2024年11月07日

低下する独仏経済の牽引力-政治の分断がブレーキに-

経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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■要旨
 
  1. ユーロ圏の景気減速懸念が強まっている。国別にはドイツの停滞が目立ってきたが、フランスにも失速の兆候が見られるようになってきた。
     
  2. これまでの独仏間の成長格差は主に個人消費によるもので、フランスの方が実質可処分所得の伸びが高く、購買力の回復局面に転じるのも早かった。
     
  3. 輸出のパフォーマンスもフランスの方が良好だった。ドイツは「産業立地としての競争力」が低下、主力輸出製品が軒並み沈み、サービス輸出も財関連の足取りが重い。
     
  4. 投資は、EUが目指すグリーン移行、デジタル移行、循環型経済への移行、産業の戦略的自律性の向上のために不可欠だが、独仏ともに減少傾向にある。エネルギーコストの高騰、賃金コスト、税負担、官僚主義的負担の増大で、特にドイツの産業立地としての競争力が低下し、産業空洞化懸念が強まっている。
     
  5. 議会が3つに割れたフランスでは、政治・政策の不確実性が経済活動のブレーキとなる可能性がある。ドイツのショルツ政権は分裂含みで、立地競争力の回復のための一貫性のある大胆な行動は期待し辛い。解散総選挙でも問題は解消しない。
     
  6. これまでEUの統合を牽引してきた独仏が、国内における合意形成により多くの政治的資源を割り当てざるを得なくなることは、EUレベルの競争力強化のために必要な改革や政策の協調も進み辛いことを示唆する

 
ユーロ圏主要国の実質GDP

(2024年11月07日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   常務理事

伊藤 さゆり (いとう さゆり)

研究・専門分野
欧州の政策、国際経済・金融

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