの翌日、11月1日(水)だ。ハロウィンジャンボ宝くじを買うことで、ハロウィン気分を高めてはいかかだろうか。
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保険研究部   主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員

篠原 拓也 (しのはら たくや)

研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務

経歴
  • 【職歴】
     1992年 日本生命保険相互会社入社
     2014年 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本アクチュアリー会 正会員

(2023年09月19日「研究員の眼」)

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