コラム
2024年07月03日

ディリクレの箱入れ原理

保険研究部 主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任 植竹 康夫

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具体例(2)の解答案

具体例(2)の解答案を、厳密なものではないが以下に示す。
 
全ての桁の数字が5である1桁からn+1桁までの(n+1個の)数字を考える(これらが「飴」である)。
全ての桁の数字が5である1桁からn+1桁までの(n+1個の)数字
これらn+1個の数字を各々「nで割った余り」でグルーピングする。
 
「nで割った余り」なので「0」から「n-1」までのn通りの「余り」がある。(これが「箱」である)。
 
ディリクレの箱入れ原理によると、2つ以上の飴の入っている箱が少なくとも一つ存在する。この問題の言葉で言い直すと「nで割った時に、同じ余りになるような数字の組が必ず存在する(3つ以上が同じ余になることもあるが、気にせず「組」と書いた)。」となる。
 
この「余りが同じになる数字」から2つ数字を取り出し、大きい方から小さい方を引くと、問題文に示す性質を持った数字となり、かつnで割り切れる。
 
もう少し数学的に書くならば、ある余りr(0≦r≦n-1)に対して、a=sn+r、b=tn+r(s>t)となるa,bが存在する。あとはこれらを辺々引くと
 
a-b=(s-t)nとなりa-bはnの倍数であることがわかり、aがA桁、bがB桁の整数であったすると、a-bは1~B桁までは0、B+1~A桁までは5という数字になり、題意を満たす数字であることも確認できる(下記イメージ)。
イメージ図
のところまでがディリクレの箱入れ原理で、そこから先はディリクレの箱入れ原理で取り出した2つ(以上)の数字の話となる。
 
曖昧なものに対して「少なくともこれは言えるよね」という取っ掛かり(必要条件)から攻めていく所に味わいがある。

(2024年07月03日「研究員の眼」)

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保険研究部   主任研究員・気候変動リサーチセンター兼任

植竹 康夫 (うえたけ やすお)

研究・専門分野
保険計理・保険会計

経歴
  • 【職歴】
    2007年 日本生命保険相互会社入社
    2024年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
    ・日本アクチュアリー会 正会員
    ・年金数理人

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