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- ベトナム経済:24年10-12月期の成長率は前年同期比7.55%増~輸出主導の好景気が継続
2025年01月07日
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1.結果の概要:3期連続の成長加速、市場予想を上回る
2024年10-12月期の実質GDP成長率は前年同期比7.55%増1(前期:同7.43%増)と小幅に上昇し、市場予想2(同6.7%増)を上回る結果となった(図表1)。
なお2024年通年の成長率は前年比7.09%となり、2023年の同5.07%から大きく上昇、当初の政府の成長率目標である6.0%~6.5%を上回った。
なお2024年通年の成長率は前年比7.09%となり、2023年の同5.07%から大きく上昇、当初の政府の成長率目標である6.0%~6.5%を上回った。
10-12月期の実質GDPを産業別にみると、農林水産業と建設業の回復が成長率上昇に繋がったことが分かる。
まず鉱工業・建設業は同8.57%増となり、前期の前年同期比9.36%増から低下した。主力の製造業が同10.67%増(前期:同12.25%増)、電気・ガス業が同7.55%増(前期:同8.19%増)となり、それぞれ増勢が鈍化した。一方、鉱業が同6.29%減(前期:同7.26%減)となりマイナス幅が縮小、建設業が同6.74%増(前期:同5.53%増)と加速した。
GDPの4割強を占めるサービス業は同8.35%増(前期:同8.28%増)と小幅に上昇した。サービス業の内訳を見ると、情報・通信業(同10.18%増)をはじめとして運輸・倉庫業(同9.93%増)や宿泊・飲食業(同9.37%増)、金融業(同8.57%増)、教育(同8.50%増)、党関連活動(同8.39%増)、卸売・小売業(同8.05%増)が高成長だった。一方、保健・社会サービス(同6.11%増)や政府サービス(同6.20%)、専門・科学技術サービス(同6.48%増)、不動産業(同6.50%増)は相対的に緩やかな伸びにとどまった。
農林水産業は前年同期比4.58%増(前期:同2.17%増)と上昇した。
1 1月6日、ベトナム統計総局(GSO)が2024年10-12月期の国内総生産(GDP)を公表した。
2 Bloomberg調査
2.結果の評価と先行きのポイント
ベトナム経済は、2023年は輸出の落ち込みや電力不足、不動産市場の停滞等により実質GDPが前年比+5.07%(2022年:同+8.54%)と鈍化したが、2024年は輸出の好調により成長率が同+7.09%まで上昇した。
また今回発表された2024年10-12月期の成長率は前年同期比7.55%(7-9月期:同+7.43%)と3四半期連続で上昇した。ベトナムは昨年9月に大型台風による被害を受けたが、世界的な消費回復を背景に10-12月期も輸出主導の好景気が続いていることが明らかとなった。2023年後半からの景気回復は主に製造業とサービス業の好調によるものだ。まず製造業(同+10.18%)は輸出拡大を追い風に力強い成長が続いている。通関ベースの貿易統計をみると、10-12月期は同の財貨輸出は同+10.4%と大幅に増加、コンピュータ・電子部品や衣料品の出荷が米国向けを中心に伸びている(図表2)。また公共投資も拡大しており、建設業(同6.74%増)が加速した。
サービス業(同+8.35%)は貿易と観光が活発で高成長を維持した。ベトナム政府はビザ優遇政策や観光プロモーションの強化が奏功し、10-12月期の外国人観光客が同+31.2%の487万人であった(図表3)。なお2024年通年では1,760万人(前年比39.5%増)となり、コロナ禍前の2019年の水準(1,800万人)の98%を回復している。またモノの貿易量の増加に伴い運輸・倉庫業(同+9.93%)と宿泊・飲食業(同+9.37%)が好調でサービス業全体を牽引している。このほか、10-12月期は物価が+3%前後に安定(図表4)、雇用情勢の改善や付加価値税減税の継続、最低賃金の引き上げなども加わって家計の購買力が向上しており、小売業(同8.05%増)は堅調に拡大したほか、市場の回復により不動産業(同+6.50%)が加速した。
また今回発表された2024年10-12月期の成長率は前年同期比7.55%(7-9月期:同+7.43%)と3四半期連続で上昇した。ベトナムは昨年9月に大型台風による被害を受けたが、世界的な消費回復を背景に10-12月期も輸出主導の好景気が続いていることが明らかとなった。2023年後半からの景気回復は主に製造業とサービス業の好調によるものだ。まず製造業(同+10.18%)は輸出拡大を追い風に力強い成長が続いている。通関ベースの貿易統計をみると、10-12月期は同の財貨輸出は同+10.4%と大幅に増加、コンピュータ・電子部品や衣料品の出荷が米国向けを中心に伸びている(図表2)。また公共投資も拡大しており、建設業(同6.74%増)が加速した。
サービス業(同+8.35%)は貿易と観光が活発で高成長を維持した。ベトナム政府はビザ優遇政策や観光プロモーションの強化が奏功し、10-12月期の外国人観光客が同+31.2%の487万人であった(図表3)。なお2024年通年では1,760万人(前年比39.5%増)となり、コロナ禍前の2019年の水準(1,800万人)の98%を回復している。またモノの貿易量の増加に伴い運輸・倉庫業(同+9.93%)と宿泊・飲食業(同+9.37%)が好調でサービス業全体を牽引している。このほか、10-12月期は物価が+3%前後に安定(図表4)、雇用情勢の改善や付加価値税減税の継続、最低賃金の引き上げなども加わって家計の購買力が向上しており、小売業(同8.05%増)は堅調に拡大したほか、市場の回復により不動産業(同+6.50%)が加速した。
ベトナム国会が掲げる2025年の成長率目標は6.5%~7.0%ペースだが、ベトナム政府は更に上の+8%成長を目指している。足元の輸出は順調に推移しているが、徐々に次期米政権による貿易保護措置の影響が出始め、増勢が鈍化する可能性が高い。こうした先行きの不透明感が影響して、足元の海外直接投資(FDI)の認可額が失速しており、2024年のFDI認可額は前年比▲3.0%と減少した。今後は民間投資が鈍化する恐れがある。一方、内需は消費と公共投資が下支えとなって成長ペースは堅調を維持しそうだが、ベトナム政府が目指す+8%の成長目標の達成は容易ではないだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2025年01月07日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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