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- 中国経済:2018年上期を総括した上で今後の注目ポイントを探る
2018年07月27日
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■要旨
- 18年上期(1-6月期)の国内総生産は41兆8961億元(日本円換算で約716兆円)となり、成長率は実質で前年比6.8%増と2017年通期の同6.9%増を0.1ポイント下回った。内訳を見ると、第2次産業は同6.1%増と17年通期(同6.1%増)と同じ伸びを維持したものの、第3次産業と第1次産業が下回ったため、成長率はやや鈍化した。また、消費者物価は同2.0%上昇と17年通期(同1.6%上昇)を0.4ポイント上回った(下左図)。
- 一方、産業構造の転換は静かに進んだ。18年上期の鉱工業生産は前年比6.7%増だったが、コンピュータ・通信・その他電子設備、自動車、電気機械・器材など新時代の牽引役と期待される産業がそれより高い伸びを示した一方、鉱業や鉄精錬加工など過剰設備・過剰債務を抱える産業は低い伸びに留まり、産業構造の転換が静かに進んだことを裏付けた(下右図)。なお、工業設備稼働率は16年(73.3%)に底打ちして、ここもと77%前後で推移している。
- 需要動向を見ると、経済成長率への寄与度は、最終消費が5.3ポイント、総資本形成が2.1ポイント、純輸出が▲0.7ポイントだった。個人消費は高水準の伸びを維持したものの、投資が減速し、純輸出が昨年のプラス寄与からマイナス寄与に転じたため、成長率は低下した。
- 18年上期の金融市場を振り返ると、住宅価格が最高値更新を続けバブル懸念は残るものの、米中貿易摩擦の激化を背景に中国株が下落、堅調だった人民元も下落に転じた。そして、中国人民銀行は預金準備率を引き下げるなど金融政策を緩和気味に調整することとなった。
- 今後の中国経済を見極める上では、[1] 落としどころの見えない米中貿易摩擦の行方、[2] 輸出の好調は持続するか、[3] 減退し始めた内需の動向、以上3つの動きに注目したい。
(2018年07月27日「Weekly エコノミスト・レター」)
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