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「広島オフィス市場」の現況と見通し(2024年)

金融研究部 主任研究員 吉田 資
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「広島駅周辺地区」では、日本郵便が南区松原町2丁目の「旧広島東郵便局跡地」に「広島JPビルディング」(地上19階建て・延床面積約4.4万m2)を開発し、2022年8月に竣工した(図表-17 ①)。
その後も、広島駅周辺ではオフィス開発が計画されている。大和ハウス工業がJR広島駅北口の「二葉の里地区」で10階建てのオフィスビル(延床面積約0.6万m2)を開発中で、2025年11月に完成予定である。また、同施設の東側で、住友不動産が、オフィスやホテル、マンション、温浴施設等が入る34階建ての複合ビルを開発中で、2027年に完成予定である12(図表-17 ②)。
また、JR西日本グループが「JR広島駅ビル」の建て替えを行い、商業施設「minamoa(ミナモア)13」とホテルが入居する新しい広島駅ビルを開発中で、2025年に開業予定である。同ビルの2階には、広島電鉄の路面電車が直接乗り入れする予定である14。(図表-17 ③)。
12 中国新聞 「イケアの出店計画があった広島駅北口、10階建てオフィスビル着工 2025年11月末の完成予定」(2024年1月27日)
13 西日本旅客鉄道株式会社・中国SC開発株式会社「2025年春開業 広島新駅ビル商業施設名称が決定『 minamoa ( ミナモア ) 』~皆様へ向けて広島新駅ビルに関する情報や各コンテンツの公開もスタート!~」(2024年5月23日)
14 JR西日本HP「広島駅ビル開発プロジェクト」
前述のオフィスビルの新規供給見通しや経済予測15、オフィスワーカーの見通し等を前提に、2028年までの広島のオフィス賃料を予測した(図表-19)。
広島県の就業者数は3年ぶりに増加したものの、生産年齢人口の減少は今後も続く見通しである。また、人手不足感が強い一方、コロナ禍からの企業活動の回復は鈍い傾向にあることから、広島市の「オフィスワーカー数」の増加はやや力強さに欠ける懸念がある。
また、広島においても、コロナ禍を経て、オフィスワーカー比率の高い「情報通信業」等を中心に、在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせた働き方が普及しつつある。今後、フレキシブルな働き方に即したオフィス利用や拠点配置を検討する企業の増加が予想される。
新規供給について、「紙屋町・八丁堀地区」や「広島駅周辺地区」を中心に複数の大規模開発計画が進行中である。以上のことを勘案すると、広島の空室率は上昇に向かうと予想される。
こうした需給バランスの緩和に伴い、広島のオフィス成約賃料は弱含みで推移する見通しである。2023年の賃料を100とした場合、2024年は「101」、2025年は「99」、2028年は「96」に下落すると予想する。ただし、2023年対比で▲4%下落するものの、2022年と同程度の賃料水準に留まり、大幅な賃料下落には至らない見込みである。
15 経済見通しは、ニッセイ基礎研究所経済研究部「中期経済見通し(2023~2033年度)」(2023年10月12日)、などをもとに設定。
(ご注意)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年07月09日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
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