2025年01月30日

東証は開示企業一覧表を見直し~「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示状況~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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■要旨
 
  • 東京証券取引所は、2025年1月15日公表分から「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」に関する開示企業一覧表の内容を見直した。
     
  • 2024年12月末時点の開示企業の割合はプライム市場で84%、スタンダード市場で36%だった。
     
  • 今回の見直しは(1)【アップデート日付】の明示、(2)【機関投資家からのコンタクトを希望】する企業の明示、(3)【検討中】の状況説明と掲載期間の設定、の3点である。
     
  • 今回の見直しでは、単なる開示の有無を確認するに留まらず、質的向上を目指した対応が注目される。特に、機関投資家からのより活発なコンタクトを希望する企業の明示や、「検討中」状態の長期化防止といった取り組みは、企業と投資家の間における透明性とエンゲージメントを強化する効果が期待される。東証の取組みを一つの契機として、企業と投資家双方にとって有益な市場形成が進む契機となると考えられる。


■目次

1――はじめに
2――プライム上場企業の84%が開示済
3――PBRが低位で時価総額が大きい企業ほど開示率が高い傾向
4――PBR1倍以上かつ時価総額が小さい企業の株価は「開示済」が「記載なし」を上回った
5――一覧表見直しの内容と背景は?
6――まとめ

(2025年01月30日「基礎研レポート」)

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

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