2024年11月01日

ユーロ圏失業率(2024年9月)-失業率は過去最低水準の6.3%

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.3%

10月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年9月、季節調整値)】
失業率は6.3%、市場予想1(6.4%)から下振れ、前月(6.3%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1088.4万人となり、前月(1087.1万人)から1.3万人増加した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:若年失業率は小幅に上昇

ユーロ圏(20か国)の9月の失業率は6.3%となり、統計データ公表以来の最低値となった。また、8月のデータが6.4%から6.3%に改定されたため前月からは横ばい推移となった(8月以前の過去データは6月分がやや改善方向に修正(6.5%→6.4%)されている)。

失業者数は9月の前月差で1.3万人増となり、6-8月の3か月連続の減少からプラスに転じた。主要4か国で見ると、フランス(2.9万人)は増加したが、スペイン(▲1.8万人)、イタリア(▲1.5万人)、ドイツ(▲0.9万人)は減少している。イタリアは3か月連続、スペインは8か月連続での減少となった。コロナ禍前より失業者数は84万人程度少なく、スペイン(コロナ禍前と比較して▲56万人)やイタリア(同▲33万人)の失業者減少の寄与が大きく、ドイツ(同8万人)やフランス(同15万人)では失業者は増加している(図表3)。

9月の若年失業率は14.4%となり、8月(14.3%、改定前14.1%)から小幅に上昇した。なお、それ以前の過去データもやや悪化方向に修正されている(8月14.2→14.4%、6月14.4→14.5%)。若年失業者数は9月で228.7万人(前月差1.0万人)となり、こちらも6-8月の3か月連続の減少から増加に転じた。若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の233.4万人)を下回る状態で推移している(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の9月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が5か国、改善が7か国、横ばいが8か国だった(図表5)。若年失業率は公表されている20か国中、悪化した国が10か国、改善が3か国、横ばいが7か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少する一方、雇用者も減少し、非労働力人口が増加した(図表7)。ポルトガルは非労働力人口数が減少し、失業者と雇用者数がともに増加する形となっている(図表8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年11月01日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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