2024年10月03日

ユーロ圏失業率(2024年8月)-失業率は過去最低水準で横ばい推移

経済研究部 主任研究員 高山 武士

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1.結果の概要:失業率は6.4%で横ばい

10月2日、欧州委員会統計局(Eurostat)はユーロ圏の失業率を公表し、結果は以下の通りとなった。
 

【ユーロ圏失業率(20か国、2024年8月、季節調整値)】
失業率は6.4%、市場予想1(6.4%)と一致、前月(6.4%)から横ばいだった(図表1)
失業者は1092.5万人となり、前月(1101.9万人)から9.4万人減少した

(図表1)失業率と国別失業者数/(図表2)若年失業率(25才未満)と国別若年失業者数
 
1 bloomberg集計の中央値。以下の予想値も同様。

2.結果の詳細:イタリア、スペインが失業者減少を主導

ユーロ圏(20か国)の8月の失業率は6.4%となり、前月に続き統計データ公表以来の最低値で横ばい推移した。なお、過去データはほとんど修正されなかった。

失業者数は8月の前月差で9.4万人減となり、7月(▲8.9万人、改定前は▲11.4万人)、6月(▲0.9万人、改定前は▲0.3万人)減に続いて3か月連続の減少となった。主要4か国で見ると、イタリア(▲4.6万人)、スペイン(▲3.0万人)、フランス(0.4万人)、ドイツ(0.3万人)となりイタリアは2か月連続、スペインは6か月連続で失業者が減少している。コロナ禍前より失業者数は81万人程度少なく、スペイン(コロナ禍前と比較して▲52万人)やイタリア(同▲30万人)の失業者減少の寄与が大きい(図表3)。

8月の若年失業率は14.1%となり、7月(14.2%)から小幅に低下した。なお、若年失業率も過去データの修正はほとんどなかった。若年失業者数は8月で223.1万人(前月差▲2.8万人)となり、7月(▲2.8万人、改定前▲3.7万人)、6月(▲4.1万人、改定前▲2.7万人)から3か月連続で減少した。若年失業者数の水準はコロナショック直前(20年3月の233.3万人)を下回る状態で推移している(図表4)。
(図表3)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化/(図表4)ユーロ圏(20か国)の累積失業者数変化
国別の7月のデータを見ると、失業率は20か国中、悪化した国が6か国、改善が8か国、横ばいが6か国だった(図表5)。若年失業率は公表されている16か国中、悪化した国が8か国、改善が8か国だった(図表6)。
(図表5)ユーロ圏の失業率(国別)/(図表6)ユーロ圏の若年失業率(国別)
最後に詳細な月次データを公表しているイタリアとポルトガルについて確認すると、イタリアは失業者が減少する一方、雇用者と非労働力人口がともに増加した(図表7)。ポルトガルは失業者と非労働力人口数が減少し、雇用者数が増加する形となっている(図表8)。
(図表7)イタリアの失業者・非労働力人口・労働参加率/(図表8)ポルトガルの失業者・非労働力人口・労働参加率
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年10月03日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

高山 武士 (たかやま たけし)

研究・専門分野
欧州経済、世界経済

経歴
  • 【職歴】
     2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
     2009年 日本経済研究センターへ派遣
     2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
     2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
     2014年 同、米国経済担当
     2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
     2020年 ニッセイ基礎研究所
     2023年より現職

     ・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
      アドバイザー(2024年4月~)

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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