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- トランプ2.0とユーロ-ユーロ制度のバージョンアップも課題に
2025年01月24日
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■要旨
- トランプ大統領の再選以来のユーロ安基調は、一旦歯止めが掛かったが、持続的で力強いユーロ安の修正につながるものにはならないだろう。
- 米国とEUの間で、原油やLNG輸入増加のディールがまとまるにせよ、関税引き上げ合戦にエスカレートするにせよ、ユーロ安圧力として働くように思われる。
- ユーロを支える制度は、ギリシャ発の債務危機に対応する過程でバージョンアップされた。ECBだけでなく、政治的な意思はユーロを守る上で欠かせなかった。
- 債務危機を乗り越えたユーロは、ドルに次ぐ第2の国際通貨としての地位を維持し続けているが、ユーロを支える制度には脆弱さが残る。政治的な問題が財政の持続可能性への疑念を引き起こした場合への対応には限界がある。
- 各国の健全な財政運営を担保するための新たなルールの試金石として注目されるのはフランスだ。議会の分裂から2025年予算の成立は未だ見通せないが、財政赤字の削減の必要性についての一致が見られることは、一定の安心材料と言えよう。
- 戦後の国際秩序を否定するトランプ2.0とEUは真逆の方向に動き出している。安全保障体制での自立性の向上、競争力の回復のための構造改革に加えて、ユーロ制度の更なるバージョンアップもEUにとって優先度の高い課題となっている。
(2025年01月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
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経歴
- ・ 1987年 日本興業銀行入行
・ 2001年 ニッセイ基礎研究所入社
・ 2023年7月から現職
・ 2015~2024年度 早稲田大学商学学術院非常勤講師
・ 2017年度~ 日本EU学会理事
・ 2017~2024年度 日本経済団体連合会21世紀政策研究所研究委員
・ 2020~2022年度 日本国際フォーラム「米中覇権競争とインド太平洋地経学」、
「欧州政策パネル」メンバー
・ 2022~2024年度 Discuss Japan編集委員
・ 2022年5月~ ジェトロ情報媒体に対する外部評価委員会委員
・ 2023年11月~ 経済産業省 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 委員
・ 2024年10月~ 雑誌『外交』編集委員
・ 2025年5月~ 経団連総合政策研究所特任研究主幹
伊藤 さゆりのレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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