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- ユーロ圏消費者物価(24年10月)-総合指数は再び前年比2%まで上昇
2024年11月01日
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1.結果の概要:総合指数は再び前年比2%に上昇
10月31日、欧州委員会統計局(Eurostat)は10月のユーロ圏のHICP(Harmonized Indices of Consumer Prices:EU基準の消費者物価指数)速報値を公表し、結果は以下の通りとなった。
【総合指数】
・前年同月比は2.0%、市場予想1(1.9%)より上振れ、前月(1.7%)から上昇した(図表1)
・前月比は0.3%、予想(0.2%)より上振れ、前月(▲0.1%)からプラスに転じた
【総合指数からエネルギーと飲食料を除いた指数2】
・前年同月比は2.7%、予想(2.6%)より上振れ、前月(2.7%)と一致した(図表2)
・前月比は0.2%、前月(0.1%)から上昇した
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。
2 日本の消費者物価指数のコアコアCPI、米国の消費者物価指数のコアCPIに相当するもの。ただし、ユーロ圏の指数はアルコール飲料も除いており、日本のコアコアCPIや米国のコアCPIとは若干定義が異なる。
2.結果の詳細:コアは前年比横ばい、エネルギーと飲食料が総合指数を押し上げ
10月のHICP上昇率3(前年同月比)は全体で2.0%となり、9月(1.7%)から上昇し、再び2%台となった。「コア部分(=エネルギーと飲食料を除く総合)」は2.7%で9月(2.7%)と同じ伸び率だった。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が8月0.4%→9月0.4%→10月0.5%となった。「財」は8・9月と低水準で横ばい推移し、10月はわずかだが上昇した。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は8月4.1%→9月3.9%→10月3.9%と4%前後の高めの水準での横ばい推移が継続している。前年同月比寄与度は、「財」が0.12%ポイント程度、「サービス」が1.63%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で8月▲3.0%→9月▲6.1%→10月▲4.6%とマイナスが続いているが、10月はマイナス幅が縮小した。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.58%ポイント程度(9月は▲0.60%ポイント)と見られる(前掲図表2)。
以下、詳細を「コア部分」「エネルギー」「飲食料(アルコール含む)」の3つに分けて見ていく。
まず、コア部分である「エネルギーと飲食料を除く総合」の内訳を見ると、「エネルギーを除く財(飲食料も除く)」が8月0.4%→9月0.4%→10月0.5%となった。「財」は8・9月と低水準で横ばい推移し、10月はわずかだが上昇した。一方、「サービス」(エネルギーを除く)は8月4.1%→9月3.9%→10月3.9%と4%前後の高めの水準での横ばい推移が継続している。前年同月比寄与度は、「財」が0.12%ポイント程度、「サービス」が1.63%ポイント程度と見られる。
コア以外の部分では「エネルギー」が前年同月比で8月▲3.0%→9月▲6.1%→10月▲4.6%とマイナスが続いているが、10月はマイナス幅が縮小した。エネルギーの前年同月比寄与度は▲0.58%ポイント程度(9月は▲0.60%ポイント)と見られる(前掲図表2)。
「飲食料(アルコール含む)」は、前年同月比で2.9%(9月2.4%)と上昇した(図表3)。内訳を見ると、飲食料のうち加工食品の伸び率は2.9%(9月2.6%)でやや上昇、未加工食品は3.0%(9月1.6%)と大幅上昇だった。飲食料の前年同月比寄与度は0.63%ポイント程度(9月は0.47%ポイント)で、10月の総合指数伸び率を押し上げた一因と言える。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が1.9%(9月2.2%)、コアが2.5%(9月2.9%)、エネルギーを除く財が0.8%(9月1.1%)、サービスが3.4%(9月3.9%)、飲食料が4.4%(9月3.6%)となった。飲食料は加速傾向にあるが、サービスおよび財は減速傾向にある。総合指数やコアの物価上昇の勢いも緩やかながら減速している。
物価上昇の勢いをECBが公表する季節調整済系列で確認すると(図表4)、3か月移動平均後の3か月前比年率で総合指数が1.9%(9月2.2%)、コアが2.5%(9月2.9%)、エネルギーを除く財が0.8%(9月1.1%)、サービスが3.4%(9月3.9%)、飲食料が4.4%(9月3.6%)となった。飲食料は加速傾向にあるが、サービスおよび財は減速傾向にある。総合指数やコアの物価上昇の勢いも緩やかながら減速している。
国別のHICP上昇率は、前年同月比で20か国中、上昇したのは17か国、残りの3か国は低下した(図表5)。また、物価目標の2%を下回ったのは10か国だった。なお、前月比では20か国中15か国がプラス、5か国がマイナスの伸び率となった(図表6)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
3 23年からはユーロ圏20か国のデータ、22年までは19か国のデータ(以降も特に断りがない限り同様)。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年11月01日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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