2025年01月16日

ロシアの物価状況(24年12月)-前年比伸び率は9%台半ばまで上昇

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:前年比は9.5%まで上昇

1月16日、ロシア連邦統計局は消費者物価指数を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【総合指数(24年12月)】
前年同月比は9.52%、市場予想1(9.8%)より下振れ、前月(8.88%)から上昇(図表1)
前月比は1.32%、市場予想(1.60%)より下振れ、前月(1.43%)から加速した

【コア指数2(24年12月)】
前年同月比は8.93%、前月(8.28%)から上昇(図表2)
前月比は1.02%、前月(1.10%)から減速した

(図表1)ロシアの消費者物価上昇率/(図表2)ロシアのインフレ率
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 生鮮食品など季節的要因による影響を受ける品目や管理品目を除いた指数。

2.結果の詳細:食料インフレの強さが目立つ

12月のロシアのインフレ率は前年比で9.52%となり、11月(8.88%)からさらに上昇した。

インフレ率を大分類別に見ると、12月の前年比伸び率は食料品が11.05%(前月:9.85%)、財(非食料品)が6.12%(前月:5.71%)、サービスが11.52%(前月:11.41%)となり、総じて上昇しているが、特に食料インフレが全体の伸びを押し上げた。また、サービスインフレも高止まりが続いている。

前年比寄与度では食料品が4.2%ポイント程度、財(非食料品)が2.1%ポイント程度、サービスが3.2%ポイント程度だった(図表1)。

12月の前月比伸び率は、総合指数で1.32%、コア指数で1.02%となった。前月(総合指数1.43%、コア指数1.10%)から減速したものの、総合指数・コア指数ともにコロナ禍前の標準的な上昇率を上回った(2018年の前月比伸び率は平均で総合指数が約0.35%、コア指数が約0.30%、図表3)。また、11月の前月比伸び率は、侵攻直後の高騰を除きロシアのウクライナ侵攻後で最高となったが、12月も11月に次ぐ高水準だった。

前月比伸び率を大分類で見ると食料品が2.60%(前月:2.33%)、財(非食料品)が0.81%(前月:0.51%)、サービスが0.20%(前月:1.31%)となった。

別途、ロシア連邦統計局が公表している週次のインフレ率(消費者物価上昇率)を見ると、最新の1月13日時点において、年末比(約2週間前)で0.67%上昇している(図表4、図表4では1/13の上昇率について年末比の半分を前週比みなしてプロットしている)。
(図表3)ロシアのインフレ率(前月比)/(図表4)ロシアのインフレ率(前週比)
(図表5)ロシアのインフレ率と家計のインフレ期待 ロシア中央銀行が公表する家計のインフレ期待(1年先中央値、実際のインフレ率よりも高めになる傾向がある)は、12月は13.9%で11月から上昇した。これまで過去の傾向(期待インフレ率≒前年比インフレ率+6%、図表5)と比較すると、期待インフレ率と実際のインフレ率との乖離が拡大している状況が続いている(期待インフレ率がやや低め)。
品目別の上昇率を見ると3(図表6)、12月は前年比でバター(36.23%)、その他サービス(29.96%)、青果物(22.09%)の伸び率が高い。また、前月比では、青果物(9.09%)、卵(5.77%)、植物油(4.44%)の上昇率が相対的に大きかった。
(図表6)ロシアの品目別インフレ率
各品目の消費ウエイトも考慮して、全体のインフレ率への寄与を品目別に見ると(図表7・8)、前年比上昇率への寄与が大きい品目は青果物(1.01%ポイント)、住居・公益サービス(0.98%ポイント)だった。

前月比上昇率の寄与では、青果物(約0.42%ポイント)、肉(約0.10%ポイント)、乳製品(約0.07%ポイント)、ガソリン(約0.06%ポイント)のプラス寄与が大きかった。
(図表7)ロシアの品目別インフレ率(前年比寄与度、抜粋)
(図表8)ロシアの品目別インフレ率(前月比寄与度、抜粋)
 
3 大分類である食料品、財(非食料品)、サービスをそれぞれ細目別に分類したもの(中分類)のうち、統計局のウェブサイトで公表しているものを記載。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年01月16日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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