2024年10月01日

雇用関連統計24年8月-就業者数、雇用者数(いずれも季節調整値)が過去最高を更新

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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1.失業率は前月から0.2ポイント低下の2.5%

完全失業率と就業者の推移 総務省が10月1日に公表した労働力調査によると、24年8月の完全失業率は前月から0.2ポイント低下の2.5%(QUICK集計・事前予想:2.6%、当社予想は2.7%)となった。

労働力人口が前月から7万人の増加となる中、就業者が前月から25万人増加し、失業者は前月から15万人減少の172万人(いずれも季節調整値)となった。就業者数、雇用者数(いずれも季節調整値)ともに過去最高を更新した。
就業者数は前年差42万人増(7月:同28万人増)と25ヵ月連続で増加し、前月から増加幅が拡大した。産業別には、医療・福祉が前年差2万人減(7月:同19万人増)と3ヵ月ぶりに減少したが卸売・小売業が前年差10万人増(7月:同9万人増)と5ヵ月連続、宿泊・飲食サービス業が前年差10万人増(7月:同1万人増)と26ヵ月連続で増加したほか、製造業が前年差6万人増(7月:同9万人減)と6ヵ月ぶりに増加した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ35万人増(7月:同6万人増)と30ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差22万人増(7月:34万人増)と10ヵ連続で増加、非正規の職員・従業員数が前年差13万人増(7月:同29万人減)と4ヵ月ぶりに増加した。

2.有効獣人倍率は低下傾向が継続

有効求人倍率の推移 厚生労働省が10月1日に公表した一般職業紹介状況によると、24年8月の有効求人倍率は前月から0.01ポイント低下の1.23倍(QUICK集計・事前予想:1.24倍、当社予想は1.23倍)となった。有効求人数が前月比▲0.8%の減少となり、有効求職者数の減少幅(同▲0.3%)を上回ったことが求人倍率の低下につながった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.10ポイント上昇の2.32倍となった。新規求人数が前月比1.9%の増加、新規求職申込件数が同▲2.6%の減少となった。

新規求人数は前年比▲6.5%(7月:同1.2%)と2ヵ月ぶりに減少した。新規求人数は7月に11ヵ月ぶりの増加となったが、再び減少に転じた。産業別には、情報通信業(前年比1.4%)は2ヵ月連続で増加したが、製造業(同▲10.5%)、宿泊・飲食サービス業(同▲23.5%)、生活関連サービス・娯楽業(同▲12.3%)が前年比二桁の大幅減少となった。
企業の人手不足感が非常に強いにもかかわらず、求人数の低迷が続いている背景には、充足率(新規求人数に対する就職件数の割合)が10%台前半の過去最低水準で推移するなど、ハローワークの求人が採用につながりにくくなっていることなどを背景に、企業の求人がハローワークから民間職業紹介所、広告等の他のチャネルにシフトしていることがあると考えられる。

厚生労働省の「雇用動向調査」によれば、様々な入職経路のうち、ハローワークを通した入職者の割合は長期的に低下傾向が続いているが、23年は13.9%と前年の18.2%から4.3ポイントの急低下となった。ハローワークにおける求人・求職動向が労働市場全体の需給関係を反映しにくくなっている。
充足率と就職件数/入職経路別の入職者の割合
 
 

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(2024年10月01日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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