2024年12月06日

ブラジルGDP(2024年7-9月期)-高成長維持、前年比は4.0%まで上昇

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:前期比0.9%で高成長維持

12月3日、ブラジル地理統計院(IBGE)は国内総生産(GDP)を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【実質GDP成長率(2024年7-9月期)】
前年同期比伸び率(未季節調整値)は4.0%、市場予想1(3.9%)を上回り、前期(3.3%)から上昇した(図表1・2)。
前期比伸び率(季節調整値)は0.9%、予想(0.8%)を上回り、前期(1.4%)から減速した。

(図表1)ブラジルの実質GDP成長率(需要項目別寄与度)/(図表2)ブラジルの実質GDP成長率(産業別寄与度)
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:輸出は減少したが、内需が引き続き強い

24年7-9月期の実質GDP伸び率は前期比0.9%(季節調整値、年率換算3.7%)となり、前期(前期比1.4%、年率換算5.7%)から減速した。コロナ禍前(19年10-12月期)比では11.2%だった(図表4・5)。一方、伸びのトレンドが見やすい前年比では4.0%と、前期(3.3%)から伸び率が拡大している。

成長率(前期比)を需要項目別に見ると、個人消費が1.5%(前期:1.4%)、政府消費が0.8%(前期:▲0.3%)、投資が2.1%(前期:2.2%)、輸出が▲0.6%(前期:1.5%)、輸入が1.0%(前期:7.3%)で、前期から輸出は減少したものの、内需(消費や投資)の底堅さは維持されている。

コロナ禍前との対比では、個人消費が11.5%、政府消費が8.8%、投資が20.5%、輸出が20.1%、輸入が21.6%だった(図表4)。
(図表3)業種別のGDP伸び率
(図表4)ブラジルの実質GDPの動向(需要項目別)/(図表5)ブラジルの実質GDPの動向(供給項目別)
産業分類別に実質GDPの伸び率を見ると(図表3・5)、第一次産業は前期比▲0.9%(前期:1.3%)、第二次産業は同0.6%(前期:1.6%)、第三次産業は同0.9%(前期:0.9%)だった。

より細かい業種では、第二次産業のうち製造業(前期比1.3%)を除く鉱業(▲0.3%)、建設業(▲1.7%)、電気・ガス(▲1.4%)がマイナスとなった。第三次産業は4-6月期に続き安定成長しており、7-9月期は情報・通信(2.1%)、その他(1.7%)、金融(1.5%)の伸び率が高かった(図表3)。
(図表6)ブラジルの名目および実質成長率 7-9月期の名目成長率は前年同期比8.0%(前期:7.1%)に上昇した。その結果、名目と実質成長率の差(デフレータに相当)は3.9%(前期:3.8%)にわずかに上昇している。なお、消費者物価指数(IPCA)では、10月で前年比4.76%と中銀目標(3±1.5%)を若干超過、ブラジル中銀はインフレ抑制に向け、9月に22年8月以来となる利上げを実施し、11月にも2会合連続となる利上げを実施した(合計0.75%ポイント引き上げ)。

輸出デフレータと輸入デフレータはいずれも前年比で伸び率が拡大し、交易条件は、交易利得が前期に比べてやや縮小した。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年12月06日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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