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- 「資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応」の開示状況(24年5月末時点)
コラム
2024年06月24日
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図表2は、プライム市場上場企業の開示状況をPBRと時価総額別で集計し、23年12月末時点と24年5月末点を比較したものである。
24年5月末時点で、PBR1倍未満かつ時価総額1,000億円以上の企業の開示率が86%と最も高かった。それに対し、PBR1倍以上かつ時価総額250億円未満の企業の開示率が42%と最も低かった。しかし、23年12月末時点と比較すると、PBR1倍以上の企業ほど開示が進展している。時価総額に関しても、250億円未満の企業ほど開示が進展しており、プライム市場上場企業全体の開示率が着実に進捗していることがわかる。このように開示企業が増える中で、投資家の関心は開示の有無だけではなく、開示の中身や質にも移りつつあると考えられる。
一方で、時価総額1,000億円以上かつPBR1倍以上の企業のうち、137社が開示をしていない点が気になる。プライム市場に上場する時価総額1,000億円以上かつPBRが1倍を超えている企業は、日本市場を代表する企業が多く、これらの企業が積極的に開示をすすめることが、日本市場上場企業全体のさらなる企業価値向上に繋がると考えられる。
24年5月末時点で、PBR1倍未満かつ時価総額1,000億円以上の企業の開示率が86%と最も高かった。それに対し、PBR1倍以上かつ時価総額250億円未満の企業の開示率が42%と最も低かった。しかし、23年12月末時点と比較すると、PBR1倍以上の企業ほど開示が進展している。時価総額に関しても、250億円未満の企業ほど開示が進展しており、プライム市場上場企業全体の開示率が着実に進捗していることがわかる。このように開示企業が増える中で、投資家の関心は開示の有無だけではなく、開示の中身や質にも移りつつあると考えられる。
一方で、時価総額1,000億円以上かつPBR1倍以上の企業のうち、137社が開示をしていない点が気になる。プライム市場に上場する時価総額1,000億円以上かつPBRが1倍を超えている企業は、日本市場を代表する企業が多く、これらの企業が積極的に開示をすすめることが、日本市場上場企業全体のさらなる企業価値向上に繋がると考えられる。
図表3は、スタンダード市場上場企業の開示状況をPBRと時価総額別で集計し、23年12月末時点と24年5月末点を比較したものである。
24年5月末時点では、PBR1倍未満かつ時価総額100億円以上の企業の開示率が31%と最も高かった。それに対し、PBR1倍以上かつ時価総額50億円未満の企業の開示率が9%と最も低かった。23年12月末と比較しても、PBRで見ると、PBR1倍未満の企業ほど開示が進展していることがわかる。一方、時価総額で見ると、100億円以上の企業ほど開示が進展している。
スタンダード市場の開示率は、24年5月末時点で20%と依然として低い水準にとどまっている。これは、相対的に時価総額が小さい企業が多く、IR担当者が不在などリソースが不足していることが一因と考えられる。東証の「対応のポイント・取組事例の公表」などを参考にし、まずは開示率を上ることが求められている。
24年5月末時点では、PBR1倍未満かつ時価総額100億円以上の企業の開示率が31%と最も高かった。それに対し、PBR1倍以上かつ時価総額50億円未満の企業の開示率が9%と最も低かった。23年12月末と比較しても、PBRで見ると、PBR1倍未満の企業ほど開示が進展していることがわかる。一方、時価総額で見ると、100億円以上の企業ほど開示が進展している。
スタンダード市場の開示率は、24年5月末時点で20%と依然として低い水準にとどまっている。これは、相対的に時価総額が小さい企業が多く、IR担当者が不在などリソースが不足していることが一因と考えられる。東証の「対応のポイント・取組事例の公表」などを参考にし、まずは開示率を上ることが求められている。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年06月24日「研究員の眼」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
2015年 ニッセイ基礎研究所入社
2020年4月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)
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