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2018年10月19日
■要旨
1―激しさを増す米中貿易戦争
2018年は米中貿易戦争が世界の注目を浴びる1年となりました。米国が知的財産権侵害を理由に中国からの輸入品に対し制裁関税を課すと、すかさず中国も米国からの輸入品に報復関税を課すといった関税引き上げ合戦が続きました。そして、報復関税を課す対象となる輸入品が底をつくと、中国は米国への旅行者を抑制したり、米国系ブランド製品の国内販売を抑制したりする可能性があり、米中貿易戦争は泥沼にはまりそうな気配です。
2―貿易不均衡の根本原因
米国が中国に貿易戦争を仕掛けた理由のひとつに米中間の貿易不均衡拡大があります。その背景には米国の過剰消費と中国の過剰生産という世界の基本的な経済構造があり、賃金が低く労働力が豊富な中国を「世界の工場」とし、そこで生産したモノを世界の約3割を消費する米国(世界の消費地)へ輸出するという確固としたサプライチェーンが構築されているため、貿易不均衡に歯止めを掛けるのは容易なことではないと思われます。
3―関税と自由度の米中比較
米国が中国に貿易戦争を仕掛けたもうひとつの理由に中国の高関税や不公正な貿易慣行があります。米国は世界で最も関税が低く最も開かれた市場である一方、中国は関税が高く閉ざされた市場なので、米中間の貿易不均衡拡大に歯止めを掛けるためには、中国は関税を引き下げるとともに、自由化改革(非関税障壁の解消、対外開放の推進、補助金の明確化、知的財産権保護の強化など)を進める必要があると思われます。
4―米中貿易戦争はどうなるのか?
米中貿易戦争は今後どんな展開となるのでしょうか。そのシナリオは米国が何を目的に中国に対して貿易戦争を仕掛けたのかを分岐点に大きく2つに分けられます。米国が平和的な解決の道を選択し中国との共存を目指すのであれば、中国も関税の引き下げや知的財産権保護の強化などで応える可能性が高いでしょう。しかし、米国が安全保障上の脅威として中国を封じ込めようとするのであれば、世界は冷戦の道に迷い込む恐れがあります。
1―激しさを増す米中貿易戦争
2018年は米中貿易戦争が世界の注目を浴びる1年となりました。米国が知的財産権侵害を理由に中国からの輸入品に対し制裁関税を課すと、すかさず中国も米国からの輸入品に報復関税を課すといった関税引き上げ合戦が続きました。そして、報復関税を課す対象となる輸入品が底をつくと、中国は米国への旅行者を抑制したり、米国系ブランド製品の国内販売を抑制したりする可能性があり、米中貿易戦争は泥沼にはまりそうな気配です。
2―貿易不均衡の根本原因
米国が中国に貿易戦争を仕掛けた理由のひとつに米中間の貿易不均衡拡大があります。その背景には米国の過剰消費と中国の過剰生産という世界の基本的な経済構造があり、賃金が低く労働力が豊富な中国を「世界の工場」とし、そこで生産したモノを世界の約3割を消費する米国(世界の消費地)へ輸出するという確固としたサプライチェーンが構築されているため、貿易不均衡に歯止めを掛けるのは容易なことではないと思われます。
3―関税と自由度の米中比較
米国が中国に貿易戦争を仕掛けたもうひとつの理由に中国の高関税や不公正な貿易慣行があります。米国は世界で最も関税が低く最も開かれた市場である一方、中国は関税が高く閉ざされた市場なので、米中間の貿易不均衡拡大に歯止めを掛けるためには、中国は関税を引き下げるとともに、自由化改革(非関税障壁の解消、対外開放の推進、補助金の明確化、知的財産権保護の強化など)を進める必要があると思われます。
4―米中貿易戦争はどうなるのか?
米中貿易戦争は今後どんな展開となるのでしょうか。そのシナリオは米国が何を目的に中国に対して貿易戦争を仕掛けたのかを分岐点に大きく2つに分けられます。米国が平和的な解決の道を選択し中国との共存を目指すのであれば、中国も関税の引き下げや知的財産権保護の強化などで応える可能性が高いでしょう。しかし、米国が安全保障上の脅威として中国を封じ込めようとするのであれば、世界は冷戦の道に迷い込む恐れがあります。
三尾 幸吉郎
研究・専門分野
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