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図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド

三尾 幸吉郎
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1――日本が置かれている現状
国際通貨基金(IMF)が公表した予測値を見ると、日本の2024年のGDPは約4兆ドルで、世界におけるシェアはじりじりと低下してきており、現在は3.7%となっている(図表-1)。米国は約29兆ドル(シェア26.5%)と上昇傾向を維持しており、2010年に日本を上回った中国は約18兆ドルと日本の約4.5倍になったものの、そのシェアは2021年をピークに低下し始めており、現在は16.6%となっている。そして日本が置かれている経済、軍事、科学技術の環境はそれに応じて変化してきている。
他方、GDPを人口で割り算した一人当たりGDPを見ると(図表-2)、日本は中国と比べると2.5倍くらいの水準にあるが、米国と比べると4割弱にとどまる。10年余り前までは、日本と米国がほぼ同水準で推移していたので、この10年ほどの間に日米の豊かさに大きな変化があったことがわかる。
2――国・地域別に見たランキング
最後に右の列に掲載したGDP(国際ドルベース)のランキングを確認しておこう。国際ドルとは、ある基準年において米ドルが持っていたのと同じ購買力平価を示す仮想的な通貨単位のことで、誤解を恐れずに言えば、米国でビッグマックを買うと1ドルのとき、日本でビッグマックを買うと150円なら、1国際ドル=150円という風に計算するものである。その国際ドルベースのGDPランキングを見ると、1位は中国、2位は米国、3位はインド、4位はロシアで、日本は5位である。中国、インド、ロシア、ブラジル、南アフリカといった新興国・途上国のシェアが米ドルベースよりも大きくなる一方、米国、日本、ドイツ、フランス、英国、イタリア、カナダといった先進国のシェアは小さくなる。
3――G7とBRICSプラスの比較
両者が異なる背景には、BRICSプラスの通貨が購買力平価より概ね割安なことがある。それがBRICSプラスにとっては、輸出競争力を高めたり、観光業を振興したりする利点があるのに加えて、G7にとっても輸入価格を押し下げ、インフレを抑制する利点があるため、ある種の均衡状態となっているのだ。ただし、BRICSプラスにとっては、G7からの輸入品が値上がりしインフレ気味になるという欠点もあり、G7にとっても、輸出品の値上がりで競争力を失い、製造業が衰退するという欠点もある。したがって、こうした欠点の方に世界の注目が集まる展開になった場合、1985年に起きたプラザ合意のような通貨の水準訂正が起きる可能性があると見ておくべきだろう。特に米国で次期大統領に就任するトランプ氏は、「製造大国の復活」を公言しているだけに、今後の成り行きを注視していきたい。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年12月16日「基礎研レター」)
三尾 幸吉郎
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