- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国経済見通し-18年下期は6.3%前後へ減速、米中貿易戦争が激化すればさらなる下振れも
2018年08月24日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- 中国国家統計局が公表した18年4-6月期の国内総生産(GDP)は、第2次産業の減速を主因に1-3月期の同6.8%増を0.1ポイント下回り、経済成長率は実質で前年比6.7%増となった。また、消費者物価は前年比1.8%上昇と1-3月期の同2.1%上昇を0.3ポイント下回った(左下図)。なお、景気動向を敏感に反映するPMIは製造業・非製造業ともにも陰りを見せ始めている。
- 個人消費は、調査失業率(31大都市)が14ヶ月ぶりに5%台へと上昇し、消費者信頼感指数がピークアウトするなど不安材料が浮上している。しかし、中間所得層の増加がサービス消費を拡大し、ネット販売化が新たな消費需要を喚起する流れは続いており、また住宅販売にも底打ちの兆しがでてきたことから、個人消費は底堅い伸びを維持できると見ている。
- 投資は、インフラ投資の伸び鈍化を主因に減速傾向を強めている。今後も過剰設備・過剰債務の整理が足かせで、金融リスクの確実な防止・解消もマイナス要因となるが、「中国製造2025」や「インターネット+」に関連する領域では積極的な投資が期待できるのに加えて、中国政府がインフラ投資の下支えに動き始めたことから、低位ながらも底堅く推移すると見ている。
- 輸出は、世界経済の持続的拡大や一帯一路沿線地域への影響力拡大を背景に好調を維持すると見られるものの、製造コスト上昇で後発新興国への製造拠点流出の動きがあるのに加えて、米中貿易摩擦の深刻化がそれを加速させる“トランプシフト”が起きる可能性もあるため、輸出の伸びは小幅に鈍化するだろう。一方、輸入は中国政府の輸入拡大方針などを背景に輸出以上に高い伸びを示すだろう。そして、経済成長率への純輸出のプラス寄与は減少すると見ている。
- 18年の成長率は前年比6.5%増へ、19年は同6.3%増へと減速を予想している。18年上期の成長率は前年比6.8%増だったので18年下期は同6.3%前後に減速することになる。また、18年の消費者物価は前年比1.9%上昇、19年は同2.2%上昇と予想している(右下図)。なお、経済見通しのリスク要因としては落としどころの見えない米中貿易摩擦が挙げられる。
(2018年08月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/04/15 | 図表でみる世界の民主主義-日本の民主主義指数は上昇も、世界平均は低下。世界ではいったい何が起きているのか? | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
新着記事
-
2025年05月01日
日本を米国車が走りまわる日-掃除機は「でかくてがさつ」から脱却- -
2025年05月01日
米個人所得・消費支出(25年3月)-個人消費(前月比)が上振れする一方、PCE価格指数(前月比)は総合、コアともに横這い -
2025年05月01日
米GDP(25年1-3月期)-前期比年率▲0.3%と22年1-3月期以来のマイナス、市場予想も下回る -
2025年05月01日
ユーロ圏GDP(2025年1-3月期)-前期比0.4%に加速 -
2025年04月30日
2025年1-3月期の実質GDP~前期比▲0.2%(年率▲0.9%)を予測~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年04月02日
News Release
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
【中国経済見通し-18年下期は6.3%前後へ減速、米中貿易戦争が激化すればさらなる下振れも】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済見通し-18年下期は6.3%前後へ減速、米中貿易戦争が激化すればさらなる下振れものレポート Topへ